エルデンリングのPC選びは、他のゲームと考え方が大きく違います。理由は2つ——フレームレートが60fps上限であること、そしてDLSSなどのアップスケーリングに公式対応していないこと。つまり「高fpsのための超ハイエンドGPU」は不要で、狙うのは「その解像度でネイティブに安定60fpsを保てるGPU」です。この記事は、実データをもとに解像度別の最適構成と、レイトレ・DLC・カクつき対策まで解説します。
先に結論(編集部のおすすめ)
「どの解像度で遊ぶか」と「レイトレを使うか」を先に決めるのが正解です。下が解像度別の安定60fps(レイトレオフ・最高設定)の目安。フルHDなら意外なほど軽く、4Kやレイトレで初めてGPUが効いてきます。
| 目標(最高設定・安定60fps) | GPUの目安 | CPUの目安 | メモリ |
|---|---|---|---|
| フルHD(レイトレオフ) | RTX 5060 | Ryzen 5 / Core i5 | 16GB |
| WQHD(レイトレオフ) | RTX 5060 Ti 16GB 〜 5070 | Ryzen 5 / Core i5 | 16GB |
| 4K(レイトレオフ) | RTX 5070 Ti / RX 7900 XTX | Ryzen 7 / Core i7 | 16〜32GB |
レイトレを最高でかけるなら、これより一段上が必要です(後述)。ポイントは、fpsは60で頭打ちなので、60fpsを超える性能はムービー以外で活きないこと。予算はGPUを盛るより、安定動作とストレージ(SSD)に配分するのが賢明です。
エルデンリングの「2つの特殊事情」
PC選びの前に、このゲーム特有の事情を押さえておきましょう。
- フレームレートは60fps上限
- 標準では最大60fps。設定で「無制限」も選べますが、ゲームの挙動が60fps前提で作られており、安定して遊ぶなら60fpsを基準に考えるのが現実的です。240fpsを狙う競技FPSとは正反対の発想になります。
- アップスケーリングに公式非対応
- 2026年時点でもDLSS / FSR / XeSSに公式対応していません。重いときに解像度を下げてAIで補う、という手が使えないため、GPUのネイティブ性能がそのまま結果に出ます。GPU選びがダイレクトに効くゲームです。
この2点から、戦略は明確です。「遊ぶ解像度でネイティブに60fpsを安定維持できるGPUを、ちょうど良く選ぶ」——これがエルデンリングの最適解です。
なぜ60fps上限なのか
エルデンリングが60fpsに制限されているのは、ゲームの挙動(物理演算・アニメーション・入力判定)がフレームレートに紐付いているという、フロム・ソフトウェア作品ならではの設計によるものです。fpsが変わると、ローリングの無敵時間やガード・パリィのタイミング、一部の物理挙動まで変化してしまうため、あえて60fpsで固定されています。
実際、MODで60fpsを超えて動かすと、回避やガードがしやすくなりゲームバランスが変わることが知られています。つまり60fps上限は手抜きではなく、設計上の仕様。だからこそPC選びでも、高fpsを追うより安定した60fpsとカクつきの少なさを優先するのが正解になります。
安定60fpsに必要なGPU(解像度別)
レイトレオフ・最高設定なら、必要なGPUは控えめです。下は解像度別のグラボ別平均fps(レイトレオフ・最高設定・ネイティブ・60fps上限を解除して計測)です。3つとも同じ目盛りで、上限の60fpsを大きく上回るのが分かります。
エルデンリング フルHD・最高設定・レイトレOFFの平均fps
DLC適用・Ryzen 7 9800X3D・ネイティブ・60fps上限を解除して計測
エルデンリング WQHD・最高設定・レイトレOFFの平均fps
DLC適用・Ryzen 7 9800X3D・ネイティブ・60fps上限を解除して計測
エルデンリング 4K・最高設定・レイトレOFFの平均fps
DLC適用・Ryzen 7 9800X3D・ネイティブ・60fps上限を解除して計測
