
ゲーミングPCの購入ページには、必ず大きく「GPU:RTX〇〇」と書かれています。ですが、失敗するBTO選びの多くはGPU以外の部分で起きています。CPU・メモリ・ストレージ・電源という「脇を固めるパーツ」を見ずに、GPUの型番と価格だけで決めてしまうと、後から「思ったより快適じゃない」「すぐ容量が足りなくなった」という後悔につながります。この記事では、BTOでありがちな「買ってはいけない」構成のパターンを、具体的な数字とあわせて解説します。
「買ってはいけない」構成の早見表
| 落とし穴 | 何が問題か | 見極め方 |
|---|---|---|
| VRAM 8GBのGPU | 高画質設定・WQHD以上でfpsが大きく落ちる | 同価格帯の16GBモデルとの価格差を確認する |
| GPUだけ豪華・CPUが型落ち | CPU律速でGPUの性能を出し切れない | CPUの世代・型番も必ずチェックする |
| メモリ8GB | OS+ゲームで常に不足気味 | 最低16GB、できれば32GBを選ぶ |
| ストレージ256〜500GB | 大作ゲーム数本ですぐ埋まる | 1TB以上を基準にする |
| 電源・冷却が安物 | 高負荷時に不安定・故障リスク | 電源容量とケースの評判を確認する |
落とし穴1|VRAM8GBは「安いから」で選ぶと損をする
いちばん多い失敗が、GPUのVRAM(グラフィックメモリ)を見ずに買ってしまうケースです。同じ型番のGPUでも8GB版と16GB版があり、BTOでの価格差はわずか1〜1.5万円程度しかありません。それにもかかわらず、性能差は設定次第で大きく変わります。フルHD・標準的な画質設定なら差は数%程度とわずかですが、WQHD以上の高画質設定やレイトレーシングを使う場面では、8GB版は16GB版に対して2割以上のfps低下が実測されています。
- 価格差はごくわずか
- 同じCPU・同じ筐体で比べても、VRAM8GB版と16GB版の差は1〜1.5万円程度に収まることが多いです。この程度の差なら、迷わず16GB版を選ぶのが合理的です。
- 「軽い設定なら差はない」は半分だけ正しい
- フルHD・標準設定では8GB版と16GB版の差はわずかですが、WQHD以上や高画質設定・レイトレーシングを使うと状況が一変します。VRAMが足りなくなるとfpsが2割以上落ち込む、あるいはカクつきが出るケースが報告されています。「今は軽い設定で満足していても、後で画質を上げたくなる」可能性まで考えておきましょう。
- 「型番は同じ」に油断しない
- 同じ「RTX 5060 Ti」という名前でも、8GB版と16GB版では性能も価格も別物です。購入ページのスペック表で必ずVRAM容量(GB)の欄を確認してください。
落とし穴2|GPUだけ豪華、CPUが型落ちのアンバランス構成
BTOの購入ページは「グラフィックボード:RTX〇〇搭載!」という見出しが目立つように作られています。そのため、CPUの型番を見落として、GPUは最新世代なのにCPUだけ2〜3世代前の下位モデルという組み合わせを選んでしまうことがあります。
- CPUが弱いとGPUの性能を出し切れない
- GPUがどれだけ高性能でも、CPUの処理が追いつかなければ「CPU律速」でfpsが頭打ちになります。とくにVALORANTやApex LegendsのようなCPU依存の強い競技系FPSで顕著です。
- 型落ちの下位モデルに注意
- 型落ちの下位グレードCPU(コア数・スレッド数が少ないモデル)は価格を抑えられる一方、上位GPUと組み合わせるとボトルネックになりやすい組み合わせです。安さの理由がCPU側にあるケースは珍しくありません。
- GPUとCPUは「釣り合い」で見る
- 上位GPUを選ぶなら、CPUも相応のグレード(型落ちでも良いので現行に近い世代のミドル〜上位モデル)を組み合わせるのが基本です。CPUだけ極端に安いモデルは要注意です。
