ゲームをプレイしていると、画面が一瞬だけ暗くなるか乱れて、数秒後には何事もなかったように戻ってくる。よく見ると、画面右下に「ディスプレイドライバーが応答を停止し、正常に回復しました」という通知が出ていた。PC自体は落ちていないし、ブルースクリーンも出ていない。それでも、この通知が何を意味しているのか分からないまま、また同じことが起きないかと不安になる人は多いと思います。

この現象はTDR(Timeout Detection and Recovery)という、Windowsに組み込まれたGPUの自己修復機能です。名前だけ聞くと物々しいですが、仕組みを正しく理解すれば、まれに1回起きる程度なら急いでパーツを買い替える必要がない場合と、頻発していて原因をきちんと切り分けるべき場合を区別できます。この記事では、Microsoft公式のドライバー開発者向け技術文書に基づいてTDRの仕組みを正確に説明したうえで、費用のかからない確認から順番に原因を切り分けていきます。

検索すると、レジストリのTdrDelay値を伸ばして通知が出にくくする方法だけを紹介して終わる記事も見かけます。しかしそれは症状を隠す設定であって、原因を取り除く設定ではありません。この記事では対症療法で終わらせず、GPUのオーバークロック、ドライバーの不具合、サーマルスロットリング、電源ユニットの出力不足という根本原因の切り分けを軸に置き、最後に「これはGPUの買い替えを検討すべきサインなのか」という購入判断まで扱います。

まず、この記事の対象かどうかを確認する

GPUまわりの不調は、実は何種類かに分かれています。先に確定させないと、違う記事の対処法を試すことになります。

画面が一瞬暗くなるか乱れて、数秒後に元に戻る
これがこの記事の対象です。「ディスプレイドライバーが応答を停止し、正常に回復しました」という通知が出ることもあれば、通知に気づかないまま一瞬の乱れだけで終わることもあります。以降で仕組みと原因の切り分けを説明します
画面が真っ暗になったまま戻らず、グラボのファンが全開になる
TDRのリセットが失敗し、PCの強制再起動が必要になっている状態です。この記事より詳しい切り分けをゲーム中に黒画面になりグラボのファンが全開になる原因で扱っています
停止コードが表示されて再起動する
これはブルースクリーンです。TDRが繰り返された結果として停止コード0x116(VIDEO_TDR_FAILURE)に至ったケースを含め、ゲーム中にブルースクリーンが出る原因で切り分けの手順をまとめています
画面もファンもすべて止まり、電源を入れ直すか勝手に再起動する
PC全体が電力を失う症状で、GPUドライバーだけがリセットされるTDRとは別物です。ゲーム中にPCの電源が落ちる・再起動する原因を確認してください
デバイスマネージャーでディスプレイアダプターが無効化され「コード43」と表示される
TDRのリセットが短時間に繰り返された延長線上で、Windowsがそのデバイスを無効化した状態です。グラフィックボードが認識されない・コード43エラーの原因と対処法で扱っています
画面は乱れず、遊び続けるうちにfpsだけがじわじわ落ちていく
一瞬の画面の乱れがなく、時間の経過とともに徐々に重くなる場合はTDRとは別の症状です。長時間プレイでfpsがじわじわ下がる原因の切り分けを確認してください

対象が確定したら、次はTDRそのものが何を意味しているのかを確認します。

TDRとは何か 通知の正体

TDR(Timeout Detection and Recovery)は、Windows Display Driver Model(WDDM)に組み込まれた仕組みで、GPUが処理に想定以上の時間をかけたときに、システム全体をフリーズさせる代わりにグラフィックスドライバーとGPUだけをリセットして復旧させます。Microsoftの開発者向け技術文書では、この仕組みの目的をはっきり説明しています(Microsoft Learn)。ゲーム中にGPUが重い処理をしているあいだ画面が更新されないと、多くのユーザーはPCがフリーズしたと判断して電源ボタンで強制再起動してしまいます。TDRは、この「本当は動いているのに固まったように見える」状態をWindowsが検知し、ユーザーが無駄な強制再起動をしなくて済むように、必要な範囲だけを自動的に立て直す機能です。

