「自作のほうが安い」というのは長く言われてきたことですが、2026年はメモリもSSDもGPUも高騰しています。この前提はまだ成り立つのでしょうか。
実際に積み上げて確かめました。2026年8月10日時点の実売価格で、BTO完成品と同じ構成をパーツから組んだらいくらになるかを計算し、比較しています。
結果を先に言うと、自作のほうがまだ安いです。ただし比較相手をセール品にすると、話が変わりました。
先に結論
| こういう人 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| はじめてのゲーミングPC | BTO | 組み立ての失敗リスクと切り分けの手間がありません |
| ケース・電源・ストレージを流用できる | 自作 | 流用したぶんがそのまま差額になります |
| セールを待てる | BTO | セール品との差は1万8,000円ほどまで縮みます |
| すぐ必要・保証が欲しい | BTO | 一括保証とサポート窓口が付きます |
| 組む工程そのものを楽しみたい | 自作 | ここは価格では測れない価値です |
価格だけで見れば自作が優位です。ただしその差は、セールを使うと大きく縮みます。
実際に積み上げてみた
比較の基準にしたのは、ドスパラのRTX 5060搭載機です。2026年8月10日時点で20万4,980円、構成はRyzen 7 5700X+RTX 5060+メモリ16GB DDR4+500GB NVMe SSDでした。
これと同じ構成を、パーツから組むといくらになるか。価格.comの売れ筋ランキング(2026年8月3日〜9日集計)などから実売価格を拾って積み上げます。
| パーツ | 選んだ製品の例 | 実売価格 |
|---|---|---|
| CPU | Ryzen 7 5700X BOX | 31,980円 |
| CPUクーラー | DEEPCOOL AK400(5700Xは付属なし) | 2,758円 |
| マザーボード | ASRock B550M Pro4(AM4) | 7,980円 |
| メモリ DDR4-3200 16GB | ドスパラセレクト 8GB×2 | 16,980円 |
| SSD 500GB NVMe | Crucial P1 NVMe | 16,829円 |
| グラフィックボード | RTX 5060 | 59,600円 |
| 電源 650W | 玄人志向 KRPW-BD650W/85+ | 4,923円 |
| PCケース | ZALMAN T6 | 2,981円 |
| Windows 11 Home | パッケージ版 | 16,285円 |
| 合計 | 160,316円 |
自作は約16万円、BTOは20万4,980円。差は約4万4,700円です。BTO価格の22%にあたります。
なお、この金額は各パーツの最安値を積んだ数字です。実際には複数の店をまたぐ送料や、在庫状況による上振れがあります。Windowsは1.6万〜1.9万円と店によって幅があるので、そこも変動要素です。
CPUクーラーとWindowsを忘れないでください
自作の見積もりで抜けやすいのがこの2つです。
Ryzen 7 5700XにはCPUクーラーが付属しません。別途2,000円台から必要になります。クーラーの選び方はCPUクーラーの選び方にまとめました。
そしてWindowsは1.6万円以上します。パーツ代だけで比較して「自作のほうが6万円安い」と思っていると、OSを入れた時点で差が縮みます。
セール品と比べると、差は1万8,000円ほどまで縮む
ここが今回いちばん大きな発見です。
上の比較相手は通常価格のBTOでした。ところが同じ2026年8月10日時点で、フロンティアのセール品にRTX 5060+メモリ32GB+1TB SSDで19万4,800円という機種がありました。BTOのほうが安く、しかも構成が上です。
自作側も同じ32GB+1TBに揃えて計算し直します。メモリはDDR4-3200の16GB×2で揃えました。
| 項目 | 自作(32GB+1TB) | BTOセール品 |
|---|---|---|
| メモリ | DDR4-3200 32GB=30,411円 | 32GB |
| SSD | 1TB NVMe=19,980円 | 1TB |
| その他パーツ+Windows | 126,507円 | — |
| 合計 | 176,898円 | 194,800円 |
差は1万7,902円。通常価格との比較では4.4万円あった差が、1万8,000円ほどまで縮みました。
つまりセールを捕まえられるなら、自作の価格優位はほとんど残りません。しかもBTO側には組み立て済み・動作確認済み・一括保証が付いてきます。各社のセール周期はゲーミングPCのセール時期とお得な買い方にまとめました。
副産物 — 500GBより1TBのほうが得
計算の途中で気づいた点も書いておきます。
500GB NVMe SSDが16,829円、1TBが19,980円。容量が倍なのに、価格差は3,151円しかありません。SSD高騰の影響で、小容量の割高感が強くなっています。
BTOの最安構成が500GBであることが多いのは今日も各社で確認しましたが、自作なら3,000円強の追加で1TBにできます。ここは自作の実利のひとつです。
その差額で何を買っているのか
自作が1万8,000円から4万4,700円安いとして、その差はBTO側の何に対する対価なのか。整理します。
