ゲーミングPCが届いたら、まず決めるのが置き場所です。ところがこれは、机やモニターの位置に引きずられて「空いている場所」に決まってしまいがちです。

置き場所で変わるのは、内部の温度と、掃除の頻度と、結果としてパーツの寿命です。当サイトでも掃除・メンテナンスうるさい・熱いときの対策で「床に直置きすると埃を吸いやすい」と触れてきましたが、なぜそうなるのかまでは書いていませんでした。

理由は明確です。床から30cm以下は、部屋のなかでもっともホコリが多い空間だからです。ここから始めます。

先に結論

床に直置きしないでください
台に載せるかキャスター付きのスタンドを使ってください。数千円の投資で、掃除の頻度とパーツの寿命が変わります
壁にぴったり付けないでください
排気した熱い空気を、そのまま吸い直すことになります
机の下は熱がこもりやすい場所です
使えないわけではありませんが、囲われた空間だという前提で対策してください
電源は暖房器具と分けてください
PC単体で落ちることはまずありません。危ないのは同じ回路に大電力の家電を足すことです

床に直置きしないほうがいい理由

「なんとなく良くなさそう」で終わりがちな話ですが、根拠があります。

床上30cmはハウスダストの高濃度ゾーンです
人が歩くと床のホコリが舞い上がり、その多くが床から30cmあたりの高さに滞留します。家電メーカーが「床上30cm問題」と呼ぶほど知られた現象です
PCのファンはそこから空気を吸います
多くのケースは前面の下部と底面に吸気口があります。ちょうどホコリの多い高さです。ファンが掃除機のように吸い込む、という表現は誇張ではありません
ホコリは冷却性能を直接下げます
ダストフィルターが詰まれば吸気量が落ち、ヒートシンクのフィンに詰まれば熱が逃げなくなります。温度が上がればファンが回り、うるさくなります
5cmから10cm浮かせるだけで違います
高価な台は要りません。すのこ、木の板、専用のPCスタンドで十分です

キャスター付きのスタンドを使うと、掃除のときに引き出せます。背面のケーブルを触るときも、フィルターを外すときも作業が楽になるので、頻度が上がります。掃除しやすい場所に置くこと自体が、いちばん効く対策です。

掃除の手順と頻度の目安はゲーミングPCの掃除・メンテナンスにまとめました。床置きやペットがいる環境では頻度を上げる必要がある、と書いたのはこの理由です。

カーペットの上は特に避けてください

床置きのなかでも、カーペットやラグの上は条件が悪くなります。

底面の吸気口が塞がります
電源ユニットの吸気は底面にあることが多く、毛足のある敷物の上に直接置くと空気が入りません。電源は熱がこもると寿命に響きます
繊維くずを吸い込みます
カーペット自体がホコリの供給源です。フィルターの目詰まりが早くなります
静電気が起きやすい環境です
乾燥した季節に、ケースを触ったときの放電が気になることがあります
板を1枚挟むだけでも変わります
カーペットの上で使うなら、板やスタンドを介して吸気口の下に空間を作ってください

壁との距離とケーブル分の余裕

背面には排気ファンがあります。ここが塞がると、出したばかりの熱い空気を吸い直すことになります。

最低5cm、できれば10cm以上
推奨される距離は情報源によって幅がありますが、5cmを下限、10cm以上を目安と考えておけば大きく外しません
ケーブルの曲がりぶんは別に要ります
電源ケーブルもDisplayPortも、コネクタから真後ろに数cm出ます。無理に押し込むと断線や接触不良の原因になります
側面がガラスのケースは側面も空けてください
吸気口が側面や下部にある構成があります。ケースによって空気の入口が違うので、自分のケースを確認してください
ミドルタワーは高さも奥行きも45cm前後
設置場所を測るときの目安です。詳しくはPCケースの選び方にまとめました