レイトレオフなら、フルHDはミドルクラスでも大きく余裕、WQHDでもRTX 5070クラスで安定60fps、4KでもRTX 5070 Ti / RX 7900 XTXクラスがあれば安定します。RTX 5060 Ti以下は4Kでやや厳しくなります。
裏を返せば、4Kでレイトレを使わないなら、RTX 5080や5090はオーバースペック。fpsが60で頭打ちになるため、上位GPUの性能を持て余します。
レイトレをかけると話が一変する
唯一、GPUを大きく要求するのがレイトレーシングです。下は最高設定・レイトレONでの解像度別(1080p / WQHD / 4K)のグラボ別平均fps(60fps上限を解除して計測)です。3つとも同じ目盛りなので、解像度を上げるほど負荷が増す様子が一目で分かります。
エルデンリング フルHD・最高設定・レイトレONの平均fps
DLC適用・Ryzen 7 9800X3D・ネイティブ・60fps上限を解除して計測
エルデンリング WQHD・最高設定・レイトレONの平均fps
DLC適用・Ryzen 7 9800X3D・ネイティブ・60fps上限を解除して計測
エルデンリング 4K・最高設定・レイトレONの平均fps
DLC適用・Ryzen 7 9800X3D・ネイティブ・60fps上限を解除して計測。レイトレオフなら各GPUとも大きく上がる
レイトレを最高でかけると負荷は一気に跳ね上がります。4Kでレイトレ最高・安定60fpsを保てるのは、RTX 5080/RTX 4090クラス以上。RTX 5070 Tiで約62fps、RX 9070 XTで約54fps、RTX 5070以下は60fpsに届きにくくなります。Radeonは旧世代のRX 7900 XTXがレイトレで約-66%も落ちましたが、現行のRDNA 4(RX 9070 XT)はレイトレ耐性が改善しています。それでも同価格帯では、レイトレ性能はNVIDIAがやや有利です。
つまりレイトレON・安定60fpsの目安は、1080pならRTX 5060 Ti級、WQHDならRTX 5070級、4KならRTX 5080級(RTX 5070 Tiで際どい)以上です。1080pや軽めのWQHDなら、ミドルクラスでもレイトレを楽しめます。
注意したいのがVRAM容量です。エルデンリングはレイトレONで10GB以上のVRAMを要求するため、RTX 5060 Tiの8GB版は、レイトレや4KでVRAM不足になり失速します(グラフでも8GBが16GBより下に沈んでいます)。レイトレや高解像度まで楽しむなら、同じ5060 Tiでも16GB版を選びましょう。
なお、レイトレをオフにするだけでfpsは30%以上改善します。映像のこだわりが薄いなら、オフにして安定60fpsを取るのが賢い選び方です。
DLC「影の地」は本編より2〜3割重い
見落としがちなのが、DLC「Shadow of the Erdtree(影のレルム)」の負荷です。新エリアは描画が密で、同じ設定でも本編比でおおむね20〜30%fpsが落ちます。
本編でぴったり60fpsの構成だと、DLCの重いエリアで割り込むことがあります。DLCまで隅々まで快適に遊ぶなら、本編の最低ラインより一段上のGPUを選んでおくと安心です(例:4Kなら5070 Ti+αの余裕を見る)。
安定60fpsのための画質設定
fpsが足りないときは、効果の大きい設定から見直すと、画質をあまり落とさずに60fpsを取り戻せます。
- レイトレーシング → オフ
- 最も重い項目。オフにするだけでfpsが30%以上改善します。映像へのこだわりが薄いなら、まずここから下げましょう。
- シャドウ・SSAO(環境光遮蔽)→ 中
- 影と陰影の品質。最高は重いわりに見た目の差が小さいので、中に落とすとfpsを稼げます。
- 被写界深度・モーションブラー → 低/オフ
- 重めのわりに好みが分かれる効果。オフにするとfpsが上がり、敵の視認性も良くなります。
- 草・エフェクトの品質 → 中
- 広大な草原や、戦闘エフェクトの多い場面で効きます。中にすると重い局面のfpsが安定します。