仕組みは次のように動きます。

既定のタイムアウトは2秒
GPUスケジューラーは、実行中の処理を一時停止させる要求(プリエンプト)に対してGPUが2秒以内に応答しない場合、そのGPUがフリーズしたと判断します。この2秒という値は、レジストリのTdrDelayキーで管理されている既定値です
ドライバーとGPUを再初期化する
タイムアウトを検知すると、WindowsはディスプレイドライバーのDxgkDdiResetFromTimeout関数を呼び出し、ドライバーに再初期化とGPUのリセットを指示します。この間、ドライバーはハードウェアやメモリへのアクセスを止めるよう求められます
画面のちらつきだけで復旧が完了する
Microsoftの説明によると、正常に復旧できた場合に目に見える影響は画面のちらつき(フリッカー)だけで、これはグラフィックスの状態がリセットされて再描画されるために起きます。復旧に成功すると、「ディスプレイドライバーが応答を停止し、正常に回復しました」という通知が表示されます

この通知が出るとき、Windowsは同時にイベントビューアーへ記録を残しています。一般的には「Windowsログ」の「Application」を開き、ソースが「Display」、イベントID 4101のイベントを探すと、「Display driver ○○ stopped responding and has successfully recovered.」という詳細が見つかります。○○の部分にはドライバーの内部名が入り、NVIDIA製ならnvlddmkm、AMD製ならamdwddmg、Intel製ならigfxのような文字列が並びます。このイベント自体はWindows Vista時代から存在する古いメカニズムの延長ですが(Microsoft Learn)、現行のWindows 11でも同じイベントID・同じソース名で記録され続けています。発生日時と原因ドライバー名を確認したいときは、まずここを見てください。

1分間に5回以上起きるとブルースクリーンに格上げされる

TDRは基本的に「気づかないうちに直っている」ことを目指した機能ですが、無条件に何度でも復旧を試みるわけではありません。Microsoftの技術文書は、この上限についても明記しています(Microsoft Learn)。既定では、1分(60秒)以内に5回以上のGPUハングとその復旧が起きると、6回目でシステムはブルースクリーン化し、停止コード0x116「VIDEO_TDR_FAILURE」として記録されます。これは「復旧を試みたが失敗した」という意味ではなく、「短時間に繰り返しすぎているので、これ以上は個別のリセットで誤魔化さずシステム全体を止めて調べる」という設計上の安全弁です。

つまり、TDRの通知がたまに1回出る程度と、同じセッション中に何度も出る状態とでは、緊急度がまったく違います。後者は放置しているとブルースクリーンへ発展する一歩手前の状態です。停止コード0x116が出た場合の原因ドライバーの読み方や、他の停止コードとの見分け方はゲーム中にブルースクリーンが出る原因にまとめているので、すでにブルースクリーンまで進んでいる場合はそちらを確認してください。この記事では、ブルースクリーンに至る前の、通知だけで済んでいる段階を対象にします。

原因を切り分ける順番

TDRが起きる理由は1つではありません。Microsoftは0x116の原因として、ドライバーの更新不足、オーバークロックされたコンポーネント、メモリ設定の不整合、冷却不足、電源不足、部品自体の不良、バックグラウンドで動きすぎているプログラムを挙げています。この記事では、これに費用がかからず元に戻しやすい確認から並べる、当サイトの方針を加えて順番に整理します。

1. GPUのオーバークロック・アンダーボルト設定を戻す
設定を元に戻すだけなので、いちばん手間がかからない確認です
2. GPUドライバーの不具合を疑う
更新・ロールバック・クリーンインストールの順に、費用をかけずに試せます
3. 温度とサーマルスロットリングを確認する
モニタリングソフトを入れるだけで確認できます
4. 電源ユニットの出力不足・経年劣化を疑う
ここまでで再現しない場合に検討します
5. 特定のゲーム・アプリ側の相性を疑う
他のゲームやアプリでは起きないかを見て切り分けます
6. VRAMの物理的な不良を疑う
他の候補をすべて確認したあとの最終候補です

