買い替えたあとの古いPCをどうするか。売れるなら買取に出すのがいちばんですが、古すぎて値段が付かないこともあります。

そのとき困るのが捨て方です。パソコンは自治体の粗大ごみに出せません。法律で別の枠組みが定められているためで、知らずに出しても回収されません。

ただし正規のルートは複数あり、条件が合えば無料です。順に整理します。

先に結論

まず本体にマークがあるか見てください
PCリサイクルマークが貼ってあれば、メーカーへ申し込むだけで無料です
自作PCならパソコン3R推進協会です
メーカーが存在しないので、協会が有償で引き受けます。3,300円(税込)です
宅配で済ませたいなら認定事業者です
小型家電リサイクル法の認定を受けた事業者が、宅配便で回収します。自治体と協定していれば無料になります
データは自分で消してから出してください
どのルートでも、消去は利用者の責任です。SSDはHDDと勝手が違うので後述します

粗大ごみに出せない理由

パソコンは、資源有効利用促進法によってメーカーが回収・リサイクルする義務を負っています。エアコンやテレビの家電リサイクル法とは別の枠組みですが、性質は似ています。

自治体の粗大ごみでは回収されません
法律で別ルートが定められているためです。出しても持っていってもらえないか、シールを貼られて残されます
対象はデスクトップ・ノート・ディスプレイです
本体だけでなく液晶ディスプレイも対象になります
周辺機器は対象外です
キーボード、マウス、スピーカー、プリンタなどは含まれません。こちらは自治体のルールに従ってください
自治体によっては回収ボックスがあります
小型家電リサイクル法にもとづく回収を行っている市区町村があります。まず自分の自治体のページを確認してください

正規のルートは3つあります

ルート費用向いている人
メーカーに申し込むマークありなら無料メーカー製PCを使っていた人
パソコン3R推進協会3,300円(税込)自作PCやマークなしの人
認定事業者の宅配回収自治体しだいで無料梱包して送るだけで済ませたい人

メーカーに申し込む(マークがあれば無料)

PCリサイクルマークを探してください
本体に貼られている小さなマークです。多くの家庭用パソコンには標準で付いています
マークがあれば費用はかかりません
購入時にリサイクル費用が価格に含まれているためです。追加の支払いは発生しません
申し込みはメーカーの窓口へ
回収の依頼を出すと、伝票が届きます
回収はエコゆうパックです
郵便局が集荷に来るか、窓口へ持ち込む形になります。指定の施設まで運ばれ、そこでリサイクルされます

パソコン3R推進協会(自作PCやマークなし)

ここが自作PCの受け皿です。

自作PCにはメーカーが存在しません
回収義務を負う相手がいないため、一般社団法人パソコン3R推進協会が引き受けます
費用は3,300円(税込)です
ノートパソコン・デスクトップパソコン本体の場合の金額です
メーカーが倒産・撤退した場合も同じです
回収を行うメーカーが存在しないパソコンは、協会が有償で回収します
マークがない古いPCも対象です
マークの制度が始まる前に買ったPCは、貼られていないことがあります

パソコン3R推進協会(家庭系リサイクル)

認定事業者の宅配回収(条件しだいで無料)

小型家電リサイクル法にもとづく制度です。環境省と経済産業省の認定を受けた事業者が回収します。

宅配便で送るだけです
自分で箱に詰めて集荷を依頼します。持ち込みに行く必要がありません
パソコンを含めば1箱無料という条件があります
自治体と協定を結んでいる事業者の場合です。パソコンが入っていない箱は有料になることがあります
ほかの小型家電も一緒に出せます
対象は約400品目に及びます。使わなくなった周辺機器をまとめて処分できます
自作PCでも受け付けています
メーカーの有無を問わないのが、このルートの利点です

