『崩壊:スターレイル』(スタレ)は、HoYoverseが手がけるターン制のRPGです。原神・ゼンレスゾーンゼロと同じ会社の作品ですが、PC選びという視点で見ると独特の性質を持っています。
このタイトルは軽い部類に入ります。ところが「軽いから安いPCでいい」という話でもありません。必要なGPUを実質的に決めているのは、解像度でも画質プリセットでもなく「レンダリング精度」という設定項目ひとつだからです。ここを理解しないまま買うと、高いGPUが無駄になるか、逆に4Kで思ったより動かないことになります。
さらに2026年1月には、Ver.4.0から動作環境そのものが引き上げられました。運営型タイトルならではの、購入時に知っておくべき事情です。
先に結論(編集部のおすすめ)
遊びたい解像度と、レンダリング精度をどう使うかで決まります。
| 遊び方 | CPU | GPU | メモリ |
|---|---|---|---|
| フルHD・60fps(標準) | Core i5 / Ryzen 5クラス | RTX 5060 | 16GB |
| WQHD・60fps(精度1.0) | Core i5 / Ryzen 5クラス | RTX 5060 | 16GB |
| WQHD・60fps(精度2.0) | Core i5 / Ryzen 5クラス | RTX 5060 Ti | 16GB |
| 4K・60fps(精度1.0) | Core i5 / Ryzen 5クラス | RTX 5060 | 16GB |
| 4K・60fps(精度2.0) | Core i7 / Ryzen 7クラス | RTX 5070 Ti以上 | 32GB |
表を見ればわかるとおり、変数は解像度だけではありません。同じ4K・最高品質でも、レンダリング精度を1.0で使うか2.0で使うかで、必要なGPUが RTX 5060 から RTX 5070 Ti まで動きます。
CPUの欄がほとんど変わらないのも特徴です。ターン制RPGなので、競技系FPSのようにCPUが律速になる構造ではありません。
PC版は60fps上限。ここが全ての前提です
まず押さえておきたいのがこれです。崩壊:スターレイルのPC版は最大60fpsで動作します。
HoYoverseの3タイトルを並べると、位置づけがはっきりします。
| タイトル | fps上限 | 高Hzモニターの意味 |
|---|---|---|
| 崩壊:スターレイル | 60fps | 活かせません |
| 原神 | 60fps | 活かせません |
| ゼンレスゾーンゼロ | 上限なし | 144Hz・240Hzをフルに使えます |
同じ会社のタイトルでも、ゼンゼロだけが上限なしという状態です。スタレのために144Hz以上のモニターを買う理由はありません。他のゲームも遊ぶなら別ですが、スタレ単体で考えるなら60Hzでも足ります。
なお、レジストリを編集して120fpsを解放する方法や、そのための非公式ツールが出回っています。ただしこれはHoYoverseが案内している手順ではありません。アカウントに関わるリスクを自分で引き受ける前提の行為なので、この記事では推奨しません。
この60fps上限が、以降の話すべての前提になります。GPUを強くしても数字は60で止まるため、GPU選びの目的は「fpsを伸ばすこと」ではなく「60fpsを割らないこと」に変わります。
公式動作環境(Ver.4.0で引き上げられました)
2026年1月、HoYoverseは公式に「今後のバージョンにおけるコンテンツ更新およびゲームパフォーマンスの安定性を確保するため、Ver.4.0からデバイスの要求性能を引き上げる」と告知しました。最小・推奨の両方が調整されています。
| 項目 | 最小スペック | 推奨スペック |
|---|---|---|
| OS | Windows 10 64bit 以上 | Windows 10 64bit 以上 |
| CPU | Intel Core i5 相当 | Intel Core i7 相当 |
| GPU | GeForce GTX 1050 相当以上 | GeForce GTX 1060 6GB 相当以上 |
| メモリ | 8GB | 16GB |
| ストレージ | 82.27GB(Windows版) | 82.27GB(Windows版) |
| DirectX | DirectX 11 | DirectX 11 |