以下、順番に見ていきます。

1. GPUのオーバークロック・アンダーボルト設定を戻す

いちばん多く報告されている入口がここです。MSI AfterburnerやNVIDIA App、AMD Software: Adrenalin Editionでコアクロックやメモリクロックを盛っていたり、消費電力を抑えるためにアンダーボルトを設定していたりすると、普段のゲームでは安定していても、レイトレーシングや高解像度テクスチャ、シェーダーのコンパイルなど負荷が急変する場面で不安定になり、TDRとして現れることがあります。

BTOのラインアップには、グラフィックボードメーカー(ASUS・MSI・GIGABYTEなど)が出荷時点で定格よりわずかに高いクロックを設定した「OCモデル」が並ぶことがありますが、これはメーカーが動作確認済みの範囲で設定しているものです。TDRの原因として優先的に疑うべきなのは、購入後にユーザー自身がソフトウェアで追加のオーバークロックやアンダーボルトを行っている場合のほうです。

オーバークロック・アンダーボルトのソフトをすべてリセットする
MSI Afterburnerならリセットボタンを押し、Windows起動時に設定を自動適用する機能も一時的に解除します。CPUのPBOやCurve Optimizer、メモリのXMP・EXPOも候補になりますが、最初はGPU側の変更だけを戻して様子を見てください。一度に複数戻すと、どれが原因だったか分からなくなります
定格の状態でしばらくプレイする
この状態でTDRが起きなくなれば、原因はほぼ確定です。OC耐性はGPUの個体差やドライバーのバージョンで変わるため、以前は通っていた設定が新しいゲームや新しいドライバーで通らなくなることは珍しくありません

2. GPUドライバーの不具合を疑う

オーバークロックが原因でなければ、次はドライバー側です。TDRが特定のドライバーバージョンへ更新した直後から始まった場合や、Windows Updateの直後に始まった場合は、ここが濃厚な候補になります。

最新の安定版に更新する、または直前のバージョンへ戻す
更新直後から始まったなら、ロールバックして切り分けます。長期間更新していないなら、最新の安定版を適用してください
改善しなければクリーンインストールを行う
上書き更新では古い設定や残骸が引き継がれることがあります。NVIDIAのインストーラーには「クリーンインストール」を選ぶ機能があり、AMDには公式のCleanup Utilityがあります。それでも直らない場合の最終手段としてDDU(Display Driver Uninstaller)によるセーフモードでの完全削除があります。具体的な手順とGame Ready・Studioどちらを選ぶべきかの判断基準はGPUドライバーは頻繁に更新すべきかにまとめています
Windows Updateの直後から始まった場合
GPUドライバー自体を変更していなくても、Windows Updateの適用がGPUドライバーとの組み合わせで表示トラブルを起こすことがあります。更新履歴との突き合わせ方はWindows Updateでfpsが下がった・クラッシュする原因と直し方で確認してください
オーバーレイ系のソフトを一度すべて止める
配信ソフト、モニタリングツール、ゲームランチャーのオーバーレイは、いずれもGPUの描画処理に割り込みます。切って再現するか確認してください

3. 温度とサーマルスロットリングを確認する

ドライバーとOCに問題がなければ、次は温度です。GPUが上限温度に近づくと性能を落として発熱を抑えようとしますが、それでも処理が追いつかず、GPUスケジューラーへの応答が2秒を超えてしまう場合にTDRとして現れることがあります。この場合、TDRは症状であって、本当の原因は冷却不足にあります。

モニタリングソフトでログを取りながらプレイする
HWiNFOなどでログ機能を有効にし、GPUのコア温度、ホットスポット温度、VRAM温度、クロック、消費電力を記録しておくと、TDRが起きた瞬間の直前の状態を後から確認できます。使い方はGPU/CPU温度とクロックの正常値の見方にまとめています
埃と設置場所を疑う
掃除やファンカーブの調整だけで直ることが多く、費用もかかりません。音の種類から原因を切り分ける方法はゲーミングPCがうるさい原因にまとめています
簡易水冷ならポンプを疑う
CPUクーラーがポンプ式で、CPU側の熱がケース内にこもってGPUの排熱効率まで落ちている場合があります。ポンプの前兆の見分け方は簡易水冷が壊れかけるとどうなるかで扱っています
GPUのグリスやサーマルパッドの劣化を疑う
長期間使ったGPUで、起動直後は正常でも高負荷が続くと温度が上がっていく場合に当てはまります。GPU用のグリス塗り直しは保証への影響が大きいため、まずはCPU側のグリス劣化の考え方(CPUグリスの塗り直し方)を参考に、症状の見分け方だけ確認し、GPU側の分解はメーカーへの相談を優先してください