- 組み立ての手間
- パーツを揃えて組み上げるまでに、慣れていれば2〜3時間、はじめてなら半日以上かかります。この時間をどう評価するかは人によります。
- 動作確認済みという状態
- BTOは組み上げた状態で動作確認されて出荷されます。自作では、電源が入らないときに原因がCPUなのかメモリなのかマザーボードなのかを、自分で切り分ける必要があります。
- 一括保証と窓口の一本化
- ここがいちばん大きい差です。自作はパーツごとに別々のメーカー保証になり、故障時はどのパーツが原因かを特定してから、そのメーカーに個別に対応してもらう流れになります。BTOなら本体まるごと1つの窓口で済みます。
- 相性問題の責任
- メモリとマザーボードの組み合わせなど、規格上は合っていても安定しないケースがあります。BTOならメーカー側が検証済みの組み合わせです。
1万8,000円ほどの差なら、はじめての人はBTOを選ぶほうが合理的だと考えています。トラブル時に「どこが悪いか分からない」状態で止まってしまうリスクを、その金額で回避できるからです。
逆に、自分で切り分けられる知識がある人にとっては、この保証の価値は下がります。判断は価格ではなく、自分がトラブルを処理できるかどうかで決まります。
自作が有利になる条件
もうひとつ、2026年8月に顕著になった条件があります。Radeonの価格差は自作でしか受け取れません。同じドスパラでもBTOでは差が5,000円まで縮みました。詳しくはRadeonは買いか(単体は8万円安いのにBTOでは5,000円差)に書きました。
差額が大きくなるのは、次のようなケースです。
- ケース・電源・ストレージを流用できる
- これが最大の要因です。ケース3,000円、電源5,000円、SSD 17,000円を流用できるだけで、自作側は2.5万円安くなります。買い替えではなく組み直しなら、自作の優位は明確です。
- Windowsのライセンスを流用できる
- パッケージ版のライセンスは、条件を満たせば別のPCへ移行できます。1.6万円以上の差になります。
- 構成を細かく指定したい
- 特定のケース、特定の電源、特定のクーラー。BTOのカスタマイズ画面にない組み合わせを実現できるのは自作だけです。
- セールを待てない時期に買う
- BTOの価格はセールの有無で大きく動きます。セールが遠い時期なら、自作との差は4万円台まで開きます。
流用を前提にするなら、アップグレードで延命すべきか、買い替えるべきかもあわせて読んでみてください。パーツごとに「いま替えるべきか待つべきか」を整理しています。
BTOが有利になる条件
- はじめてのゲーミングPC
- 組み立てで失敗したときの切り分けは、経験がないとかなり難しくなります。最初の1台は組み上がった状態で買うほうが確実です。
- セールを捕まえられる
- 上で見たとおり、セール品なら自作との差は1万8,000円ほどです。1〜2か月待てるなら、この差額で保証と手間を買えると考えられます。
- すぐに使いたい
- パーツを揃えるには複数の店を回るか、在庫を待つ必要があります。BTOなら注文から数日で届く体制のメーカーもあります。
- 保証とサポートが欲しい
- 本体まるごと1年保証、電話やチャットの窓口。トラブル時に相談先があることの価値は、慣れていない人ほど大きくなります。
メーカー選びはBTOゲーミングPCメーカー比較、価格帯ごとの目安は予算別ゲーミングPCの選び方にまとめています。
見落とされがちなコスト
自作の見積もりを作るときに抜けやすい項目です。
| 項目 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| Windows 11 Home | 16,285円〜19,360円 | 店によって幅があります |
| CPUクーラー | 2,000円〜 | 付属しないCPUが増えています |
| 送料 | 0〜数千円 | 複数店をまたぐと積み上がります |
| 工具・グリス | 1,000円前後 | はじめての1台では必要になります |
| 組み立ての時間 | 2時間〜半日 | はじめてならさらにかかります |
| トラブル時の切り分け | 数時間〜数日 | 原因が分からないと進みません |
とくに最後の2つは金額に表れませんが、実質的なコストです。「安く上がったが3日動かなかった」では、差額の意味がなくなります。
よくある失敗
- パーツ代だけで比較する
- Windowsが1.6万円以上、CPUクーラーが必要な場合はさらに2,000円以上かかります。これを入れずに比較すると、自作が実際より安く見えます。
- 通常価格のBTOとだけ比べる
- セール品と比べると差は1万8,000円ほどまで縮みます。急いでいないなら、セールの時期も含めて比較してください。
- 保証の違いを軽く見る
- 自作はパーツごとの個別保証です。故障時は原因を特定してから各メーカーに個別対応してもらう流れになります。切り分けができない人には重い作業です。
- BTOの最安構成をそのまま基準にする
- BTOの最安モデルはストレージ500GBや前世代CPUといった割り切りを含みます。自作側と条件を揃えて比べてください。
- 500GBのSSDで組む
- 500GBが16,829円、1TBが19,980円。差は3,151円しかありません。小容量の割高感が強いので、自作なら1TBを選ぶほうが得です。
よくある質問
Q.2026年、BTOと自作はどっちが安いですか?
