「自作のほうが安い」というのは長く言われてきたことですが、2026年はメモリもSSDもGPUも値動きが激しく、この前提がいまも成り立つのかはっきりしません。

実際に積み上げて確かめました。2026年9月20日時点の実売価格で、BTO完成品と同じ構成をパーツから組んだらいくらになるかを計算し、比較しています。

結果を先に言うと、自作のほうがまだ安いです。ただしその差は9,393円で、BTO価格の5%ほどしかありません。しかも今回の見直しの過程で、以前この記事で参照していたメモリの型番が実は大きく値上がりしていたことが分かりました。型番を1つ確認しただけで満足せず、複数の店・型番を横断して確かめた結果をこの記事にまとめています。

先に結論

はじめてのゲーミングPC → BTO
組み立ての失敗リスクと切り分けの手間がありません。価格差もいまはわずかです。
ケース・電源・ストレージを流用できる → 自作
流用したぶんがそのまま差額になります。
メモリやSSDを32GB・1TB以上に増やしたい → 自作
BTOのアップグレード価格は割高です。増やすほど差が開きます。
すぐ必要・保証が欲しい → BTO
一括保証とサポート窓口が付きます。
組む工程そのものを楽しみたい → 自作
ここは価格では測れない価値です。

価格だけで見れば自作がわずかに安く済みます。ただし最小構成ならその差はごくわずかで、増量するほど差が開く関係になっています。

実際に積み上げてみた

比較の基準にしたのは、ドスパラのRTX 5060搭載機(THIRDWAVE AD-R7X56A-01W)です。2026年9月20日時点で17万4,980円、構成はRyzen 7 5700X+RTX 5060+メモリ16GB DDR4+500GB NVMe SSDでした。このモデルの価格は2026年8月14日時点で16万8,980円でしたが、9月11日に17万4,980円へ値上がりし、以後は横ばいです。

これと同じ構成を、パーツから組むといくらになるか。ドスパラと価格.comの実売価格(2026年9月20日確認)を拾って積み上げます。

CPU
Ryzen 7 5700X BOX = 31,980円
CPUクーラー
DEEPCOOL AK400(5700Xはクーラー付属なし) = 2,990円
マザーボード
MSI B550M-A PRO(AM4) = 6,580円
メモリ DDR4-3200 16GB
ADATA AX4U32008G16A-DT50(8GB×2) = 18,800円(BTO標準は16GB×1本のシングルチャンネルですが、同容量で価格を拾いやすいデュアルチャンネルキットで比較しています)
SSD 500GB NVMe
ADATA LEGEND 860(SLEG-860) = 14,980円
グラフィックボード
Colorful GeForce RTX 5060 Gaming DUO 8GB-V = 67,800円
電源 650W
玄人志向 KRPW-BD650W/85+ = 4,723円
PCケース
ZALMAN T6 = 2,980円
Windows 11 Home
パッケージ版 = 14,754円

マザーボードは在庫のあるASRock B550M Pro4(7,980円)より1,400円安いMSI B550M-A PRO(6,580円)を採用しています。

自作の合計は16万5,587円です。BTO(17万4,980円)との差は9,393円で、BTO価格の5%ほどにとどまります。

なお、この金額は各パーツの最安値を積んだ数字です。実際には複数の店をまたぐ送料や、在庫状況による上振れがあります。Windowsは1万4,754円前後、店によって多少の幅があります。

メモリは型番によって価格が大きく違う

自作のパーツ構成を組むとき、いちばん注意が必要だったのがメモリでした。以前この記事で参照していたドスパラセレクトのDDR4-3200 16GB(8GB×2)、型番D4D3200-16G2A2は、2026年9月20日時点でドスパラ公式ページを直接確認したところ3万980円まで値上がりしていました。以前確認した1万6,980円と比べると、この型番1つだけで見ればほぼ倍です。

ただし、同じ容量・同じ規格のキットがすべて値上がりしたわけではありません。同じドスパラでADATA AX4U32008G16A-DT50を確認すると1万8,800円で在庫がありました。なぜ型番によってここまで差が出るのかはドスパラの商品ページからは分かりませんが、1つの型番の値上がりだけを見て「メモリ全体が値上がりした」と判断するのは危険だと分かりました。この記事では値上がりした型番をそのまま使わず、同容量・同規格で買える製品に差し替えています。