温度が正常な範囲に収まっているのにTDRが起きる場合は、次の原因に進みます。

4. 電源ユニットの出力不足・経年劣化を疑う

温度もドライバーも問題ないのにTDRが続く場合、ようやく電源ユニットを検討します。GPUの瞬間的な消費電力の跳ね上がり(トランジェント負荷)に電源ユニットが耐えられず、GPUへの電圧が一瞬乱れると、GPU自体が正常に処理を続けられなくなり、TDRとして検知されることがあります。

GPUの推奨電源容量と、瞬間的な跳ね上がりへの耐性を確認する
カタログ上の定格消費電力を満たしていても、この一瞬の跳ね上がりに耐えられない電源ユニットでは不安定になります。ATX 3.0以降はこの耐性を規格として要求していますが、詳しい数値と規格の読み方はゲーミングPCの電源ユニットの選び方にまとめています
補助電源の分岐ケーブルを見直す
8ピン端子が複数あるGPUで、1本のケーブルを分岐させて使っていると、高負荷時に電流が集中しやすくなります。GPU補助電源は分岐ケーブル1本で大丈夫かを確認してください
経年劣化を疑う
電源ユニット内部のコンデンサは使用年数とともに劣化し、高負荷時の電圧を安定して支えられなくなります。長年同じ電源ユニットを使っているPCほど検討する価値があります
別の動作確認済みの電源ユニットに一時的に交換して試す
手持ちがない場合は、購入店やメーカーに相談してください。ここまでの確認内容(温度は正常だった、ドライバーはクリーンインストール済み、OCは解除済み)を伝えると話が早く進みます

5. 特定のゲーム・アプリ側の相性を疑う

他のゲームやデスクトップ作業では一度も起きないのに、特定の1本だけでTDRが繰り返される場合は、ゲーム側の実装との相性を疑います。特にUnreal Engine 5世代のタイトルでは、シェーダーのコンパイルなど瞬間的にGPUへ重い処理をかける場面があり、この一瞬の処理時間がTDRの既定タイムアウトである2秒を超えてしまうことがあります。

描画APIやグラフィック設定を変更してみる
DirectX 12で発生する場合はDirectX 11、Vulkanで発生する場合はDirectXへ変更できるか確認します。レイトレーシング、フレーム生成、高解像度テクスチャも一時的に無効にしてください
ゲームファイルの整合性を確認する
Steamなど配信プラットフォームの機能でゲームファイルを検証し、ゲーム本体とアンチチートを最新状態にします
複数の高負荷ゲームで同じ症状が出るなら、ゲーム側の問題ではありません
画質を最低まで下げなければ安定しない、fps上限を設定しないとTDRが起きるといった場合も、ゲーム固有の不具合よりGPUや電源系統を優先して確認してください

6. VRAMの物理的な不良を疑う

ここまでのすべてを確認しても再現し続ける場合に、初めてGPU本体、特にVRAMの物理的な不良を検討します。VRAMの一部セルが劣化・不良を起こすと、GPUがそこへアクセスしようとした処理が完了せず、TDRとして検知されることがあります。

VRAMの不良を確認できる専用ツールは一般ユーザー向けにはほとんど存在せず、確実に判断するには別の正常なGPUに交換して再現するかを見るのがもっとも現実的です。手持ちがない場合は、購入店やメーカーのサポートに、ここまで確認した内容(OCの解除、ドライバーのクリーンインストール、温度ログ、電源ユニットの検証)を伝えて相談してください。

TdrDelayレジストリの変更について

TDRを検索すると、レジストリのTdrDelay値を大きくして、GPUがフリーズしたと判断されるまでの時間を延ばす方法が紹介されることがあります。この値は「HKEY_LOCAL_MACHINE\System\CurrentControlSet\Control\GraphicsDrivers」以下にあり、既定値は2秒です。数値を大きくすれば、確かにTDRが検知される頻度自体は減ることがあります。