数字だけ見れば非常に低い要求です。推奨がGTX 1060 6GBというのは、2016年発売のGPUです。
ただし2点、注意があります。
- この引き上げで切られた層がいる
- GTX 1030 のような下位モデルは新しい最小スペックを下回ります。動作しても、カクつき・クラッシュといった不安定さが出る可能性があるとされています。
- ★運営型タイトルは後から要求が上がる
- ここがいちばん重要です。買い切りのゲームと違い、運営が続くタイトルは数年かけて要求スペックが上がっていきます。スタレの配信開始は2023年4月26日なので、サービス開始から3年足らずで動作環境が引き上げられたことになります。原神・ゼンゼロも同じ会社の運営型タイトルです。「今の推奨スペックちょうど」で買うと、数年後に足りなくなります。
つまり推奨スペックを「買うべきPCの目安」として読んではいけないタイトルです。推奨は「いま最低限動く線」であって、数年遊ぶ前提の買い物には向きません。
買い切りの作品では逆のことも起きます。2026年9月17日発売の空の軌跡 the 2ndは、最小スペックが前作から1項目も変わっていません。運営型かどうかで、動作環境の扱われ方はこれだけ違います。
必要GPUを決めているのは「レンダリング精度」です
ここがこの記事の核心です。
崩壊:スターレイルのグラフィック設定には「レンダリング精度」という項目があります。これは内部で描画する解像度の倍率で、1.0なら画面解像度どおり、2.0なら縦横それぞれ2倍の解像度で描いてから縮小表示します。
いわゆるスーパーサンプリングで、画質は上がりますが負荷は解像度を上げるのと同じように増えます。しかも倍率なので、効き方が急です。
実測を見ると、その影響がはっきりします。最高品質での結果です。
| 条件 | 結果 |
|---|---|
| フルHD・精度1.0 | ほぼ全GPUが60fpsに張り付きます |
| WQHD・精度2.0 | RTX 4060 Ti で57.0fps。RTX 5060 Ti以上で60fps到達 |
| 4K・精度1.0 | RTX 3050 で46.0fps。RTX 4060以上なら60fps維持 |
| 4K・精度2.0 | RTX 4060 Ti で25.0fps、RTX 5070 で57.8fps、RTX 5070 Ti で59.2fps |
★注目してほしいのは4Kの2行です。同じ4K・同じ最高品質でも、レンダリング精度を1.0から2.0に変えるだけで、RTX 4060 Ti が60fpsから25.0fpsまで落ちます。半分以下です。そして精度2.0では、RTX 5070 Ti でも59.2fpsと、60fpsにわずかに届きません。
他サイトの「4Kなら○○クラス」という書き方が当てにならないのは、この設定に触れていないからです。同じ「4K最高品質」という言葉が、精度1.0と2.0でまったく別の負荷を指しています。
判断はシンプルです。
- レンダリング精度は1.0のままで十分
- 60fps上限のゲームなので、精度を上げても得られるのは静止画的な精細さだけです。ほとんどの人は1.0で問題ありません。
- 画質を追い込みたいならDLAAのほうが安い
- 精度2.0で描画を4倍にするより、DLAA(後述)でアンチエイリアスをかけるほうが、はるかに軽く仕上がります。
- 精度2.0を4Kで使いたいなら別格の構成が要る
- RTX 5070 Ti でも60fpsに届きません。ここを狙うのは、その負荷を承知の上での趣味の領域です。
60fps上限だから、DLSSよりDLAAです
アップスケーリングまわりも、このタイトルでは考え方が変わります。
Ver.3.0(2025年1月15日)でDLSSとDLAAに対応しました。グラフィック設定のアンチエイリアス項目から選べます。GeForce RTX 20シリーズ以降が対象です。
ここで思い出してほしいのが、DLSSとDLAAは目的が違うということです。
- DLSS(超解像)=軽くする技術
- 低い解像度で描画してAIで引き伸ばします。負荷が下がるぶんfpsが伸びます。ただし上限60fpsのゲームでは、伸びた先が60で止まります。
- DLAA=画質を上げる技術
- 解像度は下げず、AIの処理でアンチエイリアスだけをかけます。負荷は下がりませんが、従来のTAAより輪郭が締まって見えます。