自分の自治体が協定を結んでいるかは、市区町村のページで確認できます。「小型家電リサイクル」「パソコン 宅配回収」あたりで探してみてください。

データ消去はSSDとHDDで勝手が違います

どのルートでも、データの消去は利用者の責任です。そしてSSDはHDDと同じやり方では不十分になります。

削除やフォーマットだけでは消えていません
見えなくなるだけで、専用ソフトを使えば復元できます。これはHDDでもSSDでも同じです
HDDは全領域の上書きで消えます
同じ場所に別のデータを書き込めば、元のデータは物理的に失われます
SSDは上書きが確実ではありません
書き込み先を分散させる仕組み(ウェアレベリング)があるため、上書きしたつもりでも元のデータが別の領域に残ることがあります
SSDはメーカー製ツールのSecure Eraseが確実です
SamsungのMagician、CrucialのStorage Executiveなど、SSDメーカーが配布するツールに消去機能が用意されています
暗号化していたなら鍵を捨てれば済みます
BitLockerなどで暗号化されている場合、鍵を破棄すれば内容は読めなくなります

不安が残るなら、ストレージだけ抜き取って手元に残すのが確実です。回収に出すのは本体だけにして、SSDやHDDは物理的に破壊するか、次のPCで再利用するという選択もできます。

なお回収事業者によっては、有料のデータ消去サービスと消去証明書の発行を用意しています。自分で作業する自信がない場合は、これを使うのが安全です。

買い替えの流れ全体はゲーミングPCを買い替えたときのデータ移行に、日常的に守るべきものはゲーミングPCのバックアップにまとめました。消す前に、必要なデータを取り出したか必ず確認してください。

「無料回収」をうたう業者に注意してください

トラックで巡回する業者や、ポストにチラシを入れる業者があります。手軽に見えますが、注意が必要です。

廃棄物の収集運搬には許可が要ります
廃棄物処理法にもとづく一般廃棄物収集運搬業などの許可です。無許可の業者は法律に違反しています
積んだ後に高額を請求される事例があります
無料と言われて渡したあと、作業費や運搬費として請求されたという相談が自治体に寄せられています
不法投棄につながることがあります
山林や空き地に捨てられる、適正な処理をされないといった問題が指摘されています
個人情報が流出する危険があります
回収されたPCが適切に処理される保証がありません。データを消してから渡すのは大前提です
火災の危険もあります
バッテリーを含む機器が不適切に保管されると、発火や延焼の原因になります

見分け方は単純で、許可の有無を確認できるかどうかです。自治体のページには許可業者の一覧が掲載されていることが多く、前述のメーカー回収・パソコン3R推進協会・認定事業者はいずれも制度にもとづくルートです。迷ったらそちらを使ってください。

その前に、売れないか確認してください

処分は最後の手段です。値段が付くなら、売ったほうが次の予算に回せます。

GPUの世代交代前が有利です
新世代が出ると相場が下がります。買い替えを決めたら早めに動くのが基本です
パーツ単位で残す手もあります
SSD、メモリ、電源は次のPCで使えることがあります。ただし増設が保証にどう影響するかはメーカーで違います
サブ機として残す選択もあります
配信の別PC化、家族用、作業用など。ただし置き場所と電気代はかかります
売り方と相場は別記事にまとめました
詳しくはゲーミングPCの買取・下取りガイドをご覧ください

売却の可否を含めた判断はアップグレードで延命すべきか、買い替えるべきかでも扱っています。

モニターと周辺機器の扱い

液晶ディスプレイはパソコンと同じ枠組みです
資源有効利用促進法の対象なので、粗大ごみには出せません。PCリサイクルマークの有無で費用が変わるのも同じです
キーボード・マウス・スピーカーは対象外です
自治体のルールに従ってください。小型家電の回収ボックスに入れられることが多いです
認定事業者の宅配なら一緒に出せます
対象品目が広いので、周辺機器をまとめて処分したいならこのルートが楽です
ケーブル類も回収対象に含まれることがあります
事業者や自治体によって扱いが違うので、申し込み前に対象品目を確認してください

よくある質問

Q.ゲーミングPCは粗大ごみに出せますか?