くわしいCPUとGPUの組み合わせ方は、CPUの選び方とグラフィックボードの選び方も参考にしてください。
落とし穴3|メモリ8GBは論外、16GBもギリギリ
メモリ(RAM)は、価格を抑えるために削られやすいパーツです。2026年時点で8GBは明確に力不足で、OSとゲームを起動しただけで余裕がなくなり、カクつきや読み込み待ちの原因になります。
| メモリ容量 | 評価 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 8GB | 論外。避ける | なし(すぐ買い替えたくなる) |
| 16GB | 最低ライン | 軽めのゲーム中心・予算最優先の場合 |
| 32GB | 安心の標準 | 長く使いたい・配信や複数タイトルの併用も見込む場合 |
メモリ価格は高騰が続いていますが、ここを削ると満足度に直結します。予算が厳しい場合は、先にストレージ容量やケースのグレードを見直すほうが賢明です。
落とし穴4|ストレージ256〜500GBは「今のゲーム」を知らない構成
BTOの最安構成でよく見かけるのが、ストレージ256GBや500GBのモデルです。一見「動画や写真を保存するわけじゃないから十分」と思いがちですが、最近の大作ゲームは1本で100GB前後を消費することも珍しくありません。OSと基本ソフトだけで数十GBを使うため、256〜500GBだとゲームを2〜3本入れただけで空き容量がなくなります。
- 大作タイトルは1本で100GB前後
- 大規模なオンラインFPSや最新のAAAタイトルは、追加コンテンツを含めると100GBを超えることも増えています。複数タイトルを併用するなら、この規模感を基準に容量を見積もる必要があります。
- アップデートで容量は増え続ける
- 発売時は軽くても、シーズン更新やパッチで容量が膨らんでいくのが近年の傾向です。購入時点の容量だけで判断すると、数か月後に窮屈になります。
- 1TB以上を基準に
- 1本のゲームに腰を据えて遊ぶ場合でも、OS・Steam・複数タイトルの併用を考えると1TBが実質的な最低ラインです。予算に余裕があれば2TBも検討しましょう。
落とし穴5|電源・冷却の軽視は「見えない地雷」
GPU・CPU・メモリ・ストレージに比べて、電源ユニットやケースの冷却性能は購入ページで目立ちにくいパーツです。しかし、ここを軽視すると高負荷時の不安定動作や、最悪の場合は故障につながります。
- 電源は「容量」だけでなく「品質」も見る
- 極端に安価な電源は、変換効率や耐久性に不安が残ることがあります。80PLUS認証(Bronze以上が目安)の有無は、電源の品質を見分ける簡単な指標になります。
- 冷却不足はfpsの息切れにつながる
- ケースのエアフローや冷却ファンが貧弱だと、長時間プレイで温度が上がり、性能が自動的に抑えられる「サーマルスロットリング」が起きることがあります。GPU・CPUの性能を活かせない原因になります。
- 主要BTOメーカーなら基本的なグレードは確保されている
- 国内の主要BTOメーカーは、電源・冷却とも一定水準以上を採用していることが多いです。極端な格安モデルや聞き慣れないメーカーを選ぶ際は、この点を意識して比較しましょう。詳しくは[BTOゲーミングPCメーカー比較](/articles/bto-maker-comparison/)へ。
「型落ちを最新のように見せる」表記に注意
型番の意味を知らないと、実は型落ち品なのに「新しい」と錯覚してしまうことがあります。
- 型番の数字が世代を表す(ただし例外あり)
- GPU(RTX 5060など)やRyzen(9800X3Dなど)は、型番の先頭の数字が新しいほど新世代という分かりやすい命名です。ただしIntelの「Core Ultra」シリーズのように、グレードを表す数字と世代を表す数字が別枠になっている複雑な命名規則もあります。「型番が大きい=上位モデル」だけで判断せず、「世代自体が新しいか」をメーカー公式の型番一覧で確認しましょう。
