ゲーミングPCの初期設定でいちばん怖いのは、間違っていてもエラーが出ないことです。
モニターを挿す場所を間違えても画面は映ります。リフレッシュレートが60Hzのままでもゲームは動きます。性能が半分しか出ていなくても、比較対象がないので気づけません。
そこでこの記事では、手順を並べるだけでなく、それぞれ「効いたかどうかを確認する方法」をセットで書きます。
そしてもうひとつ。2026年5月に設定の窓口が変わりました。従来の解説記事に書かれている手順は、そのままでは通らなくなっています。
2026年5月に、設定の窓口が変わりました
先にここを押さえておかないと、他の記事を読んでも手順が合いません。
NVIDIA製GPUの設定窓口は、この2年で二度入れ替わっています。
| ソフト | 状態 |
|---|---|
| GeForce Experience | 廃止済み(2024〜2025年) |
| NVIDIAコントロールパネル | 2026年5月26日に廃止(Game Ready Driver 610.47) |
| NVIDIA App | 現在の統合窓口 |
NVIDIAコントロールパネルは20年にわたって使われてきましたが、Game Ready DriverとStudio Driverからは削除されました。ドライバをクリーンインストールすると本体ごと消えます。上書きインストールの場合は残ることがあるので、手動で削除する必要があります。
Microsoft Storeから入手する道は残っていますが、今後は新機能も不具合修正も提供されません。RTX PRO向けの業務用途では当面サポートが続きます。
機能そのものはNVIDIA Appに移っています。場所を対応させると、こうなります。
| 旧コントロールパネル | NVIDIA Appでの場所 |
|---|---|
| 3D設定の管理 | 「グラフィックス」タブ |
| 解像度・リフレッシュレートの変更 | 「システム」タブ内のディスプレイ設定 |
| G-SYNCの設定 | 「システム」タブ内のディスプレイ設定 |
| システム情報 | 統合されていない項目あり(後述) |
この記事の手順はすべてNVIDIA App基準で書きます。他サイトで「NVIDIAコントロールパネルを開いて」と書かれていたら、それは2026年5月より前の情報です。
最初にやること(開封から起動まで)
- 輸送用の固定を外す
- BTOのデスクトップは、輸送中にグラフィックボードが揺れないよう内部に緩衝材が入っていることがあります。側板を開けて確認してください。入れたまま使うとエアフローを妨げます。
- 設置場所を決める
- 背面と側面は壁から10cm以上あけてください。吸気と排気をふさぐと温度が上がり、部品の寿命が縮みます。この理屈は寿命の記事で数字とあわせて説明しました。
- 電源ケーブルを挿してスイッチを入れる
- 電源ユニット背面のスイッチが「O」側だと通電しません。「I」側にしてから前面の電源ボタンを押します。届いた直後に起動しないという相談の多くはこれです。
- Windowsの初期設定を進める
- Microsoftアカウントの作成、Wi-Fiまたは有線の接続、Windows Updateの適用まで済ませます。Updateは複数回に分かれることがあるので、更新がなくなるまで繰り返してください。
モニターはグラフィックボード側に挿してください
これがいちばん多い失敗です。
デスクトップPCの背面には、映像出力の端子が2か所あります。上のほう(マザーボードの端子群の中)はCPU内蔵グラフィックス、下のほうに横向きで並んでいるのがグラフィックボードです。
マザーボード側に挿すと、高価なグラフィックボードが一切使われません。画面は普通に映るので、これで何か月も過ごしてしまう人がいます。
| マザーボード側 | グラフィックボード側 | |
|---|---|---|
| 位置 | 背面の上部・端子が縦に並ぶ | 背面の下部・横向きに並ぶ |
| 使われるGPU | CPU内蔵グラフィックス | 搭載したグラフィックボード |
| ゲーム性能 | 大幅に落ちる | 本来の性能 |