A.出せません。パソコンは資源有効利用促進法の対象で、メーカーが回収・リサイクルする義務を負っています。自治体の粗大ごみとしては受け付けられないため、メーカー回収、パソコン3R推進協会、小型家電リサイクル法の認定事業者のいずれかを使ってください。なおキーボードやマウスといった周辺機器は対象外なので、自治体のルールに従います。

Q.自作PCはどこに出せばいいですか?

A.一般社団法人パソコン3R推進協会が窓口になります。自作PCには回収義務を負うメーカーが存在しないためです。費用はノート・デスクトップ本体で3,300円(税込)です。もうひとつの方法として、小型家電リサイクル法の認定事業者による宅配回収なら、メーカーの有無を問わず受け付けており、自治体と協定があればパソコンを含む1箱が無料になります。

Q.PCリサイクルマークがあれば無料ですか?

A.無料です。購入時にリサイクル費用が価格へ含まれているためで、追加の支払いは発生しません。本体に貼られている小さなマークを探してください。多くの家庭用パソコンには標準で付いています。マークがない場合は3,300円(税込)が必要です。

Q.データはどうやって消せばいいですか?

A.削除やフォーマットでは消えていません。HDDなら全領域の上書きで消せますが、SSDは書き込み先を分散させる仕組みがあるため上書きが確実ではありません。SSDはメーカーが配布するツール(SamsungのMagician、CrucialのStorage Executiveなど)のSecure Erase機能を使うのが確実です。BitLockerなどで暗号化していた場合は、鍵を破棄すれば読めなくなります。不安なら、ストレージだけ抜き取って手元に残すのが確実です。

Q.トラックで回っている無料回収業者に頼んでもいいですか?

A.おすすめしません。廃棄物の収集運搬には廃棄物処理法にもとづく許可が必要で、無許可の業者は法律に違反しています。無料と言われて渡したあとに高額を請求された、という相談が自治体に寄せられています。不法投棄や個人情報の流出、バッテリー由来の火災といった問題も指摘されています。制度にもとづくルートを使ってください。

Q.モニターも同じように処分できますか?

A.液晶ディスプレイもパソコンと同じ資源有効利用促進法の対象です。粗大ごみには出せず、PCリサイクルマークの有無で費用が変わる点も同じです。ただしディスプレイについてはメーカーごとに個別の対応が必要な場合があるので、申し込み前に確認してください。

Q.処分する前に売れないか確認したほうがいいですか?

A.確認する価値はあります。値段が付けば次の予算に回せます。GPUの世代交代前のほうが相場は高いので、買い替えを決めたら早めに動くのが基本です。売れない場合でも、SSDやメモリ、電源は次のPCで使えることがあります。

Q.自治体の回収ボックスは使えますか?

A.自治体によります。小型家電リサイクル法にもとづく回収を行っている市区町村があり、ボックスの設置場所や対象品目は自治体ごとに違います。ノートPCは入るがデスクトップは入らない、といったサイズの制約もあるので、事前に確認してください。

まとめ・次に読みたい記事

ゲーミングPCの処分は、知っておけば難しくありません。

まず押さえるべきは、パソコンは自治体の粗大ごみに出せないということです。資源有効利用促進法で別の枠組みが定められています。

そのうえで、正規のルートは3つあります。本体にPCリサイクルマークがあればメーカーが無料で回収します。自作PCやマークなしは、パソコン3R推進協会が3,300円で引き受けます。梱包して送るだけで済ませたいなら、小型家電リサイクル法の認定事業者による宅配回収があり、自治体と協定があればパソコンを含む1箱が無料になります。

データの消去は自分の責任です。SSDは上書きが確実ではないので、メーカー製ツールのSecure Eraseを使うか、ストレージだけ抜き取って手元に残してください。

そして「無料回収」をうたって巡回する業者は避けてください。許可のない業者は法律に違反しており、高額請求や不法投棄の相談が自治体に寄せられています。

最後にもうひとつ。処分の前に、売れないかだけ確認してください。値段が付けば次のPCの予算になります。