しかし、Microsoftの技術文書はこのレジストリキーの位置づけをはっきり書いています(Microsoft Learn)。TdrDelayを含む一連のTDR関連レジストリキーは、ドライバー開発者がテストやデバッグの目的で使うためのものであり、「エンドユーザーがこれらのレジストリキーを操作すべきではない」と明記されています。

TdrDelayを伸ばすことは、不安定なOC設定、不具合のあるドライバー、冷却不足、電源ユニットの出力不足といった、TDRを引き起こしている元の状態を何も直しません。むしろGPUが実際にフリーズしている場合、Windowsが介入するまでの待ち時間が長くなるだけで、画面が固まっている時間が延びます。さらに、1分間に5回以上のTDRという上限(TdrLimitCount・TdrLimitTime)を超えれば、TdrDelayの値に関わらずブルースクリーン(0x116)は発生します。通知が出にくくなったからといって、根本の不安定さが解消したわけではない点に注意してください。

これはGPU買い替えのサインか

TDRの通知を何度も見ると、「GPUの寿命が近いのでは」と不安になると思います。ここは慎重に判断したい部分です。

TDRが頻発する原因の多くは、ここまで見てきたとおりソフトウェア側(不安定なOC設定、ドライバーの不具合、特定ゲームとの相性)で説明がつくケースが多いと報告されていますが、これは確定的な統計ではなく、個々の切り分けを省略していい理由にはなりません。頻度が低く、原因(OC設定の戻し忘れ、更新直後のドライバー、特定の1本のゲームなど)にも心当たりがある場合は、急いで買い替えを検討する段階ではありません。

一方で、次のすべてに当てはまる場合は、ハードウェア側の劣化を優先候補にして良い段階です。

オーバークロック・アンダーボルトをすべて標準に戻しても再現する
設定起因の可能性を消しています
ドライバーをクリーンインストールしても再現する
ドライバー起因の可能性を消しています
温度が正常な範囲でも再現する
冷却不足の可能性を消しています
検証済みの別の電源ユニットでも再現する
電源ユニット起因の可能性を消しています
特定の1本のゲームだけでなく、無関係な複数のゲームやアプリで再現する
ゲーム側の相性という可能性を消しています

ここまで絞り込んでも再現する場合、GPU本体の劣化や不良は現実的な可能性になります。壊れかけているのは異常な状態ではなく、TDRが役割どおりに検知し続けているだけとも言えますが、その頻度が上がっているなら次の一台を考える時期です。BTOの保証期間内であれば、まずメーカーへ相談するのが先です。期間外や、購入から数年が経っている場合は、交換に向けた準備を進めてください。GPU単体の交換・取り付け手順はグラフィックボードの交換・取り付け手順にまとめています。

なお、次の1台として中古のグラフィックボードは積極的にはおすすめしません。理由は価格だけでなく、いざ同じような不安定な挙動が出たときに、前の使用者の使用環境(オーバークロックの履歴やマイニング利用の有無)まで遡って切り分けることが難しいためです。特にPCパーツの扱いが初めての人には、この切り分けにくさがそのままリスクになります。中古グラボの価格比較と判断基準は中古グラボは買いかにまとめています。

それでも直らないとき 保証の考え方

ここまでの切り分けを一通り試しても再現し続ける場合は、部品側の不良を疑う段階です。

届いたばかりの新品PCで発生した場合
初期不良として交換してもらえる期間は会社によって短く、ドスパラは標準で到着後1週間しかありません。負荷テストの具体的な手順は新品ゲーミングPCの初期不良チェック手順にまとめています
通常使用でしばらくしてから発生した場合
通常の保証修理の対象です。連絡先や送料の負担、修理にかかる期間の目安はBTOパソコンが故障したときの修理ガイドにまとめています
自分でGPUのOCやアンダーボルトを行っていた場合
多くのBTOメーカーは、内部を分解しない範囲の設定変更を保証対象外にはしていません。ただし、ソフトウェアによるオーバークロックの履歴が残っている場合の扱いはメーカーによって差があるため、連絡時に正直に伝えたほうがスムーズです。9社の規約を横断比較した内容はBTOでオーバークロックすると保証はどうなるかにまとめています
サポートに連絡する前に整理しておきたいこと
発生する頻度、特定のゲームだけか複数のアプリでも起きるか、イベントビューアーで確認したイベントID 4101の原因ドライバー名、試した対処(OC解除・ドライバーのクリーンインストール・温度ログ・電源ユニットの検証)を伝えられると、原因の切り分けが早く進みます

よくある質問

Q.「ディスプレイドライバーが応答を停止し、正常に回復しました」という通知が出ました。すぐに買い替えが必要ですか?

