ゲーミングPCを選ぶとき、レビュー記事やSNSを見ていると「いまはRTX 5070くらいが標準」「4Kが当たり前」といった空気を感じることがあります。

ところが、実際に世界中のPCゲーマーが使っている構成は、その印象とかなり違います。

Valveは毎月、Steamの利用者から任意で構成情報を集めた「ハードウェア調査」を公開しています。これは推測ではない実測のデータです。2026年7月分を読むと、シェア1位のGPUは2021年発売のRTX 3060で、解像度はいまもフルHDが過半数でした。

この記事では、その数字を整理したうえで、買い物の判断にどう使えるかまでまとめます。

シェア1位は、2021年発売のRTX 3060です

まずGPUから見ていきます。2026年7月時点の上位10件はこうなっていました。

Steamユーザーが使っているGPUのシェア(2026年7月)

Valveのハードウェア調査より。ノートPC向けGPUを含む

GeForce RTX 30603.71%
GeForce RTX 4060 Laptop3.44%
GeForce RTX 40603.43%
GeForce RTX 30503.04%
GeForce RTX 50602.85%
GeForce RTX 5060 Ti2.26%
GeForce RTX 4060 Ti2.23%
GeForce RTX 3060 Ti2.07%
Apple M22.06%
GeForce RTX 5060 Laptop2.05%

読み取れることが3つあります。

ひとつめは、首位が2021年発売のRTX 3060だという点です。発売から5年経ったミドルクラスが、いまだにいちばん使われています。PCは買い替えサイクルが長く、多くの人は「動いているうちは使い続ける」ということが数字に出ています。

ふたつめは、上位がすべてエントリーからミドルだという点です。3060、4060、3050、5060、5060 Ti——並んでいるのは価格の手頃な製品ばかりです。

みっつめは、ノートPCが一定数を占めることです。2位のRTX 4060 Laptopをはじめ、上位10件のうち2つがノート向けGPUでした。

ハイエンドはどれもシェア2%未満です

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。

上のグラフで10位のRTX 5060 Laptopが2.05%です。そして上位10件に、RTX 5080・5090・4090といったハイエンドは1つも入っていません。

つまり、ハイエンドGPUはどれもシェア2%を下回っているということになります。ネット上ではハイエンドの話題をよく見かけますが、それは声が大きいだけで、実際の分布ではごく少数派です。

これは買い物をするうえで重要な前提です。ゲーム側の最適化は、多数派の構成に合わせて行われます。開発側から見れば、シェア2%未満の構成に合わせても商売になりません。だから多くのタイトルは、RTX 3060や4060で遊べるように作られます。

「ハイエンドでないとまともに遊べない」という感覚は、実態とずれています。

解像度はいまもフルHDが過半数です

次に解像度です。こちらも印象とのギャップが大きい項目でした。

主なディスプレイ解像度のシェア(2026年7月)

Valveのハードウェア調査より

1920×1080(フルHD)51.1%
2560×1440(WQHD)21.46%
3840×2160(4K)4.95%
3440×1440(ウルトラワイド)3.14%
1920×12002.65%

フルHDが51.10%で過半数です。WQHDを足すと72.56%で、7割以上がフルHDかWQHDということになります。

そして4Kはわずか4.95%。おおよそ20人に1人しかいません。

4K対応のグラフィックボードやモニターの記事はよく見かけますが、実際に4Kで遊んでいる人はこれだけ少ないということです。フルHDやWQHDに合わせて構成を組むのは、まったく普通の選択だと分かります。

解像度ごとに必要なGPUの目安はグラフィックボードの選び方にまとめています。

メモリは16GBと32GBで約8割です

システムメモリの分布はこうなっていました。

16GB — 40.97%
いまも最多です。多くのタイトルが推奨とする容量で、標準的な選択と言えます
32GB — 36.93%
16GBに迫る勢いです。合わせて約78%がこのどちらかを積んでいます
8GB — 7.98%
1割を切りました。2026年の主要タイトルには足りない構成です
64GB — 3.99%
制作用途を兼ねる層と見られます

8GBが7.98%まで減ったのは注目に値します。当サイトでも一貫して「16GBが最低ライン、できれば32GB」とお伝えしてきましたが、実際の分布もそうなっているということです。

VRAMは8GBと16GBが拮抗しています

ビデオメモリの分布は、いま最も動いている項目かもしれません。

ビデオメモリ(VRAM)容量のシェア(2026年7月)

Valveのハードウェア調査より

16GB25.9%
8GB25.32%
12GB12.88%
24GB5.43%

16GBが25.90%、8GBが25.32%とほぼ同率です。ここ数年は8GBが多数派でしたが、ついに16GBが追い抜いた形になります。

これは買い物の判断に直結します。8GBがまだ4分の1を占めるということは、ゲーム側も当面は8GBで動くように作らざるを得ないということです。一方で16GBが並んだということは、これから先の最適化の基準が上がっていくということでもあります。

当サイトが「VRAM 16GBを基準に」とお伝えしている根拠のひとつが、この推移です。詳しくはゲーミングPCでできることは?でも扱っています。

CPUは6コアと8コアがほぼ同率です

8コア — 27.85%
最多です。Ryzen 7やCore i7クラスが該当します
6コア — 27.52%
8コアとほぼ同率。合わせて55.37%と過半数を占めます
4コア — 13.12%
まだ1割以上残っていますが、最近のタイトルでは頭打ちになりやすい構成です
10コア以上
10コア7.45%、12コア5.06%、16コア5.63%と、いずれも少数派です

