ゲームの効果音や足音は普通に聞こえているのに、BGMや爆発音が重なった瞬間だけ「プツッ」「ブツッ」と一瞬途切れる。動画では起きないのにゲーム中だけ再現する。ヘッドセットを挿し替えても、スピーカーに変えても同じ症状が出る。この「音そのものは鳴っているのに、一瞬ちぎれる」タイプのノイズは、機器の故障よりもWindowsの電力管理やドライバーの設定に原因があることがほとんどです。
この症状はオーディオクラックリング(crackling)またはポッピングノイズと呼ばれ、「音割れ」という言葉で検索されることもあります。検索するとドライバーの更新やイヤホンの断線を疑う記事が多く出てきますが、実際には、USBポートの電源を自動的に落とすUSBセレクティブサスペンド、PCIeバスを省電力状態に落とすASPM(Active State Power Management)、Windowsのサウンド詳細設定にあるサンプルレート・ビット深度のミスマッチという、見た目には気づきにくい3つの原因が中心です。AMD Ryzen環境のオンボードRealtekオーディオでも、この種の報告が国内外で見られます。
当サイトではPCスピーカーの選び方で3.5mmアナログ接続のノイズに軽く触れていますが、そこでは製品選びの観点にとどめています。この記事では、ゲーム中に発生する「プツプツ」「ブツブツ」というクラックリング・ポッピングノイズに絞り、原因を切り分ける順番と設定の直し方をまとめます。音がまったく出ない場合は別の症状なので、ゲーミングPCで音が出ないときの対処を先に確認してください。
まず、症状のタイプを確認する
「音がおかしい」と一口に言っても、実際にはいくつかの種類があります。対処法が違うので、まず自分の症状がどれに近いかを確認してください。
- プツッ、ブツッと一瞬途切れる、または小さなノイズが混じる
- これがこの記事の対象です。音自体は鳴っており、出力先の間違いではありません。以降の原因切り分けに進んでください
- 特定の時間が経つと途切れ始める、しばらく操作しないと切れる
- USBオーディオ機器(USBヘッドセット、USB DAC、Bluetoothアダプター)を使っているなら、USBセレクティブサスペンドの章を先に確認してください
- 常時、負荷が上がった瞬間にプツプツ鳴る。オンボードのRealtekを使っている
- PCIeのASPM省電力設定とRealtekオーディオの競合が疑わしい組み合わせです。該当の章へ進んでください
- 音がまったく出ない、またはモニターから鳴っている
- この記事の対象外です。ゲーミングPCで音が出ないときの対処を確認してください
- マイクの声だけこもる、ノイズが乗る
- 出力ではなく入力側の症状です。Bluetoothの通話用プロファイルへの切り替えが原因になっていることが多く、ゲーム用マイクの選び方や配信機材の設定を確認してください
- Bluetoothイヤホンやコントローラーがそもそも接続を失う、ペアリングが切れる
- 音切れではなく接続自体が切れる症状です。マザーボード内蔵Bluetoothのアンテナ未接続や2.4GHz干渉が中心で、有線LANでもマザーボードのアンテナは必要?Bluetooth途切れの原因と対策で詳しく扱っています
対象が確定したら、優先度の高い原因から順番に見ていきます。
原因を切り分ける順番
- 1. USBセレクティブサスペンドを無効化する
- USB接続のヘッドセット・USB DAC・USBオーディオインターフェースを使っている場合に、まず疑うべき設定です。無料で、いつでも元に戻せます
- 2. PCIeのASPM(リンク状態の電源管理)を確認する
- オンボードのRealtekオーディオを使っていて、常時プツプツ鳴る場合の本命です。AMD Ryzen環境でも報告されている組み合わせです
- 3. サウンドの詳細設定(サンプルレート・ビット深度)を見直す
- 特定のアプリや特定のゲームだけで切れる場合に疑います
- 4. オーディオドライバーを完全に再インストールする
- ここまでで直らない場合に、上書きではなく完全な再導入を試します
- 5. 2.4GHz帯の電波干渉を疑う(ワイヤレス機器のみ)
- Bluetoothやワイヤレスのゲーミングヘッドセットを使っている場合の確認先です
- 6. グラフィックドライバー・チップセットドライバーの更新を確認する
- HDMI/DisplayPort経由で音声を出している場合や、上記すべてで直らない場合の最終確認です
