BTOのゲーミングPCを探していると、こういう名前が並びます。

GALLERIA XGR5M-R56-GD。LEVEL-M8P5-R56X-SLX。G TUNE DG-A7G7T。THIRDWAVE AD-R5A56C-01B。

暗号にしか見えません。そして、その下には「16GB (8GB×2) (DDR5-4800)」「500GB Gen4 SSD」「650W 電源 (80PLUS BRONZE)」といった表が続きます。どこを見て良し悪しを判断すればいいのか、最初は分からないと思います。

この記事では、各社の公式ページを実際に開いて確認しながら、型番から何が読めて何が読めないのかを整理します。先にお伝えしておくと、型番を覚える必要はまったくありません。むしろ覚えると危険な理由があります。

型番の規則は、会社ごとに違います

まず、型番がどう作られているのかを3社で見比べてみます。いずれも公式の製品ページで確認したものです。

ドスパラの場合

GALLERIA XGR5M-R56-GD の中身は、Ryzen 5 7500F と GeForce RTX 5060 でした。

この型番の R56 は、RTX 5060を指しています。つまりドスパラはグラフィックボードを型番に入れています。前半の XGR5M の「5」がRyzen 5、末尾の GD は筐体の色です。

パソコン工房の場合

ここで問題です。LEVEL-M8P5-R56X-SLX-ZOTAC には、何が入っているでしょうか。

R56 が見えるので、RTX 5060だと思いたくなります。ところが公式ページで確認すると、このモデルのCPUは Ryzen 5 5600X、GPUは RTX 4060 Ti でした。

つまり R56X は Ryzen 5 5600X のことです。同じ「R56」という並びが、ドスパラではグラフィックボード、パソコン工房ではCPUを指しています。

マウスコンピューターの場合

G TUNE DG-A7G7T は、Ryzen 7 9800X3D と RTX 5070 Ti の組み合わせでした。

A7 が AMD Ryzen 7、G7T が GeForce RTX 5070 Ti です。こちらはCPUとGPUの両方が型番に入っている方式で、3社の中ではいちばん素直に読めます。

ただしこれにも限界があって、A7 は「Ryzen 7」としか言っていません。7700なのか9800X3Dなのかは、型番からは判断できません。この2つはゲーム性能でかなり差がありますので、無視できる違いではありません。

覚えるだけ無駄、という結論

3社で規則がまったく違いますし、同じ文字列が別のパーツを指すこともあります。しかも各社とも、販売用の型番とは別に管理用の長い型番を持っています(先ほどのパソコン工房のモデルは ILeDEi-M8P5-AR56X-SLSXB-ZOTAC、マウスのモデルは DGA7G7TB6BFDW102DEC が正式な型番です)。

型番は検索するときの符丁として使えれば十分です。中身はスペック表を見るしかありません。

同じ型番でも、中身が違うことがあります

ここからが本題です。型番を信用してはいけない理由が、実際のラインナップにあります。

ドスパラの THIRDWAVE AD-R5A56C-01B を公式ページで検索すると、同じ型番の製品が2つ出てきます。

AD-R5A56C-01B(Ryzen 5 4500搭載)— 179,980円
RTX 5060 Ti 16GB / Ryzen 5 4500 / 16GB DDR4 / 500GB Gen4
AD-R5A56C-01B(Ryzen 5 7500F搭載)— 204,980円
RTX 5060 Ti 16GB / Ryzen 5 7500F / 16GB DDR5 / 500GB Gen4

型番はまったく同じです。グラフィックボードも同じ。しかしCPUの世代が違い、メモリの規格もDDR4とDDR5で違い、価格は25,000円離れています。

型番だけをメモして「あの機種にしよう」と決めていると、どちらを買っているのか分からなくなります。

同じ型番で、メモリの構成が違う例もあります

GALLERIA XGR5M-R56-GD にも同じことが起きています。こちらはさらに分かりにくく、CPUもGPUもSSDも電源も同一です。

通常モデル — 214,980円
Ryzen 5 7500F / RTX 5060 8GB / メモリ 16GB(16GB×1)DDR5-4800 / 500GB Gen4 / 650W 80PLUS BRONZE
価格.com限定モデル — 199,980円
構成はほぼ同じですが、メモリが 16GB(8GB×2)DDR5-4800 です

