BTOのゲーミングPCを注文していると、CPUやメモリを選び終えたあとに「Office(オフィス)」の選択画面が出てきます。ゲーム用のPCなのにOfficeが要るのか分からないまま、「ゲーミングPCにOfficeはいらないはず」となんとなくチェックを外す人もいれば、逆に「あったほうが安心」と流れで数万円を追加してしまう人もいます。
結論から言うと、ゲームだけが目的なら、ほとんどの人にOfficeは要りません。当サイトのBTOのカスタマイズは何を足すべきかでも「多くの人には不要」と触れているとおりです。ただし、この一言だけでは判断材料として足りません。実際に単体で買うといくらで、BTOの注文画面ではいくらになるのか、無料の代替ソフトでどこまで代わりが利くのか、大学生やフリーランスには別の選択肢があるのか。ここまで踏み込まないと、注文画面の前で結局迷ってしまいます。
この記事では、ドスパラの実際の注文画面で確認した金額と、Microsoft公式の単体価格を並べて比較します。あわせて、2025年10月から始まった「途中まではサブスク、決めなければ買い切りに切り替わる」という仕組みや、WPS Office・LibreOffice・Googleドキュメントといった無料の代替手段の制約、大学生とフリーランスが使える特例まで、注文前に必要な判断材料を一通りまとめました。
結局、Officeは必要かどうかの見分け方
まず、ゲーミングPCを買う目的に立ち返ってください。ゲームと動画視聴が中心で、書類作成の予定が特にないなら、Officeは不要です。あとから必要になったときに単体で買っても遅くありません。
- 必要になりやすい人
- 大学のレポートや卒論をWord指定で提出する学生、配信の収支管理やスポンサー向け資料を作る配信者、個人事業主として請求書・見積書を作成する人、家族共用PCで家族の誰かが年賀状や家計簿にExcelを使う予定がある人
- 不要なことが多い人
- ゲームと動画視聴が中心の人、書類作成があってもブラウザで完結するフォーム提出程度の人、無料の代替ソフトで十分な軽い用途しか想定していない人
判断がつかない場合は、注文時に付けずに様子を見るのも合理的です。 後述するとおり、BTOの注文画面のOfficeは単体購入より安いことがありますが、そのPC専用のライセンスで他のPCへ移せません。使うかどうか分からないものを「安いから」という理由だけで先払いするより、本当に必要になってから単体で買うほうが無駄がないという、当サイトのカスタマイズガイドの立場は変わりません。
BTOのOfficeオプションは高いのか、安いのか
ここが最も誤解されやすい部分です。「BTOのオプションは割高」というイメージを持っている人は多いですが、Officeに関しては単体パッケージ版より安いことが2026年8月時点で確認できました。
まず、Microsoft公式の単体価格を確認します(Microsoft公式|Office 2024を購入する)。買い切り版のOffice Home & Business 2024(Word・Excel・PowerPoint・Outlook・OneNote、2台のWindows PCまたはMacで使用可)は43,980円(税込)です。サブスクリプションのMicrosoft 365 Personal(Microsoft公式|Microsoft 365の製品比較)は月額2,130円、年額21,300円です。
一方、ドスパラのGALLERIA注文画面を複数モデルで確認したところ、Officeの選択肢は次の3つで統一されていました(ドスパラ公式|GALLERIA注文ページの例)。
- Officeなし — 0円
- 追加費用なし
- Microsoft 365 Personal(24か月版) — +27,500円
- 「おすすめ」表示あり。試用期間後はOffice Home and Business 2024永続版へ変更することも可能です
- Microsoft Office Home and Business 2024 デジタルライセンス版【中小企業向け】 — +29,000円
- セットアップ時にインターネット環境が必要です
BTOの同時購入価格と、単体購入の価格比較(税込・円)
ドスパラGALLERIA注文画面(2026年8月確認)とMicrosoft公式価格をもとに算出。単体サブスクは年払いの年額21,300円×2年で計算(月払いだと月額2,130円×24か月=51,120円とさらに高くなります)