以下、順番に見ていきます。原因を1つずつ試すのではなく、先にどのデバイス・ドライバーが怪しいかを特定したい場合は、無料ツールのLatencyMonでDPCレイテンシ(割り込み処理の遅延)を診断する方法もあります(Resplendence Software公式)。起動してしばらく放置すると、どのドライバーが最大の遅延を発生させているかが一覧表示され、Realtekのオーディオドライバーや特定のGPU・USBドライバーが上位に出ていれば、それが原因である可能性が高いと判断できます。
1. USBセレクティブサスペンドを無効化する
USBヘッドセット、USB接続のDAC(デジタル-アナログ変換機)、USBオーディオインターフェースを使っている場合に、まず確認してほしい設定です。
USBセレクティブサスペンドは、Windowsが消費電力を抑えるために、一定時間データのやり取りがないと判断したUSBポートの電源を自動的に落とす機能です。音声データは常に細かく流れ続けているように見えて、実際には短い無音区間を挟むことが多く、この一瞬の間に「アイドル状態」と誤判定されると、ポートの電源が絞られて音声データの受け渡しが一瞬止まります。これが「プツッ」というノイズとして聞こえます。
この機能自体は、PCでコントローラーが勝手に切断される症状の原因としても知られており、詳しい仕組みはPCでコントローラーが認識しない・勝手に切断される原因と対処法でも扱っています。オーディオ機器の場合は「切断」ではなく「一瞬のノイズ」として現れる点が違います。
- 電源オプションから無効化する
- コントロールパネルの電源オプションを開き、使用中のプランの「プラン設定の変更」から「詳細な電源設定の変更」を選びます。「USB設定」の「USBのセレクティブサスペンドの設定」を展開し、「設定」を「無効」にします
- デバイスマネージャー側の設定も確認する
- 電源オプションを変更しても、デバイスマネージャーの「ユニバーサルシリアルバスコントローラー」に並ぶ「USB Root Hub」の個別設定が残っていると再現することがあります。該当するUSB Root Hubを右クリックしてプロパティを開き、「電源の管理」タブで「電力の節約のために、コンピューターでこのデバイスの電源をオフにできるようにする」のチェックを外します。オーディオ機器が繋がっているポートがどのRoot Hubか分からない場合は、対象になりそうなものを一通り確認してください
- この状態でしばらくプレイして確認する
- 音切れが起きなくなれば、原因はほぼ確定です。ノートPCの場合、バッテリー駆動時間がわずかに短くなりますが、ゲーム中は電源に繋いでいることが多いはずなので実用上の影響は小さいです
2. PCIeのASPM(リンク状態の電源管理)を確認する
USBデバイスが原因でない場合、次に疑うのはマザーボードのオンボードオーディオ、特にRealtek製チップを使っている環境です。
ASPMとは何か
ASPM(Active State Power Management)は、PCIeで接続された機器がアイドル状態のときに、リンクの電力状態を自動的に落として消費電力を抑える仕組みです。オンボードのRealtekオーディオチップもPCIeバス上に存在するため、この省電力機能の対象になります。省電力状態からの復帰にはわずかな遅延が発生しますが、通常は気づかないレベルです。しかし、CPUやチップセットが高負荷になったタイミングでこの復帰が間に合わないと、音声データの受け渡しにわずかな隙間ができ、これがプツプツというノイズとして現れます。
Windowsの電源管理とRealtekオーディオの組み合わせによるこの種のノイズは、海外の技術系メディアでもたびたび取り上げられています(HelpDeskGeek)。AMD Ryzen環境(特にX570世代でPCIeをGen4動作させている場合)で報告されている事例もあり、GPUをPCIe x16スロットにフル帯域で挿している状態や、AMDチップセットドライバーの特定バージョンとの組み合わせで発生したという報告が見られます。原因の切り分け先としてPCIeスロットの動作モードをGen4からGen3に固定する、GPUのPCIeレーンを x16 から x8 に制限する、AMDチップセットドライバーを1つ前のバージョンに戻すといった対処で改善したという報告もありますが、これらは環境依存の対症療法で、すべての環境に当てはまるとは限りません。まずは根本のASPM設定そのものを疑うほうが優先度は高いです。
