『Dead by Daylight』(DbD)は、1人のキラーと4人のサバイバーが戦う非対称対戦ホラーです。カナダのBehaviour Interactiveが手がけ、2016年6月14日の発売から9年以上にわたって運営が続いています。累計プレイヤー数は2026年6月時点で7,000万人に達し、「史上最もプレイされたホラーゲーム」と称されるタイトルです。
このタイトルのPC選びには、他のゲームにない特徴が2つあります。ひとつは、公式の推奨スペックがまったく当てにならないこと。もうひとつは、キラーとサバイバーで必要な性能が違うことです。この記事では、その2点を軸に整理します。
先に結論
遊び方によって必要な構成が変わるのが、このタイトルの特徴です。
| こういう人 | 重視すべきパーツ | 理由 |
|---|---|---|
| サバイバー中心 | GPUは控えめでよい | 描画負荷は現行エントリーGPUで足ります |
| キラー中心 | 一段余裕のある構成 | サバイバーより負荷が高いという報告が続いているためです |
| 120fpsで遊びたい | CPU+高リフレッシュモニター | 設定で上限を上げても、活かすにはモニターが要ります |
| 公式スペックを見て判断しようとしている | いったん忘れてください | 2016年当時の表記のまま更新されていません |
大づかみに言えば、GPUを盛る必要は薄く、CPUとモニターに予算を回すのが正解です。理由は以下で説明します。
公式の動作環境は、2016年のまま止まっている
まずSteamストアに掲載されている公式のシステム要件を見てください。
| 項目 | 最低 | 推奨 |
|---|---|---|
| OS | Windows 10 64bit | Windows 10 64bit |
| CPU | Core i3-4170 / FX-8120 | Core i3-4170 / FX-8300以上 |
| メモリ | 8GB | 8GB |
| GPU | GTX 460 1GB / HD 6850 1GB | GeForce 760 / HD 8800以上(4GB) |
| DirectX | Version 11 | Version 11 |
| ストレージ | 50GB | 50GB |
違和感に気づいたでしょうか。推奨CPUが最低CPUとほぼ同じCore i3-4170(2014年発売のデュアルコア)で、推奨GPUがGeForce 760(2013年発売)。メモリは最低も推奨も8GBのまま。DirectXは11と書かれています。
これは2016年の発売当時に設定された数値が、そのまま残っているためです。
その間に、エンジンは2回変わっています
問題は、DbDがこの9年間で大きく作り変えられていることです。
- 2024年4月23日 - アップデート7.7.0でUnreal Engine 5へ移行
- Unreal Engine 4からUE5への移行が行われました。移行直後はスタッタリング(一瞬のカクつき)や、キラーの窓越え・パレット破壊時の挙動に問題が報告されています。
- 2026年4月28日 - アップデート9.6.0でUE 5.6.1へ更新
- UE 5.4.4からUE 5.6.1へ、エンジンのバージョンがさらに引き上げられました。エンジン更新を含むため、通常より配信サイズが大きいアップデートとして告知されています。
2度のエンジン刷新を経ても、Steamの動作環境表記は更新されていません。つまりGeForce 760という数字は、UE4時代の、しかも初期の目安です。これを信じてPCを選ぶと、確実に足りません。
これは当サイトが繰り返し扱ってきた構造でもあります。Counter-Strike 2ではそもそも公式の推奨スペックが存在せず、Call of Duty: Modern Warfare 4ではスペック表に載っていない必須条件がありました。公式表記をそのまま信じられないタイトルは、思っているより多いのです。
キラーとサバイバーで、必要な性能が違う
ここがDbDならではの部分です。
プレイヤーの報告を見ていくと、同じPCでもキラーをプレイしたときのほうがfpsが低いという声が一貫して挙がっています。サバイバーで40〜50fps出ている環境で、キラーだと25〜35fpsまで落ちるといった報告が、公式フォーラムに蓄積されています。
「キラーがホストだから」という説明は、もう古い
ここで注意が必要です。この現象の理由として、「キラーがホスト役を担っているから」という説明がいまも広く出回っています。ですが、これは現在の仕様ではありません。
DbDは2019年夏に専用サーバー(dedicated servers)へ移行しています。開発元のBehaviour Interactiveが公式に告知しており、それ以前はキラーがランクマッチのホストを務めていましたが、移行後は全プレイヤーがデータセンターのサーバーに接続する方式に変わりました。サバイバーの移動や操作の判定も、キラーの回線ではなくサーバー基準になっています。
つまり「キラーがホストだから重い」という解説は、2019年以前の情報です。いまも残っているのは、当時の投稿がそのまま検索に出てくるためです。
では、なぜキラーは重いのか
専用サーバー移行後も負荷差の報告が続いていることを踏まえると、原因は通信ではなく描画と処理の量にあると考えるのが自然です。