- 旧世代の在庫処分に注意
- 型落ち品自体が悪いわけではなく、セールでの型落ち購入は合理的な選択にもなり得ます。ただし、型落ちと知らずに新品同然の価格で買ってしまうのは避けたいところです。
- 型落ちを狙うなら価格差を確認してから
- 型落ちGPU・CPUのセール品は、価格が現行世代と比べてどれだけ下がっているかを必ず確認しましょう。値引きが小さいなら、素直に現行世代を選ぶほうが長く使えます。
こんなPCと組み合わせるモニターにも注意
性能の高いPCを選んでも、モニターが60Hzのままでは宝の持ち腐れです。高fpsを出せる構成を選んだなら、モニターも合わせて見直しましょう。詳しくはゲーミングモニターの選び方にまとめています。
予算別の「これなら安全」な考え方
「結局いくらならバランスが取れるのか」という目安は、価格帯によって変わります。
- 20万円台
- RTX 5060 Ti 16GBクラス+メモリ16〜32GB+1TB SSDが目安。この価格帯でVRAM8GBやメモリ8GBの構成が混じっていたら要注意です。
- 30万円台以上
- GPUだけでなくCPUもワンランク上げるのが基本。予算配分の考え方は[予算別ゲーミングPCの選び方](/articles/budget-gaming-pc/)で解説しています。
よくある失敗
- GPUの型番だけ見て即決する
- 同じGPU名でもVRAM容量違いがあります。必ずスペック表全体を確認しましょう。
- 「最安構成」のまま買う
- BTOの最安構成はメモリ・ストレージが削られていることが多いです。最低限16GBメモリ・1TB SSDへのアップグレードを検討しましょう。
- セールの割引率だけで判断する
- 「〇%オフ」でも、元の構成自体が弱ければお得とは言えません。中身のバランスを見てから判断しましょう。
- 電源・冷却をまったく気にしない
- 地味な部分ですが、長期的な安定性や静音性に直結します。極端な格安モデルほど、この点をチェックしましょう。
よくある質問
Q.ゲーミングPCで一番注意すべきスペックは?
A.GPUのVRAM容量です。同じGPU名でも8GBと16GBでは性能も価格も別物で、価格差はわずか1〜1.5万円程度です。フルHD・標準設定なら差は小さいですが、WQHD以上の高画質設定やレイトレーシングでは2割以上のfps差が出ることがあります。購入ページのスペック表でVRAM容量を必ず確認しましょう。
Q.安いゲーミングPCは買ってはいけない?
A.安さ自体が悪いわけではありません。ただし、GPUだけ良くてCPU・メモリ・ストレージが極端に削られている「アンバランスな安さ」には注意が必要です。何が削られて安くなっているかを確認しましょう。
Q.メモリは何GBあれば安心ですか?
A.8GBは避けるべきで、16GBが最低ラインです。長く使うつもりなら32GBが安心です。メモリは価格高騰の影響を受けやすいパーツですが、ここを削ると体感の満足度に直結します。
Q.ストレージは何GBあれば足りますか?
A.最近の大作ゲームは1本で100GB前後を消費することも珍しくありません。256〜500GBだと数本で埋まってしまうため、1TB以上を基準に選ぶのが安心です。
Q.型落ちGPU・CPUを狙うのはアリですか?
A.セールでの型落ち購入自体は合理的な選択です。ただし、型落ちと知らずに割高な価格で買ってしまうのは避けたいところです。現行世代との価格差をしっかり確認してから判断しましょう。
まとめ・次に読みたい記事
ゲーミングPC選びで失敗しないコツは、GPUの型番だけでなく、CPU・メモリ・ストレージ・電源のバランスを見ることです。VRAM8GBやメモリ8GBのような「安さの裏に潜む妥協」を見抜ければ、同じ予算でもずっと満足度の高い一台に出会えます。