Windows側でリンク状態の電源管理を無効にする
- 1. 電源オプションの詳細設定を開く
- コントロールパネルの「電源オプション」から、使用中のプランの「プラン設定の変更」、続けて「詳細な電源設定の変更」を開きます
- 2. PCI Expressの項目を探す
- 一覧の中から「PCI Express」を展開し、「リンク状態の電源管理」を見つけます
- 3. 「オフ」に設定する
- 「バッテリ駆動」「電源に接続」の両方を「オフ」に変更します。ノートPCの場合はバッテリー駆動時間がやや短くなりますが、オーディオの安定性を優先するならここは妥協点です
- 4. PCを再起動して確認する
- 設定はすぐに反映されないことがあるため、変更後は必ず再起動してから症状の変化を確認してください
BIOSでのASPM設定も確認する
Windows側の設定を変えても直らない場合、BIOS(UEFI)側でもASPMが有効になっていることがあります。マザーボードによって項目名や場所が異なりますが、「Advanced」または「Chipset」のメニュー内に「Native ASPM」「PCIe ASPM」「ASPM Support」といった項目がある場合は、これを「Disabled」に変更します。項目が見当たらない場合や名称が違う場合は、マザーボードまたはBTOメーカーのマニュアルで確認してください。ASPMを無効にすると、アイドル時の消費電力はわずかに増えますが、デスクトップPCであれば体感できるほどの差ではありません。
- Realtek Audio Console側の電源管理も併せて確認する
- Realtek Audio Consoleを開き、詳細設定内に電源管理に関する項目がある場合は無効にしてください。オーディオデバイス自体がアイドル時に省電力モードへ移行する設定が残っていると、OS・BIOS側の設定を直してもノイズが残ることがあります
- GPUの補助電源・PCIeレーンの帯域とは切り分けて考える
- GPU側の電源関連トラブルとは別の話です。GPUの補助電源に起因するフリーズや黒画面はゲーム中に黒画面になりグラボのファンが全開になる原因で扱っています
ここまでの設定を一つずつ試し、どれを変えた後に改善したかを必ず確認してください。一度に複数変更すると、何が効いたのか分からなくなります。
3. サウンドの詳細設定を見直す
USBセレクティブサスペンドとASPMを確認しても直らない場合、あるいは特定のアプリやゲームだけで発生する場合は、Windowsのサウンド詳細設定を疑います。
Windowsは、アプリから送られてきた音声データをいったん内部でミキシングしてから出力デバイスに渡しています。この処理には、サンプルレート(1秒間に何回音を記録するか)とビット深度(音の大小をどれだけ細かく表現するか)という2つの設定が関わっており、アプリ側が出力しているフォーマットとWindows側の設定が噛み合っていないと、変換のたびに処理落ちが起き、これがノイズとして現れることがあります。
- 1. サウンドの詳細設定を開く
- タスクバーの音量アイコンを右クリックして「サウンドの設定」を開き、出力デバイスの一覧から使用中の機器を選んで「デバイスのプロパティ」、さらに「追加のデバイスプロパティ」を開きます
- 2. 詳細タブで既定の形式を確認する
- 「詳細」タブに「既定の形式」というドロップダウンがあります。多くのゲームやWindowsの標準的な音声は48000Hz(48kHz)で扱われるため、まずは「16ビット、48000Hz(DVD の音質)」を試してください。すでにこの設定で症状が出ているなら「24ビット、48000Hz(スタジオの音質)」も試す価値があります
- 3. 排他モードの扱いを確認する
- 同じ「詳細」タブに「排他モード」の項目があります。「アプリケーションが、このデバイスを排他的に制御できるようにする」にチェックが入っていると、特定のアプリが音声デバイスを独占し、他のアプリの音と競合してノイズが出ることがあります。複数のアプリ(ゲーム、Discord、ブラウザ)を同時に使いながらノイズが出る場合は、このチェックを外して試してください。Discordを使っているときだけ声が途切れる場合は、Discordアプリ自体の音声サブシステム設定も関係します。詳しくはゲーム中にDiscordの音声が乱れる・重くなる原因と直し方で扱っています