★つまり、すでに60fpsに張り付いているなら、DLSSで軽くしても数字は1も増えません。同じ枠から選ぶなら、余っている性能を画質に回せるDLAAのほうが合理的です。実際にプレイヤーの検証でも、DLAAとレンダリング精度の組み合わせで比較する例が目立ちます。
一方で、4Kや精度2.0で60fpsを割っている場合はDLSSが効きます。60に届いていない状態なら、軽くする意味があるからです。使い分けの基準は「いま60fps出ているかどうか」です。
なおDLSS・DLAAはGeForce RTX専用の機能です。Radeon環境で同等の選択肢が用意されているかは、記事執筆時点で確認できませんでした。設定画面のアンチエイリアス項目で実際に何が選べるかを確認してください。アップスケーリング全般の対応関係はDLSS・FSR・XeSSはどのGPUで何が使えるかにまとめています。
容量は82.27GB。しかもSteam版がありません
見落とされやすい実務的な話です。
Windows版のファイルサイズは82.27GBです。Android版が40.21GB、iOS版が42.52GBなので、PC版だけがおよそ2倍あります。高解像度のアセットやボイスデータを持つためです。
これはゲーミングPCの選び方でも触れましたが、BTO完成品の最安構成は500GB SSDが標準です。80GB級のタイトルを2〜3本入れると、それだけで半分近く埋まります。スタレを長く遊ぶつもりなら、1TBを選んでおくほうが安全です。
配信経路にも特徴があります。
- Steam版はありません
- PC版はHoYoPlay(HoYoverse公式ランチャー)またはEpic Games Storeから入手します。Steamのライブラリには並びません。
- HoYoPlayはHoYoverse作品をまとめて管理できる
- 原神・ゼンゼロも同じランチャーから導入できます。複数タイトルを遊ぶ人には都合が良い作りです。
- Epic版と公式版で中身は同じ
- ゲーム内容もアカウントも共通です。好みで選んで構いません。
Steam版がない点は、Steam Machineのような機器を検討している人には効いてきます。SteamOS環境での動作は前提にできません。
予算別の構成例
以上をふまえた具体的な構成です。価格はBTO完成品の目安で、2026年8月時点のものです。パーツ相場が動いているため、最新は各ショップで確認してください。
- フルHD〜WQHD・60fps/約20万円台前半
- Ryzen 5 / Core i5クラス + RTX 5060 + 16GB + 1TB SSD。レンダリング精度1.0で運用するなら、スタレにはこれで十分すぎます。他のゲームも遊ぶ前提のバランス構成です。
- WQHD・精度2.0まで使う/約20万円台後半
- Ryzen 5 / Core i5クラス + RTX 5060 Ti 16GB + 16GB + 1TB SSD。WQHDで精度2.0を常用したい場合の目安です。
- 4K・精度2.0を狙う/約35〜40万円
- Core i7 / Ryzen 7クラス + RTX 5070 Ti + 32GB + 1TB SSD。それでも60fpsにわずかに届かない、という前提で選ぶ構成です。
BTOで買うなら、スタレは要求が軽いので各社のコスパ帯が狙い目です。
- 迷ったら定番のドスパラ(GALLERIA)
- とにかく安く狙うならフロンティア
- サポート重視ならマウス(G-Tune)
よくある失敗
- 高リフレッシュレートのモニターを買ってしまう
- 60fps上限なので活かせません。他のゲームを遊ぶ予定がないなら、その予算はモニターのサイズや画質に回すほうが満足度が上がります。
- 推奨スペックちょうどのPCを買う
- 推奨はGTX 1060 6GB相当ですが、これは「いま最低限動く線」です。しかも運営型タイトルなので数年後にはまた上がります。長く遊ぶなら現行の下位モデル以上を選んでください。
- 500GBのSSDで妥協する
- 本作だけで82.27GBです。他のタイトルを入れるとすぐに圧迫されます。1TBが実質的な下限です。
- レンダリング精度を最初から2.0にする
- 負荷が跳ね上がるわりに、60fps上限のゲームでは見返りが限られます。まず1.0とDLAAの組み合わせを試してください。
- Steamで探してしまう
- 配信されていません。HoYoPlayかEpic Games Storeから入手します。
よくある質問
Q.崩壊:スターレイルは重いゲームですか?