机の上か、机の下か

どちらにも理屈があります。

机の上机の下
ホコリ有利(床から離れる)不利(床に近い)
排熱有利(開けている)囲われやすい
作業のしやすさ端子に手が届くかがむ必要がある
机の広さ圧迫する圧迫しない
振動と騒音机に伝わりやすい距離があり気になりにくい
机の上に置けるならそのほうが有利です
ホコリと排熱の両方で条件が良くなります。ただしミドルタワーは高さ45cm前後あるので、置ける机は限られます
机の下なら三方が囲われていないか確認してください
デスクの側板と背板と壁で囲まれると、熱がこもります。背面と側面のどちらかは開けてください
机の下に置くなら足元との距離も見てください
蹴ってしまう位置にあると、稼働中の衝撃が積み重なります
振動が気になるなら防振マットが有効です
机に直接載せると、ファンやポンプの振動が天板に伝わって増幅されることがあります

なお机の下に置く場合、モニターアームを併用すると机の上が広く使えます。ただしモニターアームの選び方で書いたとおり、失敗しやすいのは机側の条件です。

直射日光と室温

窓際の直射日光は避けてください
夏場のケース表面はかなりの温度になります。内部の冷却は室温を基準に働くので、そもそもの前提が崩れます
室温が上がると性能が落ちます
CPUやGPUは温度の上限に達すると自動的に性能を落とします。同じゲームでもフレームレートが下がるという形で表れます
エアコンの効かない部屋は不利です
電気代を気にして冷房を切ると、結果的にPCの動作時間が延びて消費電力量が減らないこともあります。詳しくはゲーミングPCの電気代で扱いました
エアコンの風を直接当てる必要はありません
室温が適正なら十分です。冷風を当て続けると、季節によっては結露の心配が出ます

熱と騒音は表裏の関係にあります。置き場所を直しても改善しない場合は、うるさい・熱いときの原因と対策もご覧ください。

電源まわりは冬に問題が出ます

置き場所を決めるとき、意外に見落とされるのがコンセントの位置と容量です。

コンセント1口の定格は1500Wです
電源タップも同様で、安全に使うなら定格の8割にあたる1200W程度に抑えるのが目安になります
PC単体で超えることはまずありません
RTX 5070クラスの構成で実測400W前後、100V換算で4A程度です。モニターや周辺機器を足しても、一般的なゲーミング環境なら600W前後に収まります
危ないのは暖房器具との同時使用です
電気ストーブやセラミックヒーターは1台で1200W前後を使います。同じタップや同じ回路に挿すと、それだけで上限です。冬にブレーカーが落ちるのはこのパターンです
ブレーカーが落ちる原因はPCではありません
エアコン・電子レンジ・ドライヤーとの同時使用が引き金です。PCは最後の一押しをしているだけなので、契約アンペアを上げる前に何と同時に使っているかを確認してください

契約アンペアと基本料金の関係はゲーミングPCの電気代にまとめています。落雷や停電が多い地域なら、UPSが必要かどうかもあわせて検討してください。

そのほか避けたい環境

ペットがいる部屋の床
毛はフィルターを一気に詰まらせます。床置きを避け、掃除の頻度を上げてください
喫煙する部屋
ヤニは粘性があり、ホコリを絡めて固着します。エアダスターで飛ばしにくくなります
キッチンに近い場所
油煙も同じ理由でやっかいです。ワンルームで調理する場合は距離を取ってください
クローゼットや棚の中
扉を閉めれば熱がこもります。収納家具に入れるなら、背板を外すか常に開けておく前提にしてください
床暖房の上
下から加熱される環境は、底面から吸気するケースにとって不利です

置き場所を決める前に測るもの

本体の高さ・幅・奥行き
ミドルタワーで高さ45cm前後、奥行き45cm前後が目安です
背面に確保する余裕
壁からの距離10cmに加えて、ケーブルが曲がるぶんを見てください
コンセントまでの距離
延長コードを足すなら、その分の定格も確認が必要です
モニターケーブルの長さ
机の下に置くと、上に置く場合より1m前後は余分に必要になります。同梱のケーブルでは届かないことがあります

購入直後にやることの全体像はゲーミングPCを買ったらやることにまとめています。

よくある質問

Q.ゲーミングPCを床に直置きしてもいいですか?