違いはメモリが1枚か2枚かだけで、15,000円差があります。そして後述するとおり、この「1枚か2枚か」はゲーム性能に関わります。

型番で検索して最初に出てきたページで注文する、という買い方だと、こういう差は見えません。

メモリ欄の括弧は、必ず見てください

スペック表でいちばん見落とされやすいのが、メモリ欄の括弧の中です。

「16GB」とだけ書いてあれば同じに見えますが、実際には次の2通りがあります。

16GB(8GB×2)
8GBのメモリが2枚。デュアルチャネルで動作するため、データのやり取りの帯域が2倍になります
16GB(16GB×1)
16GBのメモリが1枚。シングルチャネル動作になり、同じ容量でも性能は下がります

容量は同じ16GBですが、2枚挿さっているほうが速く動きます。特にCPUの処理が上限になっているタイトルほど差が出ます。

ただし、1枚が悪いとは限りません

ここは単純ではないので、両面をお伝えします。

8GB×2 のメリット
いまの時点でデュアルチャネルとして動きます。買ってすぐの性能は上です
8GB×2 のデメリット
32GBに増やしたいとき、スロットが2本しかない構成だと2枚とも外すことになります。8GBのメモリが2枚余ります
16GB×1 のメリット
同じ16GBをもう1枚足すだけで、32GBのデュアルチャネルになります。無駄が出ません
16GB×1 のデメリット
足すまではシングルチャネルのままです

つまり、あとで32GBにするつもりなら16GB×1にも合理性がありますし、買ったまま使うなら8GB×2が有利です。どちらにせよ型番からは絶対に判断できません。メモリの考え方はメモリの選び方に、注文時に上げるべきかどうかはBTOのカスタマイズは何を足すべきかにまとめています。

スペック表は、この順番で読んでください

項目が多くて迷うと思いますので、見る順番を決めてしまうのが早いです。

1. グラフィックボード
ゲーム性能をいちばん左右します。RTX 5060 Ti のように末尾のTiが付くと上位、さらに8GBと16GBのようにVRAM容量違いがあります。詳しくはグラフィックボードの選び方をご覧ください
2. CPU
Ryzen 5 / Core Ultra 5 が標準、7が上位です。末尾のX3Dはゲーム特化、FとKFは内蔵グラフィックスがありません。CPUの選び方内蔵GPUは必要かで扱っています
3. メモリ
容量と、括弧の中の枚数。加えてDDR4かDDR5か、速度がいくつか(DDR5-4800やDDR5-5600など)を見ます
4. SSD
容量と規格。「500GB Gen4 SSD」ならPCIe Gen4接続のNVMe SSDです。500GBは標準構成に多いのですが、ゲームを入れるとすぐ埋まります
5. 電源
「650W 電源(80PLUS BRONZE)」のように容量と変換効率の等級が書かれます。あとでグラフィックボードを載せ替える予定があるなら、容量に余裕があるほうが安心です
6. マザーボード
B650やB550といったチップセット名です。拡張性や対応CPUがここで決まります。ただし主要スペック欄には出てこないこともあり、詳細を開かないと分からない場合があります

グラフィックボードとCPUで方向性が決まり、残りの4つで使い勝手が決まる、という順番です。それぞれの詳細はストレージの選び方電源ユニットの選び方マザーボードの選び方にまとめました。

型番から読めない4つ

整理すると、型番に入っているのはせいぜいCPUかGPUの大枠だけです。次の4つは、型番をいくら眺めても分かりません。

メモリの枚数と規格
16GB×1か8GB×2か、DDR4かDDR5か、速度はいくつか。同じ型番でも違うことがあります
SSDの規格と容量
Gen3かGen4か、500GBか1TBか。容量が倍でも型番が同じという例があります
電源の容量と等級
650Wか850Wか、BRONZEかGOLDか。あとからGPUを載せ替えるときに効いてきます
マザーボードのチップセット
B550とB650では対応するCPUもメモリ規格も違います