- テクスチャ品質 → VRAMと相談
- fpsへの影響は小さめですが、VRAMを消費します。8GBのGPUでは高にしすぎないのが安全です。
逆に、解像度を下げるのは最後の手段に。エルデンリングはアップスケーリング非対応のため、解像度を落とすと画質の劣化がそのまま出てしまいます。まずは上の設定で詰めるのがおすすめです。
カクつき(スタッタ)対策がfps以上に大事
エルデンリングは平均fpsが足りていても、移動時やエリア切り替えで一瞬カクつく(スタッタ)ことがあるタイトルです。体感を左右するのはむしろここ。次の対策が効きます。
- ストレージはNVMe SSD必須
- HDDや古いSSDだと読み込み起因のカクつきが増えます。NVMe SSDで大幅に改善します。
- シェーダーキャッシュを無制限に
- GPUドライバ設定(NVIDIAコントロールパネル等)でシェーダーキャッシュ容量を無制限にすると、再コンパイル起因のカクつきが減ります。
- レイトレをオフにする
- fpsが30%以上改善するだけでなく、フレーム時間が安定してカクつきも減ります。
- ドライバを最新に・常駐を整理
- 最新ドライバとバックグラウンドアプリの整理で、突発的なフレーム落ちを抑えられます。
CPUとメモリはどれくらい必要か
エルデンリングは60fps上限ということもあり、CPUへの要求はそれほど高くありません。Ryzen 5 / Core i5クラスがあれば、安定60fpsには十分です。ただし、敵やエフェクトが多い場面や混雑したエリアでのカクつき(1% Lowの落ち込み)には、キャッシュの大きいRyzen X3D系が効く場面もあります。フレーム生成MODで高fpsを狙う人は、CPUも一段上にしておくと安定します。
メモリ(RAM)は16GBが最低ライン、32GBあると安心です。これから組むなら、重量級タイトルやバックグラウンド作業も見据えて32GBがおすすめ。VRAMは前述のとおり、レイトレや4Kを狙うならRTX 5060 Tiでも16GB版を選びましょう。
モニターは60〜75Hzで十分
60fps上限のエルデンリングでは、144Hzや240Hzの高リフレッシュモニターは基本的に不要です。60fpsをしっかり表示できる60〜75Hzのモニターがあれば十分。可変リフレッシュレート(G-Sync / FreeSync)に対応していると、fpsがわずかに揺れる場面でもカクつきにくくなり、より滑らかに感じられます。
予算は高Hzモニターに回すより、応答速度の良いパネルやSSD・安定性に振り分けたほうが、このゲームでは満足度が上がります。なお、エルデンリングは標準で16:9固定で、ウルトラワイド(21:9)では左右に黒帯が出ます。MODでウルトラワイド表示も可能ですが、オンライン(協力・対人)が使えなくなるため、基本は16:9モニターを前提に考えましょう。
60fps上限を解除したい場合(MODと注意点)
「高リフレッシュレートで遊びたい」場合、コミュニティMOD(ERSS-FG など)でフレーム生成を後付けし、上限を解除する方法もあります。ただしアンチチート(Easy Anti-Cheat)の制約でオフライン専用となり、オンライン要素(協力・対人)は使えません。さらに前述のとおり挙動がfpsに紐付くため、60fpsを超えると回避・ガードのしやすさなどゲームバランスが変わる点にも注意が必要です。公式機能ではないため、基本は60fps前提でPCを選び、MODは自己責任の追加要素と考えるのが安全です。
予算別の構成例(パーツ実例)
解像度別の具体的なパーツ構成です。価格は2026年6月時点のBTO完成品の目安で、メモリ高騰で変動するため、最新は各メーカーで確認してください。
- フルHD・最高・安定60fps/約21〜24万円
- Core i5-14400(または Ryzen 5 7600)+ RTX 5060 + 16GB DDR5 + 550W電源。フルHDで隅々まで快適に遊べる入門ライン。
- WQHD・最高・安定60fps/約24〜30万円