- 4. 1つ変えたら必ず確認する
- サンプルレートと排他モードを同時に変えると、どちらが効いたか分からなくなります。順番に試してください
なお、音楽制作用のオーディオインターフェースが持つASIOのバッファサイズとは別物です。ASIOはアプリがOSのミキサーを経由せず直接デバイスを制御する仕組みで、ゲームの音声出力には基本的に関与しません。ゲーム中の音切れで疑うべきは、ここで説明したWindows標準のサウンド詳細設定のほうです。
4. オーディオドライバーを完全に再インストールする
ここまでの設定変更で直らない場合は、ドライバー自体の破損や、過去に入れた別バージョンとの競合を疑います。デバイスマネージャーから「ドライバーの更新」を選ぶだけの上書き更新では、古い設定ファイルや常駐サービスが残ってしまうことがあるため、完全な再導入を行います。
- 1. Realtek Audio Console(またはHD Audio Manager)をアンインストールする
- 設定 → アプリ → インストールされているアプリから、「Realtek Audio Console」を探して削除します
- 2. デバイスマネージャーでドライバーごと削除する
- デバイスマネージャーを開き、「サウンド、ビデオ、およびゲームコントローラー」を展開してRealtekのデバイスを右クリックし、「デバイスのアンインストール」を選びます。表示される確認画面で「このデバイスのドライバーソフトウェアを削除する」にチェックを入れてから実行してください
- 3. 隠れているコンポーネントも確認する
- デバイスマネージャーの「表示」メニューから「非表示のデバイスを表示」を有効にすると、「ソフトウェアコンポーネント」のカテゴリにRealtek関連の項目が残っていることがあります。見つかった場合は同様に削除します
- 4. PCを再起動し、メーカー配布の最新ドライバーを導入する
- 自作PCならマザーボードメーカー(ASUS・MSI・GIGABYTEなど)のサポートページから、BTOで購入したPCならBTOメーカーのサポートページから、モデルに対応したドライバーのインストーラー(setup.exeの形式)を入手して実行します。デバイスマネージャーから手動でドライバーファイルを指定するインストール方法は避け、必ずインストーラーを実行してください
- 5. インストール完了後、Microsoft StoreからRealtek Audio Consoleを導入する
- ドライバー本体と設定アプリが別々に配布されている場合があります。ドライバーのインストール後に音量調整用のアプリが見当たらない場合は、Microsoft Storeで「Realtek Audio Console」を検索して追加してください
汎用のRealtek公式サイトが配布する最新ドライバーではなく、まずマザーボード・BTOメーカーが配布する動作確認済みのバージョンを優先してください。汎用ドライバーは新しい機能を含む一方、特定のマザーボードのオーディオ回路向けに調整されていないことがあり、かえって不安定になる場合があります。
5. 2.4GHz帯の電波干渉を疑う(ワイヤレス機器のみ)
有線接続ではなく、Bluetoothヘッドセットやワイヤレスゲーミングヘッドセットを使っている場合は、電波干渉も視野に入れます。
Bluetoothや多くのワイヤレスゲーミングヘッドセット用のUSBレシーバーは2.4GHz帯を使用しており、同じ帯域を使うWi-Fiルーター、ワイヤレスマウス、電子レンジなどと電波が重なると、通信が不安定になって音切れやノイズとして現れることがあります。切断まで至らず、ノイズとして聞こえる程度の軽い干渉であれば、次を確認してください。
- USBレシーバーの位置を変える
- PCケース背面の奥まった位置ではなく、USB延長ケーブルなどで前面や机の上に出すと改善することがあります。金属製のPCケース内部は電波を遮りやすいためです
- Wi-Fiルーターを5GHz帯や6GHz帯へ寄せる
- 自宅のWi-Fiルーターが2.4GHz帯と5GHz帯の両方に対応している場合、PC・スマートフォンなど動かせる機器を5GHz帯側に接続すると、2.4GHz帯の混雑が緩和されます
- 他のワイヤレス機器との距離を離す
- ワイヤレスマウスのレシーバーや他のBluetooth機器を、オーディオ機器のレシーバーからできるだけ離してください