CPUクーラーとWindowsを忘れないでください

自作の見積もりで抜けやすいのがこの2つです。

Ryzen 7 5700XにはCPUクーラーが付属しません。別途3,000円弱から必要になります。クーラーの選び方はCPUクーラーの選び方にまとめました。

そしてWindowsは1万4,754円ほどします。パーツ代(Windowsとクーラーを除く)だけで比較すると自作は2万7,000円ほど安く見えますが、この2つ(合計1万7,744円)を足すと差は9,393円まで縮みます。

アップグレードすると差はどう動くか

最小構成同士の比較では、差は9,393円でした。それならメモリやSSDを増やしたときはどうなるのか、確かめます。

ドスパラの公式カスタマイズ画面で、同じTHIRDWAVE AD-R7X56A-01Wをメモリ32GB・SSD 1TBにアップグレードすると、価格は21万8,930円になります(2026年9月20日確認、標準構成から4万3,950円アップ)。

自作側も同じ構成に揃えて計算し直します。

項目自作(32GB+1TB)BTOのアップグレード価格
メモリDDR4-3200 32GB=35,980円32GB(+24,950円)
SSD1TB NVMe=26,980円1TB(+19,000円)
その他パーツ+Windows131,807円—
合計194,767円218,930円

差は2万4,163円まで広がりました。最小構成での差(9,393円)の約2.6倍です。

理由はBTOのアップグレード価格が、パーツの実売価格より割高だからです。メモリを16GBから32GBに増やすとBTOでは2万4,950円かかりますが、同じ増量を自作パーツで賄うなら1万7,180円で済みます。SSDも500GBから1TBへの増量がBTOでは1万9,000円、自作パーツなら1万2,000円です。増やすほど、BTO側の上乗せ分がそのまま自作の得になります。

つまり最小構成に近いBTOほど自作との差は縮み、フル装備に近づけるほど自作の実利が増えます。ただし今回計算に使ったBTOのメモリ32GBアップグレード価格(2万4,950円)は、2026年9月20日時点で「半額祭」という期間限定キャンペーン価格でした。通常は4万9,900円かかるため、セールが終われば自作との差はさらに開く可能性があります。各社のセール状況はゲーミングPCのセール時期とお得な買い方にまとめています。

副産物 — SSDの容量差はまた価格差に戻った

計算の途中で気づいた点も書いておきます。

2026年8月に確認したときは、500GBと1TBの価格差が3,151円しかなく「容量が倍でも大差ない」状態でした。今回確認し直すと、500GBが1万4,980円、1TBが2万6,980円で、差は1万2,000円まで開いています。

SSDの実売価格自体はどちらも当時より下がっていますが、容量による価格差はいったん縮んでからまた開いた形です。ストレージの相場は動きが速いので、「いつ見ても1TBが得」とは言い切れません。買うタイミングでその都度、実際の価格差を確認してください。

その差額で何を買っているのか

自作が9,000円台からアップグレード構成では2万4,000円台まで安いとして、その差はBTO側の何に対する対価なのか。整理します。

組み立ての手間
パーツを揃えて組み上げるまでに、慣れていれば2〜3時間、はじめてなら半日以上かかります。この時間をどう評価するかは人によります。
動作確認済みという状態
BTOは組み上げた状態で動作確認されて出荷されます。自作では、電源が入らないときに原因がCPUなのかメモリなのかマザーボードなのかを、自分で切り分ける必要があります。
一括保証と窓口の一本化
ここがいちばん大きい差です。自作はパーツごとに別々のメーカー保証になり、故障時はどのパーツが原因かを特定してから、そのメーカーに個別に対応してもらう流れになります。BTOなら本体まるごと1つの窓口で済みます。
相性問題の責任
メモリとマザーボードの組み合わせなど、規格上は合っていても安定しないケースがあります。BTOならメーカー側が検証済みの組み合わせです。

9,000円ほどの差なら、はじめての人はBTOを選ぶほうが合理的だと考えています。トラブル時に「どこが悪いか分からない」状態で止まってしまうリスクを、その金額で回避できるからです。