いずれもBTOの同時購入のほうが1万5,000円前後(3割強)安くなっています。PCパーツ・周辺機器店のTSUKUMOやアプライドネットの通販でも、パソコン同時購入専用のOffice Home & Business 2024ライセンスがそれぞれ31,200円、28,500円(税込)で販売されており(TSUKUMO公式|Office Home & Business 2024 PIPC POSA)、価格帯としては同水準です。
なぜ単体購入より安くなるのか
種明かしをすると、BTOの注文画面で選ぶOfficeは、家電量販店で売っているパッケージ版(POSA版)とは別物の「PC同時購入専用」ライセンスです。Microsoft社がBTO・OEMメーカー向けに卸している、いわば業務提携価格の製品で、次のような制約とセットになっています。
- そのPC専用で、他のPCへ移せない
- パッケージ版は買い替え後も新しいPCへ移行できますが、この同時購入版はライセンスがそのPCに紐づきます
- 単体では購入できず、返品もできない
- PCと同時に注文するときだけ選べる項目で、後から追加したり、Officeだけをキャンセルしたりはできません
- 初回起動時にプロダクトキーの入力とMicrosoftアカウントでの認証が必要
- セットアップ時にインターネット接続が前提になります
安さと引き換えに柔軟性を差し出す仕組みなので、「本当に使うか分からない」という段階で選ぶオプションではありません。使うと決まっているなら同時購入がお得、迷っているなら見送って単体で買う、という当サイトの立場はこの制約を踏まえたものです。
途中で選ぶ「サブスクか買い切りか」の落とし穴
先ほどの27,500円のオプション名にある「(24か月版)」は、2025年10月に日本国内で始まった新しい方式です。仕組みを知らずに放置すると、最悪の場合どちらも使えなくなります(Microsoft公式サポート|Office Home and Business 2024に切り替える)。
- ① 最初の3か月間は無料試用
- PCのセットアップ後、まずMicrosoft 365 Personalを3か月間無料で試せます
- ② 3か月以内に支払い情報を登録すれば、24か月分のサブスクとして継続
- 初回の課金は登録から2年後です。ここで何もしなければ③に進みます
- ③ 3か月以内に選ばなければ、サブスクの権利は消滅し、代わりにOffice Home and Business 2024の永続ライセンスを選べる状態になる
- 試用終了後90日以内に画面上で「要求」する操作が必要です
- ④ ③のあとも90日以内に手続きしなければ、Officeが一切使えなくなる
- サブスクも買い切りも選ばずに期限を過ぎると、両方の権利が失効します。作成済みのファイル自体が消えるわけではありませんが、Word・Excelでの編集にはあらためてライセンスの購入が必要です
つまり27,500円のオプションは「安いサブスク」ではなく、「サブスクか買い切りかを、使いながら3か月かけて選べる権利」という理解が近いです。手続きを忘れる自信がないなら、最初から永続版に確定している29,000円のオプションを選んだほうが安全です。逆に、2年後の自動更新のタイミングで解約し忘れると、通常の月額2,130円のサブスクに自動的に切り替わって課金が始まる点も覚えておいてください。
サブスクと買い切り、どちらが向くか
BTOの注文画面を離れて、単体でMicrosoft 365と買い切り版のどちらを選ぶか迷っている場合の判断軸も整理します。
- 同じPCを3年以上使うつもりなら買い切り
- Microsoft 365 Personalは年21,300円なので、2年強で買い切り版の43,980円に並びます。それ以降はサブスクを続けるほど買い切りとの差が開いていくため、長く同じPCで使うほど買い切りが総額で有利になります
- 複数台・複数人で使うならMicrosoft 365 Family
- 年額27,400円で最大6人まで、1人あたり1TBのクラウドストレージ付きで共有できます。家族でPCやスマホを複数台使うなら単体購入より割安になりやすい構成です
- 最新機能やCopilot、クラウド保存を重視するならサブスク
- Microsoft 365にはAI機能のCopilotが標準搭載され、1TBのOneDriveストレージも付きます。買い切り版は購入時点の機能で固定され、大きな機能更新の対象外です
- 更新の手間を減らしたいなら買い切り
- 支払い情報の登録や自動更新の管理が不要になります。一度購入すれば、そのPCを使い続ける限り追加費用はかかりません
無料の代替手段とその制約
Officeを買わない場合の選択肢も、実態を知ったうえで選んでください。「無料だから何でもできる」わけではなく、それぞれに癖があります。