- Core i5-14400(または Ryzen 5 7600)+ RTX 5060 Ti 16GB(または RTX 5070)+ 16〜32GB DDR5 + 650W電源。DLCの重いエリアも安心の本命構成。
- 4K・最高 or レイトレ60fps/約33〜45万円
- Ryzen 7 7800X3D(または Core i7-14700)+ RTX 5070 Ti(4Kでレイトレ最高まで狙うなら RTX 5080)+ 32GB DDR5-6000 + 750W電源。
ストレージは1TB以上のSSD(NVMe)が目安。CPUは60fps上限のため過剰投資は不要で、Ryzen 5 / Core i5クラスでも十分です(4Kやレイトレで上位GPUを積むときに、釣り合うCPUへ上げる程度で問題ありません)。
BTOで買うなら、各社のミドル〜ミドルハイ帯が狙い目です。
- 迷ったら定番のドスパラ(GALLERIA)
- とにかく安く狙うならフロンティア
- サポート重視ならマウス(G-Tune)
よくある失敗
- fps目的でRTX 5080/5090を買う
- 60fps上限なので、レイトレ4Kでもなければ上位GPUは持て余します。予算はSSDや安定性に回す方が満足度が上がります。
- DLSSで底上げできると思い込む
- エルデンリングはアップスケーリング非対応。重いときに解像度を下げてDLSSで補う手が使えないため、ネイティブで60fpsを出せるGPUを選ぶ必要があります。
- 本編基準でぴったり選ぶ
- DLCの重いエリアは2〜3割重く、本編ぴったりの構成だと割り込みます。少し余裕を持たせましょう。
- カクつきをGPUのせいにする
- スタッタはSSD・シェーダーキャッシュ・ドライバが原因のことが多いです。GPUを買い替える前に設定を見直しましょう。
よくある質問
Q.エルデンリングに高性能GPUは必要ですか?
A.60fps上限なので、高fps向けの超ハイエンドGPUは不要です。フルHDならRTX 5060クラス、WQHDならRTX 5070クラス、4K(レイトレオフ)でRTX 5070 Ti〜RX 7900 XTXクラスが安定ラインです。4Kでレイトレ最高まで狙うときだけ、RTX 5080以上が必要になります。
Q.DLSSやFSRは使えますか?
A.2026年時点でも公式には非対応です。アップスケーリングで底上げできないため、遊ぶ解像度でネイティブに60fpsを出せるGPUを選ぶのが基本です。MODでの後付けは可能ですが、オフライン専用になります。
Q.Shadow of the Erdtree(DLC)は重いですか?
A.はい。新エリアは本編比でおおむね20〜30%fpsが落ちます。DLCまで快適に遊ぶなら、本編の最低ラインより一段上のGPUを選ぶと安心です。
Q.60fpsより上で遊べますか?
A.標準では60fps上限です。コミュニティMODで上限解除+フレーム生成は可能ですが、アンチチートの制約でオフライン専用になります。基本は安定60fpsを目標に選ぶのがおすすめです。
Q.エルデンリングのカクつき(スタッタ)対策は?
A.NVMe SSDを使う、GPUドライバでシェーダーキャッシュを無制限に、レイトレをオフ、ドライバを最新に——この順で見直すと改善します。平均fpsが足りていてもカクつくことがあるタイトルなので、対策の効果が大きいです。
Q.エルデンリングにレイトレは必要ですか?
A.必須ではありません。レイトレをオフにするとfpsが30%以上改善し、安定もします。映像にこだわる場合のみ、4KならRTX 5080/4090クラス以上で楽しむのがおすすめです。
まとめ・次に読みたい記事
エルデンリングは、「60fps上限」と「アップスケーリング非対応」という2つの特性から、狙うのは“その解像度でネイティブ安定60fps”です。フルHD〜WQHDならRTX 5060〜5070クラスで十分、4Kやレイトレで初めてハイクラスが必要に。fpsを盛るより、DLCの余裕とカクつき対策(SSD・シェーダーキャッシュ)に投資するのが、満足度の高い選び方です。