Bluetoothが完全に切断される、ペアリングそのものが不安定という場合は、この記事が扱うノイズとは別の症状です。マザーボード内蔵Bluetoothのアンテナ未接続が原因になっていることが多く、詳しい切り分けは有線LANでもマザーボードのアンテナは必要?Bluetooth途切れの原因と対策にまとめています。またBluetoothはコーデックによって遅延そのものも変わるため、遅延が気になる場合はワイヤレスイヤホンの遅延はなぜ起きるかも参考にしてください。
6. グラフィックドライバー・チップセットドライバーの更新を確認する
モニターやテレビにHDMI・DisplayPortで接続し、映像と一緒に音声も出している場合、音声の出力を担っているのはオンボードオーディオではなくGPU側のドライバーです。GPUドライバーの更新直後からノイズが出始めた場合や、しばらくドライバーを更新していない場合は、こちらも確認候補に入ります。
- GPUドライバーを最新の安定版に更新する、または直前のバージョンへ戻す
- 更新直後から症状が出た場合はロールバックして切り分けます。GPUドライバーの更新方法とクリーンインストールの手順はGPUドライバーは頻繁に更新すべきかにまとめています
- AMDチップセットドライバーの更新も確認する
- AMD Ryzen環境では、チップセットドライバーの特定バージョンがUSBやPCIeの挙動に影響し、音声ノイズとして現れたという報告があります。最新版で発生した場合は、1つ前の安定していたバージョンに戻して比較してください
- オンボードオーディオとGPU経由の音声、どちらで出しているか切り分ける
- 3.5mmのアナログ端子から音を出している場合はここまでの原因を優先し、HDMI・DisplayPort経由で音を出している場合はGPUドライバー側を優先して確認してください
オンボードオーディオ・PCIeサウンドカード・USB DACの違い
ここまでの設定を一通り試しても改善しない場合、あるいは根本的に機器を変えたいと考えている場合に、3つの選択肢の違いを整理しておきます。
- オンボードオーディオ
- マザーボードに直接搭載されているRealtekなどのチップです。追加のコストがかからない代わりに、この記事で扱ったPCIeのASPMや、マザーボード上の他の部品からの電気的なノイズの影響を受けやすい構成です。設定の見直しで直ることが多く、まず優先すべき対処はここまでの内容です
- PCIeサウンドカード
- 拡張スロットに追加で挿すカードです。オンボードよりノイズ対策された基板設計になっていることが多い一方、同じPCIeバスに接続する以上、ASPM設定の影響を完全に免れるわけではありません。電気的なノイズ源(GPUなど)からできるだけ離れたスロットに挿すことで改善するケースがあります
- USB DAC・USBオーディオインターフェース
- USB接続でPC本体の外に変換回路を持ち出すため、マザーボード上の電気的なノイズの影響を受けにくくなります。ただしUSB接続である以上、この記事の1章で扱ったUSBセレクティブサスペンドの影響は引き続き受けます。乗り換える場合もこの設定は必ず確認してください
つまり、電気的なノイズが原因ならUSB DACへの乗り換えは有効な対処になりますが、電力管理(USBセレクティブサスペンドやASPM)が原因の音切れは、機器を変えるだけでは解決しないことがあります。まずはこの記事の設定を一通り試し、それでも直らない場合の選択肢として機器の変更を検討してください。
よくある失敗
- 一度に複数の設定を変えて、何が効いたか分からなくなる
- USBセレクティブサスペンド、ASPM、サンプルレートを同時に変更すると、症状が改善しても再発しても原因を特定できません。1つずつ変えて確認してください
- 音が出ないトラブルと同じ手順で対処しようとする
- 出力先の間違いは別の原因です。「音が出ない」のか「音は出ているが途切れる」のかを最初に区別してください
- 有線接続のノイズなのに2.4GHz干渉を疑う
- 3.5mmやUSBの有線接続では電波干渉は原因になりません。接続方式に合った原因から確認してください
- Realtekの汎用最新ドライバーをまず試す
- マザーボード・BTOメーカーが配布する動作確認済みのバージョンより先に汎用ドライバーを試すと、かえって不安定になることがあります
よくある質問
Q.ゲーム中だけプツプツ音が鳴ります。何から確認すればいいですか?