6コアか8コアで過半数という結果です。ゲーム用途ではコア数を増やすより、1コアあたりの性能やキャッシュのほうが効くため、この分布は理にかなっています。CPUの選び方はCPUの選び方にまとめました。

OSは、Windows 10がまだ4人に1人残っています

見落とされがちですが、いま最も動きのある項目がOSです。

Windows 全体 — 93.67%
内訳はWindows 11が70.26%、Windows 10が23.30%です。サポートが終了した後もなお、約4人に1人が使い続けています
Linux — 4.01%
1年前より存在感が増しています。SteamOSを載せた携帯機や据え置き機が広がった影響と考えられます
macOS — 2.32%
上位GPUにApple M2が入っているのはこの層です

Windows 10が23.30%というのは、想像より多いのではないでしょうか。しかも減り方は月あたり0.3%にも満たず、かなり緩やかです。

ここで押さえておきたいのが、ゲーマーにとっての期限がサポート終了ではないという点です。NVIDIAはWindows 10向けのGame Readyドライバ提供を2026年10月に終了する見込みで、以降は新作に合わせた最適化が届かなくなります。移行がまだの方は、Windows 11へのアップグレード手順を確認してください。

一方のLinux 4.01%は、Steam Deckをはじめとする携帯機の広がりを映した数字です。この分野の選び方は携帯ゲーミングPCの選び方にまとめました。

この数字を、買い物にどう使うか

ここまでの数字を、実際の判断に落とし込みます。

使いきれない出費を避ける材料になります
ハイエンドはシェア2%未満で、ゲーム側の最適化も多数派に合わせられます。フルHDやWQHDで遊ぶなら、無理にハイエンドを狙う必要はありません
自分がどこに位置したいかを決められます
たとえばRTX 5060 Ti 16GBを選べば、VRAM容量では上位層に入ります。「平均より少し上」を狙うなら、この帯が費用対効果に優れます
8GBモデルの立ち位置が分かります
VRAM 8GBはまだ4分の1を占めるため、当面は切り捨てられません。ただし16GBが並んだ以上、長く使うつもりなら16GBを選ぶ根拠になります
買い替えの目安になります
4コアCPUや8GBメモリはすでに少数派です。ここに当てはまるなら、買い替えを検討する時期かもしれません

具体的な構成は予算別おすすめゲーミングPCにまとめています。

この調査を読むときの注意点

数字を扱う以上、性質も正しく理解しておく必要があります。

任意参加のアンケートです
Steamが不定期に表示する調査に、同意した人だけが回答します。全ユーザーの完全な集計ではありません
ノートPCや共用PCを含みます
上位にノート向けGPUが入るのはこのためです。自作デスクトップだけの分布ではありません
地域差が数字を動かすことがあります
過去には特定地域のネットカフェの集計方法が影響し、言語やGPUのシェアが大きく振れたことがありました。単月の変動には注意が必要です
世界全体の数字です
日本国内の分布とは必ずしも一致しません。傾向を掴むための材料として使うのが適切です

とはいえ、これだけの規模で継続的に取られている実測データは他にありません。細かい小数点の変動ではなく、大きな傾向を読むぶんには十分に信頼できます。

よくある質問

Q.いちばん使われているGPUは何ですか?

A.2026年7月時点でGeForce RTX 3060が3.71%で首位です。2021年発売のミドルクラスが今も最多という結果で、上位10件はすべてエントリーからミドルクラスが占めています。

Q.ハイエンドGPUを使っている人はどのくらいいますか?

A.上位10件に入っておらず、10位が2.05%であることから、RTX 5080・5090・4090といったハイエンドはいずれもシェア2%未満と分かります。ネット上の話題性に比べると、実際の分布ではごく少数派です。

Q.4Kで遊んでいる人はどのくらいですか?

A.3840×2160の解像度は4.95%で、およそ20人に1人です。フルHDが51.10%、WQHDが21.46%で、この2つで7割以上を占めます。

Q.メモリは何GBが標準ですか?

A.16GBが40.97%で最多、32GBが36.93%で続きます。この2つで約78%です。8GBは7.98%まで減っており、2026年の主要タイトルには足りない構成になっています。

Q.VRAMは8GBと16GB、どちらを選ぶべきですか?

A.調査では16GBが25.90%、8GBが25.32%とほぼ同率で、16GBが追い抜いた状況です。8GBがまだ4分の1を占めるためゲーム側も当面は対応しますが、長く使うつもりなら16GBを選ぶ根拠になります。

Q.この調査はどこまで信用できますか?

A.任意参加のアンケートで、ノートPCや共用PCも含まれます。また世界全体の数字なので、日本国内の分布とは一致しません。過去には地域ごとの集計方法が影響して数字が大きく振れたこともあります。小数点以下の変動ではなく、大きな傾向を読む材料として使うのが適切です。

まとめ・次に読みたい記事

Valveの2026年7月のハードウェア調査から見えたのは、実際のPCゲーマーは、思われているほど高性能な構成を使っていないという事実でした。

GPUの首位は2021年発売のRTX 3060、ハイエンドはどれもシェア2%未満、解像度はフルHDが過半数で4Kは20人に1人。ゲーム側の最適化は多数派に合わせて行われるため、この分布は「どこまで買えば十分か」の目安になります。

一方で、VRAMは16GBが8GBに並びました。ここは基準が上がっていく方向なので、長く使うつもりなら押さえておきたい部分です。