- キラーは常に広い範囲を見渡す
- サバイバーを探して動き回るため、マップの多くを描画し続けることになります。1か所に留まって作業することが多いサバイバーとは、負荷のかかり方が違います。
- 同時に処理する対象が多い
- 4人のサバイバーとその周辺のオーラ表示、発電機、板、窓、パークの効果。キラー視点ではこれらが一度に絡んできます。
- キラー固有の能力による追加処理
- ブリンクや高速移動といった能力を持つキラーでは、視点の移動が速く描画の更新も激しくなります。使うキラーによって体感が変わるのはこのためです。
なお、これらは公開されている情報から導いた推測を含みます。Behaviour Interactiveが負荷差の原因を公式に説明した資料は見当たりませんでした。確かなのは「キラーのほうが重いという報告が長年続いている」という事実と、「その原因をホスト処理に求める説明は現在の仕様と合わない」という点です。
実務的な結論としては、キラー中心で遊ぶなら一段余裕のある構成にしておくのが安全です。回線が不安定な場合はそちらが先に問題になるので、有線接続が切れやすいときはゲーミングPCの有線LANが頻繁に切れる原因も確認してみてください。
フレームレート上限は120fpsまで上げられる
DbDにはフレームレート上限の設定があり、デフォルトでは60fps前後に制限されています。ただしこれはゲーム内の設定画面から30 / 60 / 90 / 120fpsを選べるようになっており、外部ツールを使う必要はありません。
開発元のコミュニティマネージャーも、上限値の変更は禁止行為ではないと説明しています。公式に用意された設定なので、安心して使えます。
120fpsを選ぶ意味は2つあります。ひとつは単純に描画が滑らかになること。もうひとつが入力遅延の低減で、チェイス中の細かい操作が反応しやすくなります。
ただし注意点もあります。120fps設定を活かすには、モニター側も120Hz以上に対応している必要があります。60Hzのモニターでは、いくらfpsを上げても表示されるのは60fpsぶんだけです。モニター選びはゲーミングモニターの選び方を参考にしてください。
そしてキラー側は、上で書いたとおり120fpsを安定して維持するのが難しい場面があります。設定で上限を上げても、実際にそこまで出るかは別の話だと理解しておいてください。
現実的な構成の目安
公式表記が使えないので、UE5タイトルとしての位置づけから考えます。
DbDはUnreal Engine 5製ですが、Borderlands 4やSubnautica 2のような重量級UE5タイトルとは負荷の質が違います。マップが限定的で、描画されるオブジェクトの量も抑えられているためです。とはいえ、GeForce 760で足りる時代はとうに終わっています。
- サバイバー中心・60fpsで遊ぶ/約20〜22万円
- Ryzen 7 5700X(または Core i5-14400F)+ RTX 5060 + 16GB + 1TB NVMe SSD。現行のエントリーGPUで十分に足ります。DbDのためだけに上位GPUを買う必要はありません。
- 120fpsを狙う/約23〜27万円
- Ryzen 7 7700(または Core i7-14700)+ RTX 5060 Ti 16GB + 32GB + 1TB NVMe SSD + 120Hz以上のモニター。ここでもGPUより、CPUとモニターに予算を配分するのが正解です。
- キラー中心で安定を求める/約26〜30万円
- Ryzen 7 7800X3D + RTX 5060 Ti 16GB + 32GB + 1TB NVMe SSD。キラー側は負荷が高いという報告が続いているため、CPUに余裕を持たせた構成です。多数のオブジェクトを同時に処理する場面で効いてきます。
価格は2026年8月時点の目安で、パーツ高騰の影響により変動が大きいため、購入時には各社の最新価格を確認してください。
ストレージは公式表記で50GBですが、9年ぶんのコンテンツが積み上がっているタイトルです。1TB以上のSSDを確保しておくのが安全です。
- 迷ったら定番のドスパラ(GALLERIA)
- とにかく安く狙うならフロンティア
- サポート重視ならマウス(G-Tune)
情報を探すときの注意点
DbDのPC選びで困るのが、参考にできる資料が少ないことです。
というより、残っている情報のほとんどが古いというのが実態です。この記事で扱った3つの論点は、すべて「古い情報が更新されずに残り続けている」という同じ構造をしています。
| よく見かける情報 | いつの情報か | 現在は |
|---|---|---|
| 公式推奨スペックはGeForce 760 | 2016年(発売当時) | 2度のエンジン刷新を経て未更新 |
| 国内ベンチマークはGTX 1060で60fps | 2018年(UE4時代) | UE5移行前の数値 |
| キラーがホストだから重い | 2019年夏より前 | 専用サーバーへ移行済み |
つまりDbDに関しては、日付を確認せずに情報を拾うと、ほぼ確実に古い前提を掴まされます。9年以上運営が続いているタイトルだからこそ、情報の蓄積量に対して更新が追いついていません。
この記事の内容も、2026年8月10日時点で確認したものです。エンジン更新のたびに前提は変わるので、購入前には最新の状況をご確認ください。