A.たまに1回程度であれば、急いで買い替える必要はありません。これはTDR(Timeout Detection and Recovery)というWindows標準の自己修復機能が正常に働いた結果です。ただし頻繁に繰り返す場合は、オーバークロック設定・ドライバー・温度・電源ユニットの順に原因を切り分けてください。

Q.TDRとブルースクリーンは違うのですか?

A.別の現象です。TDRはGPUドライバーだけをリセットして復旧させる仕組みで、PC自体は落ちません。ただし1分間に5回以上TDRが起きると、Windowsは6回目でブルースクリーン(停止コード0x116 VIDEO_TDR_FAILURE)を発生させます。TDRが頻発している状態は、ブルースクリーンへ進む一歩手前と考えてください。

Q.TdrDelayの値を大きくすれば直りますか?

A.通知が出にくくなることはありますが、直しているわけではありません。Microsoft自身がこのレジストリキーをドライバー開発者向けのテスト・デバッグ用と説明しており、一般ユーザーが操作することを想定していません。オーバークロック、ドライバー、温度、電源ユニットといった元の原因を先に確認してください。

Q.TDRの記録はどこで確認できますか?

A.一般的にはイベントビューアーの「Windowsログ」内「Application」を開き、ソースが「Display」、イベントID 4101のイベントを探してください。詳細に原因ドライバー名(NVIDIAならnvlddmkm、AMDならamdwddmgなど)が記録されています。

Q.TDRが起きるとゲームのセーブデータは失われますか?

A.TDRそのものがセーブデータを破壊することは通常ありません。ただしゲームによっては、GPUドライバーのリセットに合わせてアプリケーション側が強制終了することがあり、直前の進行状況が保存されない場合があります。

Q.TDRが1日に何回も起きます。どこから確認すればいいですか?

A.まずGPUのオーバークロックやアンダーボルト設定をすべて標準に戻してください。それでも再現するならGPUドライバーのクリーンインストール、温度のログ確認、電源ユニットの検証の順に進めます。特定の1本のゲームだけでなく複数の無関係なアプリでも再現する場合は、GPU本体の劣化を優先候補にしてください。

Q.TDRが頻発しています。次は中古のグラフィックボードでも大丈夫ですか?

A.おすすめしません。中古は価格面のメリットが薄いだけでなく、同じような不安定な挙動が出たときに、前の使用者の使用環境まで遡って原因を切り分けることが難しくなります。特にPCパーツの扱いが初めての人ほど、このリスクの影響が大きくなります。

まとめ・次に読みたい記事

「ディスプレイドライバーが応答を停止し、正常に回復しました」という通知は、Windowsに組み込まれたTDR(Timeout Detection and Recovery)が正常に働いた証拠です。既定のタイムアウトは2秒で、GPUがそれを超えて応答しないと、ドライバーとGPUだけがリセットされます。1分間に5回以上起きると、6回目でブルースクリーン(停止コード0x116)に格上げされる点は覚えておいてください。

原因の切り分けは、費用のかからない確認から進めます。まずGPUのオーバークロックとアンダーボルトを標準に戻し、次にドライバーの更新・ロールバック・クリーンインストールを試します。それでも直らなければ温度をログに残しながらプレイし、電源ユニットの出力不足や経年劣化を疑い、特定のゲームだけで起きるなら描画APIや設定を見直します。レジストリのTdrDelayを伸ばす方法は、Microsoft自身がドライバー開発者向けと明記している設定であり、根本原因を取り除くものではありません。

ここまで絞り込んでも複数の無関係なゲームやアプリで再現し続ける場合に、初めてGPU本体の劣化や買い替えを検討してください。