A.USBオーディオ機器(USBヘッドセットやUSB DAC)を使っているならUSBセレクティブサスペンドの無効化から、オンボードのRealtekオーディオを使っているならPCIeのリンク状態の電源管理をオフにするところから試してください。どちらも電源オプションの詳細設定から無料で変更できます。
Q.AMD Ryzen環境で特にこの症状が出やすいというのは本当ですか?
A.AMD Ryzen環境(特にX570世代でPCIeをGen4動作させている場合)のオンボードRealtekオーディオで、PCIeの省電力設定やチップセットドライバーとの組み合わせによるノイズが報告されている事例はあります。ただし同種のASPM×Realtekのクラックリングは、Intel環境でも同程度に報告されており、AMD Ryzenだけに多い症状と断定できるわけではありません。すべてのRyzen環境で必ず起きるわけでもなく、マザーボードやドライバーのバージョンによって差があります。
Q.USBセレクティブサスペンドを無効にするとバッテリーの減りが早くなりますか?
A.ノートPCではバッテリー駆動時間がわずかに短くなる可能性があります。ただしゲーム中は電源に接続していることが多いため、実用上の影響は小さいです。気になる場合はゲーム用の電源プランでのみ無効化する運用も検討してください。
Q.サンプルレートは何に合わせればいいですか?
A.多くのゲームやWindowsの標準的な音声処理は48000Hz(48kHz)を基準にしています。まず16ビット・48000Hzを試し、それでも症状が出る場合は24ビット・48000Hzも試してください。数値を上げるほど高音質になるわけではなく、機器やアプリ側の出力形式と噛み合っているかどうかが重要です。
Q.Bluetoothヘッドセットの音が途切れます。ここまでの設定で直りますか?
A.USBレシーバーを使うタイプならUSBセレクティブサスペンドの確認が有効です。ただし2.4GHz帯の電波干渉が原因の場合は、レシーバーの設置場所を変える、Wi-Fiルーターを5GHz帯へ寄せるといった対処が必要になります。ペアリングそのものが切れる場合はノイズとは別の症状なので、マザーボードのアンテナ関連の記事を確認してください。
Q.USB DACやサウンドカードに買い替えれば直りますか?
A.電気的なノイズが原因なら効果があります。ただしUSBセレクティブサスペンドやPCIeのASPMといった電力管理が原因の音切れは、機器を変えるだけでは解決しないことがあります。まずWindows側の設定を一通り試し、それでも直らない場合の選択肢として検討してください。
まとめ・次に読みたい記事
ゲーム中の「プツプツ」というノイズ(音割れ)は、機器の故障よりもWindowsの電力管理やドライバー設定が原因であることがほとんどです。USBオーディオ機器を使っているならUSBセレクティブサスペンドの無効化から、オンボードのRealtekオーディオを使っているならPCIeのリンク状態の電源管理(ASPM)を疑うところから始めてください。AMD Ryzen環境でも、この組み合わせによる報告が見られます。
それでも直らない場合は、Windowsのサウンド詳細設定にあるサンプルレートとビット深度、排他モードの扱いを見直し、次にオーディオドライバーの完全な再インストールを試します。ワイヤレス機器なら2.4GHz帯の干渉、HDMI・DisplayPort経由で音を出しているならグラフィックドライバーやチップセットドライバーの更新も確認候補です。設定は必ず1つずつ変えて、何が効いたかを確認しながら進めてください。