A.自作です。2026年8月10日時点の実売価格で同じ構成を積み上げたところ、自作が約16万316円、通常価格のBTOが20万4,980円で、差は約4万4,700円でした。ただしセール中のBTOと比べると、差は1万8,000円ほどまで縮みます。
Q.なぜセール品だと差が縮むのですか?
A.BTOの価格はセールで大きく動くためです。同じ2026年8月時点で、フロンティアのセール品にRTX 5060+メモリ32GB+1TB SSDで19万4,800円という機種がありました。自作側を同じ32GB+1TBに揃えると17万6,898円になり、差は1万7,902円です。
Q.自作の見積もりで忘れやすいものは?
A.WindowsとCPUクーラーです。Windows 11 Homeのパッケージ版は1.6万〜1.9万円します。またRyzen 7 5700XのようにCPUクーラーが付属しないモデルもあり、別途2,000円以上かかります。送料や工具、グリスも積み上がります。
Q.はじめてならどちらがいいですか?
A.BTOです。組み立てで失敗したときに、原因がCPUなのかメモリなのかマザーボードなのかを切り分けるのは、経験がないとかなり難しくなります。セール品なら差は1万8,000円ほどなので、その金額で保証と手間を買えると考えられます。
Q.自作が明確に有利になるのはどんなときですか?
A.流用できるパーツがあるときです。ケース3,000円、電源5,000円、SSD 17,000円を流用できるだけで2.5万円安くなります。Windowsのライセンスも条件を満たせば移行でき、1.6万円以上の差になります。買い替えではなく組み直しなら、自作の優位は明確です。
Q.保証はどのくらい違いますか?
A.自作はパーツごとに別々のメーカー保証になります。故障時はどのパーツが原因かを自分で特定し、そのメーカーへ個別に対応してもらう流れです。BTOは本体まるごと1つの窓口で済みます。この違いは、トラブルを自分で処理できるかどうかで価値が変わります。
Q.SSDは500GBと1TB、どちらで組むべきですか?
A.1TBです。2026年8月時点で500GB NVMeが16,829円、1TBが19,980円と、容量が倍なのに差は3,151円しかありません。SSD高騰で小容量の割高感が強くなっているためです。
Q.パーツはどこで買えばいいですか?
A.価格.comなどで最安値を確認しつつ、あまり店を分散させないほうが送料と手間を抑えられます。この記事の金額は各パーツの最安を積んだ数字なので、実際には多少上振れすると考えてください。
まとめ・次に読みたい記事
2026年8月10日時点の実売価格で積み上げた結果、同じ構成の自作は約16万円、通常価格のBTOは20万4,980円でした。自作が約4万4,700円安いという結論です。「メモリ高騰でBTOのほうが安くなった」という話も見かけますが、少なくともこの構成では成り立ちませんでした。
ただし、比較相手をセール品にすると差は1万8,000円ほどまで縮みます。しかもセール品のほうがメモリ32GB・SSD 1TBと構成が上でした。
この差額で買っているのは、組み立ての手間・動作確認済みという状態・一括保証・相性問題の責任です。1万8,000円ほどでそれが手に入るなら、はじめての人にはBTOが合理的だと考えています。
逆にケース・電源・ストレージやWindowsのライセンスを流用できるなら、自作の優位は明確です。判断は「どちらが安いか」より、流用できるパーツがあるかとトラブルを自分で処理できるかの2点で決まります。