SteamOSでも動く数少ない対戦タイトル
もうひとつ、DbDには珍しい特徴があります。Linuxベースのシステムでも動くことです。
近年の競技系オンラインゲームは、Windowsのカーネルに深く入り込むタイプのアンチチートを採用しており、SteamOSでは起動できないものがほとんどです。フォートナイト、VALORANT、Apex Legends、Call of Dutyなどが該当します。
その中でDbDは、Easy Anti-CheatのLinux対応を有効にしている数少ないタイトルのひとつです。ValveのSteam Machineのような機器でも遊べます。詳しくはSteam Machineは買いかにまとめました。
よくある失敗
- 公式の推奨スペックを信じる
- GeForce 760は2013年のGPUです。2度のエンジン刷新を経てなお表記が更新されていないため、購入判断には使えません。
- 「キラーがホストだから重い」という解説を信じる
- 2019年夏に専用サーバーへ移行済みで、現在の仕様ではありません。当時の投稿が検索に残り続けているだけです。回線を疑う前に、CPUと描画設定を見直してください。
- 120fps設定にしてモニターが60Hzのまま
- 設定でfps上限を上げても、モニターが対応していなければ表示されません。120Hz以上のモニターとセットで考えてください。
- 古い検証記事を参考にする
- 国内の有名なベンチマーク記事にも2018年で更新が止まっているものがあります。UE4時代の数値なので、いまの目安にはなりません。
- ストレージ50GBで足りると考える
- 公式表記は50GBですが、9年ぶんのコンテンツが追加され続けているタイトルです。1TB以上のSSDを確保してください。
よくある質問
Q.Dead by Daylightの推奨スペックはどれくらいですか?
A.公式表記はCore i3-4170+GeForce 760+メモリ8GBですが、これは2016年当時の数値で、その後2度のエンジン刷新を経ても更新されていません。判断材料として使えないため、現行のエントリークラスGPU(RTX 5060相当)以上を目安にしてください。
Q.なぜキラーのほうがfpsが低いのですか?
A.開発元による公式説明は見当たりませんでした。よく見かける「キラーがホストだから」という解説は、2019年夏の専用サーバー移行以前の情報で、現在の仕様とは合いません。マップの広い範囲を見渡し続けること、4人分のオーラやパーク効果を同時に処理することなど、描画と処理の量が理由と考えるのが自然です。キラー中心なら一段余裕のある構成にしておくと安心です。
Q.60fpsの上限は解除できますか?
A.ゲーム内の設定画面から30 / 60 / 90 / 120fpsを選べます。外部ツールは不要で、開発元のコミュニティマネージャーも上限変更は禁止行為ではないと説明しています。ただし活かすには120Hz以上のモニターが必要です。
Q.GPUはどこまで必要ですか?
A.DbDのためだけなら、現行のエントリークラス(RTX 5060相当)で足ります。UE5製ですが、マップが限定的で描画されるオブジェクトも抑えられており、重量級UE5タイトルとは負荷の質が違います。GPUを盛るより、CPUとモニターに予算を回すほうが体感に効きます。
Q.エンジンはいつUE5になったのですか?
A.2024年4月23日のアップデート7.7.0でUnreal Engine 4からUE5へ移行しました。さらに2026年4月28日のアップデート9.6.0で、UE 5.4.4からUE 5.6.1へ更新されています。
Q.ストレージはどのくらい必要ですか?
A.公式表記は50GBです。ただし9年以上コンテンツが追加され続けているタイトルなので、余裕を見て1TB以上のSSDを確保しておくのが安全です。
Q.Steam MachineやSteamOSでも遊べますか?
A.遊べます。DbDはEasy Anti-CheatのLinux対応を有効にしている数少ないタイトルのひとつです。フォートナイトやVALORANT、Apex Legendsなどが動かない中で、これは大きな利点です。
Q.ノートPCでも遊べますか?
A.遊べます。ただしキラー中心で遊ぶ場合、ノート向けCPUは冷却の制約でクロックが落ちやすく、負荷が高まる場面で不利になります。キラー専であれば、同価格ならデスクトップのほうが安定します。
まとめ・次に読みたい記事
『Dead by Daylight』のPC選びは、公式の推奨スペックをいったん忘れるところから始まります。GeForce 760という表記は2016年当時のもので、2024年のUE5移行も、2026年4月のUE 5.6.1更新も反映されていません。
そのうえで押さえたいのが、キラーとサバイバーで必要な性能が違うという点です。キラー側が重いという報告は長年続いていますが、その理由としてよく語られる「キラーがホストだから」という説明は、2019年の専用サーバー移行以前のものです。キラー中心で遊ぶなら、CPUに一段余裕を持たせておくと安心です。
GPUは現行のエントリークラスで十分です。浮いた予算は、120fps設定を活かせる高リフレッシュモニターに回す——これがDbDでいちばん体感が変わる使い方だと考えています。