逆に、自分で切り分けられる知識がある人にとっては、この保証の価値は下がります。判断は価格ではなく、自分がトラブルを処理できるかどうかで決まります。

自作が有利になる条件

もうひとつ、条件があります。Radeonの価格差は自作でしか受け取れません。同じドスパラでもBTOでは差が縮みます。詳しくはRadeonは買いか(単体は8万円安いのにBTOでは5,000円差)に書きました。

差額が大きくなるのは、次のようなケースです。

ケース・電源・ストレージを流用できる
これが最大の要因です。ケース2,980円、電源4,723円、SSD1万4,980円を流用できるだけで、自作側は約2万2,683円(約2.3万円)安くなります。買い替えではなく組み直しなら、自作の優位は明確です。
Windowsのライセンスを流用できる
パッケージ版のライセンスは、条件を満たせば別のPCへ移行できます。1万4,754円(約1.5万円)の差になります。
構成を細かく指定したい
特定のケース、特定の電源、特定のクーラー。BTOのカスタマイズ画面にない組み合わせを実現できるのは自作だけです。
メモリやSSDを32GB・1TB以上に増やしたい
BTOのアップグレード価格は実売価格より割高です。32GB・1TBまで増やすと、自作との差は2万4,000円台まで開きます。

流用を前提にするなら、アップグレードで延命すべきか、買い替えるべきかもあわせて読んでみてください。パーツごとに「いま替えるべきか待つべきか」を整理しています。

BTOが有利になる条件

はじめてのゲーミングPC
組み立てで失敗したときの切り分けは、経験がないとかなり難しくなります。最初の1台は組み上がった状態で買うほうが確実です。
最小構成のまま買う
上で見たとおり、素の構成なら自作との差はすでに9,000円ほどです。ここまで縮んでいれば、保証と手間を買う値段として十分に合理的です。
すぐに使いたい
パーツを揃えるには複数の店を回るか、在庫を待つ必要があります。BTOなら注文から数日で届く体制のメーカーもあります。
保証とサポートが欲しい
本体まるごと1年保証、電話やチャットの窓口。トラブル時に相談先があることの価値は、慣れていない人ほど大きくなります。

メーカー選びはBTOゲーミングPCメーカー比較、価格帯ごとの目安は予算別ゲーミングPCの選び方にまとめています。

見落とされがちなコスト

自作の見積もりを作るときに抜けやすい項目です。

Windows 11 Home
1万4,754円前後。店によって多少の幅があります。
CPUクーラー
3,000円弱〜。付属しないCPUが増えています。
送料
0〜数千円。複数店をまたぐと積み上がります。
工具・グリス
1,000円前後。はじめての1台では必要になります。
組み立ての時間
2時間〜半日。はじめてならさらにかかります。
トラブル時の切り分け
数時間〜数日。原因が分からないと進みません。

とくに最後の2つは金額に表れませんが、実質的なコストです。「安く上がったが3日動かなかった」では、差額の意味がなくなります。

よくある失敗

パーツ代だけで比較する
Windowsが1万4,754円ほど、CPUクーラーが必要な場合はさらに3,000円近くかかります。これを入れずに比較すると、自作が実際より安く見えます。
型番を1つ確認しただけで判断する
同じ容量・同じ規格のメモリでも、型番によって価格は大きく違います。この記事で以前参照していた型番は3万980円まで値上がりしていましたが、別の型番なら1万8,800円で買えました。1つの型番の値上がりだけを見て「メモリ全体が値上がりした」と判断しないでください。
保証の違いを軽く見る
自作はパーツごとの個別保証です。故障時は原因を特定してから各メーカーに個別対応してもらう流れになります。切り分けができない人には重い作業です。
BTOの最安構成をそのまま基準にする
BTOの最安モデルはストレージ500GBや前世代CPUといった割り切りを含みます。自作側と条件を揃えて比べてください。
500GBと1TBの価格差を確認せずに決める
2026年9月時点で500GBが1万4,980円、1TBが2万6,980円と差は1万2,000円あります。時期によって差が縮んだり開いたりするので、買う直前に確認してください。

よくある質問

Q.2026年、BTOと自作はどっちが安いですか?