A.おすすめしません。床から30cm以下は部屋のなかでもっともホコリが多い空間で、家電業界では床上30cm問題と呼ばれています。多くのケースは前面下部と底面から吸気するため、その高さのホコリを直接吸い込むことになります。台やスタンドで5cmから10cm浮かせるだけでも変わります。

Q.カーペットの上に置いても大丈夫ですか?

A.床置きのなかでも条件が悪くなります。底面の吸気口が塞がりやすく、電源ユニットの冷却に影響します。カーペット自体が繊維くずの供給源でもあるため、フィルターの目詰まりが早くなります。どうしてもその場所に置くなら、板やスタンドを挟んで吸気口の下に空間を作ってください。

Q.壁からどれくらい離せばいいですか?

A.最低5cm、できれば10cm以上が目安です。推奨値は情報源によって幅がありますが、この範囲を確保しておけば大きく外しません。加えて電源ケーブルやDisplayPortのコネクタが真後ろに数cm出るので、その曲がりぶんの余裕も別に必要です。

Q.机の上と机の下、どちらがいいですか?

A.ホコリと排熱では机の上が有利です。床から離れ、周囲も開けているためです。ただしミドルタワーは高さ45cm前後あるので、置ける机は限られます。机の下に置く場合は、側板と背板と壁の三方で囲まれていないかを確認し、背面か側面のどちらかを開けてください。

Q.ゲーミングPCでブレーカーは落ちますか?

A.PC単体ではまず落ちません。RTX 5070クラスの構成で実測400W前後、100V換算で4A程度です。落ちるとしたら、電気ストーブ(1200W前後)やエアコン、電子レンジ、ドライヤーと同じ回路で同時に使ったときです。契約アンペアを上げる前に、何と同時に使っているかを確認してください。

Q.エアコンの風をPCに当てたほうがいいですか?

A.必要ありません。室温が適正なら十分です。冷風を直接当て続けると、季節によっては結露の心配が出ます。それよりも、冷房を切って室温が上がるほうが問題です。CPUやGPUは温度の上限に達すると性能を落とすため、フレームレートの低下という形で表れます。

Q.クローゼットや収納家具に入れてもいいですか?

A.扉を閉める前提なら避けてください。排気した熱がそのままこもります。どうしても収納に入れるなら、背板を外すか、常に扉を開けておける構成にしてください。同じ理由で、床暖房の上も底面から吸気するケースには不利です。

Q.ペットがいる部屋ではどうすればいいですか?

A.床置きを避けたうえで、掃除の頻度を上げてください。毛はダストフィルターを一気に詰まらせます。キャスター付きのスタンドに載せておくと引き出して作業できるので、掃除のハードルが下がります。

まとめ・次に読みたい記事

置き場所は、性能を上げる話ではなく、買ったときの性能をどれだけ長く保てるかという話です。

いちばん効くのは床から浮かせることです。床から30cm以下はホコリがもっとも多い空間で、PCの吸気口はちょうどその高さにあります。台やスタンドで5cmから10cm上げるだけで、吸い込む量が変わります。カーペットの上はさらに条件が悪いので、板を1枚挟んでください。

次に壁との距離です。最低5cm、できれば10cm以上。ケーブルが曲がるぶんの余裕も別に必要になります。

机の上に置けるなら、ホコリと排熱の両方で有利です。机の下に置く場合は、三方を囲まれていないかだけ確認してください。

そして電源です。PC単体でブレーカーが落ちることはまずありません。冬に落ちるようになったら、暖房器具と同じ回路に挿していないかを疑ってください。

最後にひとつ。掃除しやすい場所に置くこと自体が対策になります。引き出せる場所にあれば手が伸びますし、面倒な場所にあれば放置されます。1年後の内部の状態は、性能ではなく置き場所で決まります。