BTOメーカーを選ぶとき、「サポートが手厚いところを選びましょう」という説明はよく見かけます。ところが、実際に故障したら何が起きるのかを書いた記事はほとんどありません。
連絡はどこにするのか。送料は誰が払うのか。どのくらいで戻ってくるのか。データは消えるのか。そして、保証期間内でも直してもらえないケースがあるのか。
この記事では各社の保証規約を実際に読んだうえで、故障時の実務を整理します。先に結論を書くと、標準保証は1年とは限りません。ここを知らずに延長保証を検討すると、判断を誤ります。
標準保証は1年とは限りません
まず前提を確認します。BTOの標準保証は1年、と思っている方が多いと思いますが、各社の規約を読むと違いがあります。
- マウスコンピューター — PC本体3年
- 標準製品保証規定にPCとモニターが3年と明記されています。整備済みパソコンとサーバーは1年です
- ドスパラ — 1年(区分により異なる)
- 保証区分によって期間が分かれており、1年のものもあれば6か月、初期不良期間のみというものもあります
- パソコン工房 — パーツごとに違う
- PC本体・CPU・マザーボードが1年、光学ドライブ・キーボード・マウスが6か月、ケーブルやバッテリーなどの消耗部品は保証なしです
ここが最初の分岐点です。同じ価格帯のPCでも、標準で付いてくる保証が3倍違うことがあります。延長保証を検討する前に、まず標準で何年付くのかを確認してください。
各社の傾向はBTOゲーミングPCメーカー比較にまとめています。
修理に出すまでの流れ
実際の手順は、どの会社もおおむね同じです。
- 1. まず自分で切り分ける
- 電源が入らないのか、画面が映らないのか、特定の動作でだけ落ちるのか。症状を具体的に伝えられると受付が早く進みます
- 2. 窓口に連絡する
- 電話かWebの修理受付フォームです。購入時の注文番号や製品のシリアルが必要になります
- 3. データのバックアップを取る
- 後述しますが、修理でデータが消える可能性は各社とも明記しています。動く状態なら必ず先に退避してください
- 4. 梱包して送るか、持ち込む
- 購入時の箱を取ってあると楽です。捨ててしまった場合は、送付方法を窓口に確認してください
- 5. 診断・修理・返却
- 見積もりが必要な場合は、金額の連絡を待ってから判断します
期間の目安として、マウスコンピューターは平均72時間以内での修理対応をうたっています(状況により超えることもあると明記されています)。ここに配送日数が加わるので、手元を離れるのは1週間前後を見ておくと現実的です。
なお、ドスパラは預かり修理期間中の代替機の貸し出しを行っていません。修理中はPCが使えない期間が発生する、と考えておいてください。
送料は誰が払うのか
見落とされやすいのがここです。
- ドスパラ — 通常保証は持込修理のみ
- 基本保証は1年間の持込修理で、自然故障のみが対象です。延長保証に加入すると指定業者による引き取りに変わり、往復の送料は同社負担になります
- パソコン工房 — 通常の郵送費は同社負担
- 保証対応にともなう通常の郵送費用は当社が負担する、と規約に記載があります。全国の店舗に予約なしで持ち込むこともできます
- マウスコンピューター — 3年保証で送料無料
- センドバック(郵送)、ピックアップ(引き取り)、キャリーイン(直営店持込)、オンサイト(訪問)の4方式があります。直営店は全国8か所です
ドスパラの「持込修理のみ」という条件は、近くに店舗がない方には実質的な負担になります。延長保証の本当の価値は期間の延長よりも、引き取り対応に変わる点にあるとも言えます。
保証期間内でも、直してもらえないケースがあります
ここがこの記事でいちばんお伝えしたい部分です。
ドスパラの保証規約には、次の使い方に起因する故障は保証対象外という条項があります。
- クロックアップ(オーバークロック)
- 定格を超えて動かした結果の故障は対象外です。BTOで買ってから自分で設定を変える場合は認識しておいてください
- 24時間以上の連続使用
- 高負荷がかかる目的での使用として、この条項に含まれています
- ブロックチェーン処理・仮想通貨マイニング
- その他高負荷がかかる目的での使用も同様です
- 焼損痕や物理的破損がある場合
- 自然故障ではないと判断されます
正確に言えば「これらに起因する故障または損傷」が対象外なので、少し長く点けていただけで保証が全部消えるという話ではありません。ただし、放置して進むタイプのゲーム、長時間の配信、夜通しの動画エンコードといった使い方は、この条項に触れ得ます。
ゲーミングPCは高負荷で長時間動かす前提の機械ですが、規約上はそこに線が引かれている、ということです。オーバークロックについても同様で、性能を上げる代わりに保証を手放すことになります。
自分で増設した場合はどうなるか
当サイトではBTOのカスタマイズは何を足すべきかで、自分でメモリを増設すると保証の扱いが変わる可能性がある、とお伝えしました。実際に規約を読むと、会社によって書き方が違います。
- パソコン工房 — 元に戻せる範囲なら対象内
- 購入時の状態に復することが容易な改造等である場合は保証対象外事由に該当しない、と規約に明記されています。ただし増設した部品が原因の不具合は対象外です
- ドスパラ — 改造は対象外
- お客様の故意または過失、改造に起因する故障は対象外という条項があります
つまり、メモリやSSDを自分で足す予定があるなら、購入前に各社の規約を確認しておく必要があります。同じことをしても、メーカーによって扱いが変わります。