A.軽い部類です。フルHD・レンダリング精度1.0なら、ほとんどの現行GPUが上限の60fpsに張り付きます。ただし4Kでレンダリング精度2.0まで使うと一気に重くなり、RTX 5070 Tiでも60fpsに届きません。設定次第で負荷が大きく変わるタイトルです。
Q.144Hzのモニターは必要ですか?
A.スタレのためだけなら不要です。PC版は60fps上限なので、60Hzを超える部分は使えません。他のゲームも遊ぶなら意味がありますが、本作を理由に高Hzモニターを選ぶ必要はありません。
Q.GTX 1060で本当に遊べますか?
A.公式の推奨スペックがGTX 1060 6GB相当なので、動作はします。ただしこれは「快適に遊べる構成」ではなく「動作を保証する線」です。しかもVer.4.0で要求が引き上げられた経緯があり、今後も上がる可能性があります。これから買うなら現行世代を選んでください。
Q.レンダリング精度は上げるべきですか?
A.多くの人は1.0のままで問題ありません。2.0にすると内部の描画量が4倍になり、4KではRTX 4060 Tiが60fpsから25.0fpsまで落ちます。画質を上げたいなら、まずアンチエイリアスをDLAAにするほうが軽く済みます。
Q.DLSSはオンにすべきですか?
A.すでに60fps出ているならオフで構いません。上限が60fpsなので、軽くしても数字が伸びないからです。逆に4Kや高いレンダリング精度で60fpsを割っている場合は有効です。60fps出ているならDLAA、出ていないならDLSS、という使い分けになります。
Q.メモリは8GBで足りますか?
A.最小スペックは8GBですが、推奨は16GBです。Ver.4.0の引き上げで推奨が16GBになった経緯もあるため、これから買うなら16GB以上にしてください。ブラウザや配信ソフトを同時に使うなら32GBが安心です。
Q.PC版はどこからダウンロードしますか?
A.HoYoverse公式のランチャー「HoYoPlay」か、Epic Games Storeから入手できます。Steam版は配信されていません。中身とアカウントはどちらも共通です。
Q.ノートPCでも遊べますか?
A.遊べます。要求が軽いタイトルなので、RTX 5060 LaptopクラスがあればフルHDで上限に張り付きます。ただしノートは同じ型番でも消費電力の設定によって性能が変わる点に注意してください。
まとめ・次に読みたい記事
崩壊:スターレイルのPC選びは、60fps上限という一点から逆算すると迷いません。GPUを強くしても数字は60で止まるので、目的は「fpsを伸ばすこと」ではなく「60fpsを割らないこと」になります。
そのうえで、必要なGPUを実質的に決めているのはレンダリング精度という設定項目です。同じ4K・最高品質でも、1.0ならRTX 4060クラスで足りるのに対し、2.0にするとRTX 5070 Tiでも60fpsに届きません。「4Kなら○○クラス」という一般的な書き方が当てにならないのはこのためです。
アップスケーリングの使い方も裏返ります。60fpsに張り付いているならDLSSで軽くしても意味がないので、画質に回せるDLAAを選ぶほうが得をします。
最後に、推奨スペックを買い物の目安にしないでください。2026年1月にVer.4.0で動作環境が引き上げられたとおり、運営型タイトルの要求は後から上がります。容量も82.27GBあり、500GBのSSDでは早々に苦しくなります。長く遊ぶつもりなら、現行世代のGPUと1TB SSDを前提にしてください。