A.自作です。ただし差はわずかです。2026年9月20日時点の実売価格で同じ構成を積み上げたところ、自作が約16万5,587円、通常価格のBTOが17万4,980円で、差は9,393円でした。

Q.自作の合計金額が以前の記事と変わったのはなぜですか?

A.参照していたメモリの型番が値上がりしていたためです。2026年9月20日にあらためてドスパラ公式ページを直接確認したところ、DDR4-3200 16GB(8GB×2)の該当型番が1万6,980円から3万980円まで値上がりしていました。同容量・同規格でも別の型番なら1万8,800円で買えたため、値上がりした型番のまま計算を続けず、価格を全面的に洗い直しました。

Q.自作の見積もりで忘れやすいものは?

A.WindowsとCPUクーラーです。Windows 11 Homeのパッケージ版は1万4,754円ほどします。またRyzen 7 5700XのようにCPUクーラーが付属しないモデルもあり、別途3,000円近くかかります。送料や工具、グリスも積み上がります。

Q.はじめてならどちらがいいですか?

A.BTOです。組み立てで失敗したときに、原因がCPUなのかメモリなのかマザーボードなのかを切り分けるのは、経験がないとかなり難しくなります。最小構成でも差は9,000円ほどなので、その金額で保証と手間を買えると考えられます。

Q.自作が明確に有利になるのはどんなときですか?

A.流用できるパーツがあるとき、そしてメモリやSSDを増やしたいときです。ケース2,980円、電源4,723円、SSD1万4,980円を流用できるだけで約2.3万円安くなります。またメモリを32GB・SSDを1TBまで増やす場合、BTOのアップグレード価格は実売価格より割高なため、差は2万4,163円ほどまで広がります。Windowsのライセンスも条件を満たせば移行でき、1万4,754円ほどの差になります。

Q.保証はどのくらい違いますか?

A.自作はパーツごとに別々のメーカー保証になります。故障時はどのパーツが原因かを自分で特定し、そのメーカーへ個別に対応してもらう流れです。BTOは本体まるごと1つの窓口で済みます。この違いは、トラブルを自分で処理できるかどうかで価値が変わります。

Q.SSDは500GBと1TB、どちらで組むべきですか?

A.用途によります。2026年9月時点で500GB NVMeが1万4,980円、1TBが2万6,980円で、差は1万2,000円あります。2026年8月時点は差がわずか3,151円でしたが、いまは容量なりの価格差に戻っています。動画や大作ゲームを何本も入れるなら1TB、ライトな用途なら500GBで十分です。

Q.パーツはどこで買えばいいですか?

A.価格.comなどで最安値を確認しつつ、あまり店を分散させないほうが送料と手間を抑えられます。ただし同じ容量・規格でも型番によって価格が大きく違うことがあるため、1つの型番だけで決めず複数の型番を比較してください。この記事の金額は各パーツの最安を積んだ数字なので、実際には多少上振れすると考えてください。

まとめ・次に読みたい記事

2026年9月20日時点の実売価格で積み上げた結果、同じ構成の自作は約16万5,587円、通常価格のBTOは17万4,980円でした。差は9,393円、BTO価格の5%ほどです。

見直しの過程では、以前参照していたメモリの型番が1万6,980円から3万980円まで値上がりしていたことも分かりました。同容量・同規格の別型番なら1万8,800円で買えたため、値上がりした型番のまま計算を続けず、この記事の数字を全面的に洗い直しています。

逆に、メモリ32GB・SSD1TBまで増やすと差は広がります。BTOの公式アップグレード価格が実売価格より割高なため、差は約2万4,163円まで開きます。最小構成に近いほどBTOが有利、フル装備に近づけるほど自作が有利という関係です。

この差額で買っているのは、組み立ての手間・動作確認済みという状態・一括保証・相性問題の責任です。9,000円ほどでそれが手に入るなら、はじめての人にはBTOが合理的だと考えています。

逆にケース・電源・ストレージやWindowsのライセンスを流用できる、あるいはメモリやSSDを32GB・1TB以上に増やしたいなら、自作の優位は明確です。判断は「どちらが安いか」より、流用や増量の予定があるかとトラブルを自分で処理できるかの2点で決まります。