データは消える前提で預けてください
これは3社とも共通です。
マウスコンピューターは記憶装置内のデータについて一切責任を負わないと明記しています。パソコン工房も、データの全部または一部が消失しても責任を負わないとしています。ドスパラは、修理作業における障害復旧のためにOSやデータを消去する可能性があるため、事前にバックアップを実施するよう求めています。
- 動くうちにバックアップを取る
- 完全に起動しなくなってからでは手遅れです。動作が怪しいと感じた時点で退避してください
- ゲームのセーブデータを確認する
- クラウド同期に対応しているタイトルなら心配は少ないのですが、ローカル保存のものもあります
- 外付けやクラウドに逃がす
- 同じPCの別ドライブに置いても、ストレージごと交換されると意味がありません
延長保証は必要か
ここまでを踏まえて、判断できるようになりました。
ドスパラの延長保証は、本体価格に対する割合で決まります。
- 2年に延長 — 本体価格の6%
- 11万円以上の本体の場合です
- 3年に延長 — 本体価格の10%
- 20万円のPCなら約2万円です
- 4年に延長 — 本体価格の13%
- 同じく20万円なら約2万6,000円
- 5年に延長 — 本体価格の18%
- 20万円なら約3万6,000円になります
いずれも自然故障のみが対象で、物理破損は含まれません。物損まで見るなら、ドスパラの場合はセーフティサービスという別のプランになります。
判断の軸は次のとおりです。
- 標準で3年付くメーカーを選ぶ
- マウスコンピューターのようにPC本体3年が標準なら、延長保証の費用そのものが不要になります。本体価格が多少高くても、ここを含めて比べてください
- 近くに店舗があるかどうか
- 持込修理が基本のメーカーの場合、店舗が遠いと送料と手間がかかります。引き取り対応が付くかどうかは実質的な差です
- PCの使い方
- 毎日長時間動かす、配信や制作にも使う、という方は故障の確率が上がります。ただし24時間連続使用が対象外という条項もあるため、規約の確認が先です
- 何年使うつもりか
- 3年で買い替える予定なら5年保証は無駄になります。買い替えの目安はゲーミングPCの寿命は本当に5年?にまとめました
なお、購入直後のキャンセルや初期不良は修理とは別の枠組みです。そちらはBTOパソコンは返品できる?主要9社のポリシー比較で扱っています。
よくある質問
Q.BTOパソコンの保証は何年ですか?
A.メーカーによって違います。マウスコンピューターは標準製品保証規定でPC本体とモニターを3年としています。一方でドスパラとパソコン工房は1年が基本で、パソコン工房は光学ドライブやキーボードが6か月、ケーブルやバッテリーなどの消耗部品は保証なしとパーツごとに分かれています。
Q.修理に出すとき送料は自分で払いますか?
A.会社と保証内容によります。ドスパラの通常保証は持込修理のみで、延長保証に加入すると指定業者の引き取りに変わり往復送料は同社負担になります。パソコン工房は保証対応にともなう通常の郵送費を同社が負担すると規約に記載があります。
Q.修理はどのくらいかかりますか?
A.マウスコンピューターは平均72時間以内での修理対応をうたっていますが、状況により超えることもあると明記されています。ここに配送日数が加わるため、手元を離れる期間は1週間前後を見ておくと現実的です。なおドスパラは預かり修理中の代替機の貸し出しを行っていません。
Q.24時間つけっぱなしにしていると保証が切れますか?
A.ドスパラの規約には、クロックアップ、24時間以上の連続使用、ブロックチェーン処理や仮想通貨マイニングなど高負荷がかかる目的での使用に起因する故障は対象外という条項があります。長く点けていただけで保証が消えるわけではありませんが、それが原因と判断された故障は対象外になり得ます。
Q.自分でメモリを増設したら保証はどうなりますか?
A.メーカーによって扱いが違います。パソコン工房は購入時の状態に復することが容易な改造等であれば保証対象外事由に該当しないと明記しています。一方でドスパラは改造に起因する故障を対象外としています。増設の予定があるなら、購入前に規約を確認してください。
Q.修理に出すとデータは消えますか?
A.消える前提で考えてください。マウスコンピューターとパソコン工房はデータについて責任を負わないと明記しており、ドスパラは修理作業でOSやデータを消去する可能性があるため事前のバックアップを求めています。動作が怪しいと感じた時点で退避しておくのが確実です。
まとめ・次に読みたい記事
BTOの修理でいちばん重要なのは、故障してからではなく買う前に決まる部分です。
標準保証は1年が当たり前ではありません。マウスコンピューターはPC本体が3年、ドスパラとパソコン工房は1年です。同じ価格帯でも標準で付く保証が3倍違うことがあるので、延長保証を検討する前にここを確認してください。
送料の扱いも会社ごとに違います。ドスパラの通常保証は持込修理のみで、延長保証に入ると引き取りに変わります。近くに店舗がない方にとっては、期間の延長よりこちらのほうが実質的な価値かもしれません。
そして規約には、クロックアップや24時間以上の連続使用に起因する故障を対象外とする条項があります。自分で増設した場合の扱いもメーカーで分かれており、パソコン工房は元に戻せる範囲なら対象内と明記しています。データについては3社とも責任を負わないとしていますので、動くうちにバックアップを取ってください。保証内容は改定されることがありますので、購入前に最新の規約をご確認ください。