- WPS Office
- Word・Excel・PowerPoint相当の編集機能を無料で使えます。ただし無料版には広告が表示され、PDFの編集機能や高品質テンプレートは有料版(WPS Premium)限定です。2026年3月に運営がKingsoftからWPS Corporationへ移管されました
- LibreOffice
- 完全無料のオープンソースソフトで、オフラインでも使えます。最大の弱点は互換性で、Word文書で使われる游ゴシックやMeiryo UI、Calibriなどのフォントを正しく認識できず、レイアウトが崩れることがあります。フォントの置換設定である程度は緩和できます
- Googleドキュメント・スプレッドシート・スライド
- Googleアカウントがあれば無料で、共同編集に強いのが利点です。ただしオフラインで使うにはChrome拡張機能の設定が必要で、Word・Excelとの相互変換で書式が崩れることがあります。VBAマクロには対応していません
- Office(ブラウザ版・無料)
- office.comからMicrosoftアカウントでサインインすると、Word・Excel・PowerPointをブラウザ上で無料で使えます。保存先はOneDrive(無料5GB)のみで、インターネット接続が前提のためオフラインでは使えません。Excelのマクロ作成やWordの一部のフォント・グラフ機能も制限されます
レポート提出や簡単な文書作成であれば、これらの無料手段で足りることが多いです。逆に、Excelで複雑な関数やマクロを組む、企業とのやり取りでOutlookの独自機能が必要、といった用途があるなら、無料手段では限界が出ます。
学生とフリーランスには別ルートがある
大学生は、まず大学の包括契約を確認する
多くの大学はMicrosoftとEES(包括ライセンス)契約を結んでおり、在学中はMicrosoft 365 Appsを無償で使えることがあります。個人所有のPCにもインストールできますが、契約の有無や範囲は大学ごとに異なり、卒業・退学すると使えなくなります(Microsoft公式|学生向けOffice案内)。BTOの注文画面でOfficeを追加する前に、大学の情報センターやポータルサイトの案内を確認してください。新社会人・大学生の選び方全般はゲーミングPCの学割は国内BTOにありませんでもまとめています。
なお2026年1月からは、大学の包括契約とは別に、対象となる高等教育機関の学生がMicrosoft公式の学生向けページからMicrosoft 365 Premiumを12か月無料で利用できる期間限定プログラムも始まっています。対象条件は変わる可能性があるため、詳細は公式ページで確認してください。
フリーランスは、PC本体と経費処理の考え方が違う
フリーランス・個人事業主のゲーミングPC経費ガイドで解説したとおり、PC本体は10万円を超えると減価償却の対象になりますが、Officeの単体ライセンス(27,500円〜43,980円)はこのラインを大きく下回るため、白色・青色申告のどちらでも購入した年の消耗品費(または支払手数料)として全額を経費にできます。減価償却の判断は不要です。サブスクは毎年の利用料として費用計上し、プライベートと兼用するなら家事按分が必要になる点はPC本体と同じ考え方です。
よくある失敗
- 後から追加できると思って注文時にスルーした
- BTOの同時購入専用ライセンスは、PCの注文と切り離して後から追加することができません。必要になってから単体パッケージ版を別途買うことになり、価格差の恩恵を受けられません
- 3か月の選択期限を忘れて権利が消滅した
- 24か月版のサブスクを試用したまま放置すると、サブスクの権利が消え、さらに買い切り版への切り替えも90日以内に手続きしないと両方失います
- 2年後の自動更新に気づかず課金された
- 24か月分の期間が終わると、通常のMicrosoft 365 Personal(月額2,130円)へ自動的に切り替わります。使い続けないなら期限前に解約してください
- 家族共用のつもりでPersonalを選んでしまった
- Personalは基本的に1人分のライセンスです。家族で共有したいならFamily(年額27,400円・最大6人)を単体で検討してください
- 大学の包括契約を確認せずに買ってしまった
- 在学中は無償で使える大学も多く、確認すれば数万円の出費が不要だったというケースがあります
よくある質問
Q.BTOのOfficeオプションは結局、高いですか安いですか?