そして先ほど見たとおり、CPUについても「Ryzen 7」までしか分からず、世代までは読めないことがあります。

比較するときの実務

ここまでを踏まえた、実際の注文時の手順です。

型番ではなくスペック表を並べる
候補が2台あるなら、GPU・CPU・メモリ(枚数まで)・SSD・電源の5行を書き出して比べてください。型番を並べても情報がありません
同じ型番の別構成がないか確認する
検索結果に同じ型番が複数出てきたら、CPUの世代とメモリを見比べてください。安いほうが良い構成ということもあります
カスタマイズ後の構成で判断する
標準構成で比べても、カスタマイズを積めば順位が変わります。最終的な総額と構成で比べてください
レビュー記事の型番を鵜呑みにしない
同じ型番でも中身が変わっている可能性があります。記事の日付と、そこに書かれた構成を確認してください

各社の傾向はBTOゲーミングPCメーカー比較に、予算ごとの目安は予算別おすすめゲーミングPCにまとめています。避けたほうがよい構成のパターンは買ってはいけないゲーミングPCの特徴で扱いました。

よくある質問

Q.BTOの型番は覚えたほうがいいですか?

A.覚える必要はありません。規則が会社ごとに違ううえ、同じ文字列が別のパーツを指すこともあります。実際、ドスパラの「R56」はRTX 5060を指しますが、パソコン工房の「R56X」はRyzen 5 5600Xを指します。型番は検索するときの符丁として使えれば十分で、中身はスペック表で確認してください。

Q.同じ型番なのに価格が違うのはなぜですか?

A.構成が違うためです。ドスパラのTHIRDWAVE AD-R5A56C-01Bは、Ryzen 5 4500・DDR4の179,980円と、Ryzen 5 7500F・DDR5の204,980円の2種類が同じ型番で販売されています。型番だけで判断せず、CPUの世代とメモリの規格を必ず確認してください。

Q.メモリの「8GB×2」と「16GB×1」はどちらがいいですか?

A.買ったまま使うなら8GB×2です。デュアルチャネルで動作するぶん性能が上がります。ただし後から32GBに増やす予定があるなら、16GB×1のほうが合理的です。同じ16GBを1枚足すだけで済み、無駄が出ません。8GB×2から32GBにする場合は、スロットが2本の構成だと2枚とも交換になります。

Q.スペック表のどこから見ればいいですか?

A.グラフィックボード、CPU、メモリ、SSD、電源、マザーボードの順です。最初の2つでゲーム性能の方向性が決まり、残りで使い勝手と拡張性が決まります。特にメモリは容量だけでなく括弧の中の枚数まで見てください。

Q.型番の末尾のアルファベットは何ですか?

A.会社によって意味が違います。ドスパラのGALLERIAでは末尾の「GD」「WL」が筐体の色を指します。一方でCPUの型番末尾は共通で、KがIntelのオーバークロック対応、Fが内蔵グラフィックスなし、AMDのX3Dが3D V-Cache搭載のゲーム特化モデルです。CPUの末尾については内蔵GPUの記事で詳しく扱っています。

Q.レビューサイトの型番で探しても同じ機種が見つかりません

A.販売用の型番と管理用の型番が別に存在するためです。たとえばパソコン工房のLEVEL-M8P5-R56X-SLX-ZOTACは、正式な型番がILeDEi-M8P5-AR56X-SLSXB-ZOTACです。またモデルは随時入れ替わるため、少し前の記事の型番が現行ラインにないこともあります。その場合は型番ではなく構成(GPUとCPUの組み合わせ)で探すほうが確実です。

まとめ・次に読みたい記事

BTOの型番は、会社ごとに規則がまったく違います。ドスパラの「R56」はグラフィックボードのRTX 5060、パソコン工房の「R56X」はCPUのRyzen 5 5600X。同じ並びが逆のパーツを指しているので、覚えても役に立ちません。

さらに、同じ型番で中身が違う製品が実際に売られています。ドスパラのAD-R5A56C-01BはCPUの世代とメモリ規格が違う2構成があり、価格差は25,000円です。GALLERIA XGR5M-R56-GDに至っては、違いがメモリ1枚か2枚かだけで15,000円離れています。

見るべきはスペック表です。グラフィックボード、CPU、メモリ、SSD、電源、マザーボードの順に、6行だけ確認してください。特にメモリ欄の括弧の中は、性能にも将来の増設にも関わるのに見落とされやすい場所です。価格や構成は入れ替わりますので、注文前に必ず最新の製品ページをご確認ください。