A.単体パッケージ版(43,980円)と比べると、BTOの同時購入専用ライセンス(27,500円〜29,000円)のほうが1万5,000円前後安いことが多いです。ただしそのPC専用で他のPCに移せず、後から単体で追加することもできません。使うと決まっているなら同時購入がお得で、迷っているなら見送って単体で買うほうが無駄がありません。
Q.ゲーミングPCでもOfficeを使う場面はありますか?
A.レポートや卒論の提出、配信の収支管理、個人事業主の請求書作成、家族共用PCでの年賀状・家計簿作成などが代表的な場面です。ゲームと動画視聴が中心なら基本的に不要です。
Q.Microsoft 365と買い切り版、どちらがいいですか?
A.同じPCを3年以上使うなら買い切り版のほうが総額を抑えられます。逆に、最新機能やAI機能のCopilot、1TBのクラウドストレージを重視するならMicrosoft 365が向いています。複数台・複数人で使うならMicrosoft 365 Familyも選択肢です。
Q.無料の代替ソフトで十分ですか?
A.簡単な文書作成やレポート提出であれば、WPS Office・LibreOffice・Googleドキュメントなどの無料ソフトで足りることが多いです。ただし複雑なExcelのマクロや関数、Outlookの独自機能が必要な場合は、無料手段では限界があります。
Q.大学生はOfficeを買わなくていいですか?
A.多くの大学がMicrosoftと包括契約を結んでおり、在学中はMicrosoft 365 Appsを無償で使えることがあります。BTOでOfficeを追加する前に、大学の情報センターやポータルサイトの案内を必ず確認してください。契約の有無は大学ごとに異なります。
Q.フリーランスの場合、Officeの費用はどう処理すればいいですか?
A.Officeの単体ライセンスは10万円を大きく下回るため、白色・青色申告のどちらでも購入した年の消耗品費として全額を経費にできます。PC本体のような減価償却の判断は不要です。サブスクは毎年の利用料として費用計上し、プライベート兼用なら家事按分が必要です。
Q.BTOのOfficeオプションは後から追加できますか?
A.できません。PCの注文と同時に選ぶ専用ライセンスのため、注文後に追加したい場合は単体パッケージ版を別途購入することになります。迷っている場合は、注文時に見送って必要になってから単体で買う判断もおすすめです。
まとめ・次に読みたい記事
ゲーム目的なら、Officeはほとんどの人に不要です。必要になったときに単体で買っても遅くありません。一方で、レポート提出や請求書作成など使うことが決まっているなら、BTOの同時購入専用ライセンス(27,500円〜29,000円)は単体パッケージ版(43,980円)より1万5,000円前後安く、選ぶ価値があります。ただしそのPC専用で譲渡できない点、2025年10月開始の新方式では3か月以内にサブスクか買い切りかを選ばないと権利が消える点には注意してください。
大学生は大学の包括契約、フリーランスはPC本体と異なる経費処理の考え方を先に確認すると、無駄な出費を避けられます。価格は変動しますので、注文前に自分の見積もり画面で最新の金額を確認してください。