確認方法はこうです。ゲームを起動した状態でタスクマネージャーを開き(Ctrl+Shift+Esc)、「パフォーマンス」タブを見てください。GPUが複数表示される場合、GeForce RTXのほうの使用率が上がっていれば正しく挿さっています。内蔵グラフィックス側だけが動いているなら、挿し直しが必要です。
リフレッシュレートは初期状態だと上がっていません
144Hzや240Hzのモニターを買っても、Windowsは初期状態で60Hzのままであることが珍しくありません。せっかくの高リフレッシュレートが使われないままになります。
設定は「設定」→「システム」→「ディスプレイ」→「ディスプレイの詳細設定」で、「リフレッシュレートの選択」から変更します。
確認方法は同じ画面で数値を見るのが確実ですが、実際に効いているかを目で見たいなら、ブラウザでUFO Testのようなリフレッシュレート確認ページを開くと動きの滑らかさで分かります。
なお、変更後に「ディスプレイの設定を維持しますか」と聞かれます。何もしないと元に戻るので、必ず「変更の維持」を押してください。
ケーブルにも注意が必要です。高解像度と高リフレッシュレートを両立するには帯域が要ります。モニターに付属していたケーブルが規格を満たしていないこともあるので、設定に目的の数値が出てこない場合はケーブルを疑ってください。モニター側の選び方はゲーミングモニターの選び方にまとめています。
ドライバの更新はNVIDIA Appで行います
BTOで届いたPCのドライバは、出荷時点のものです。数か月前のバージョンであることも普通にあります。
NVIDIA Appをインストールし、「ドライバー」タブから最新版を適用してください。以前のGeForce Experienceと違い、ドライバ更新も設定変更もこのアプリに統合されています。
更新時はクリーンインストールのオプションを選ぶと、古い設定を引き継がずに入れ替えられます。不具合が出ているときの切り分けにも有効です。
確認方法は、NVIDIA Appのドライバータブに表示されるバージョン番号を、公式サイトの最新版と見比べるだけです。
なお、ドライバは常に最新が最善とは限りません。新しいゲームを遊ぶなら最新、安定して動いているなら急いで上げなくてもよい、くらいの温度感で構いません。
DLSS Frame Generationを使うならHAGSが必須です
ここは知らないと損をする部分です。
Windowsには「ハードウェア アクセラレータによる GPU スケジューリング(HAGS)」という設定があります。GPUに処理の割り振りを任せる機能です。
重要なのは、この設定が有効でないとDLSS Frame Generationが動かないことです。CD PROJEKT REDの公式サポートページにも、Frame GenerationにはRTX 40シリーズ以降とHAGSの有効化が必要だと明記されています。
HAGSがオフだと、ゲーム内でFrame Generationをオンにしても、NVIDIA Appで設定しても、機能しません。しかもその旨のエラーは出ないので、「効いていない」ことに気づけません。
設定場所は「設定」→「システム」→「ディスプレイ」→「グラフィック」→「既定のグラフィックス設定」の中です。Windows 11では既定で有効になっていることが多いのですが、確認しておく価値はあります。
一方で、配信・録画ソフトやVR環境では、HAGSをオンにすると不安定になる報告もあります。Frame Generationを使わず、配信が主目的なら無理に触らなくて構いません。
そもそも自分のGPUでFrame Generationが使えるのかどうかは、DLSS・FSR・XeSSの対応早見表で確認できます。RTX 30シリーズ以前ではHAGS以前の問題として対応していません。
Resizable BARの確認方法が変わりました
Resizable BARは、CPUがグラフィックボードのメモリ全体に一度にアクセスできるようにする機能です。有効だとタイトルによって数パーセント性能が上がります。
問題は確認方法です。従来はNVIDIAコントロールパネルの「システム情報」から見るのが定番でしたが、その画面がなくなりました。
現時点で使える確認方法は次のとおりです。
- GPU-Zで確認する
- TechPowerUpが配布している無料ツールです。メイン画面の「Resizable BAR」の項目が「Enabled」になっていれば有効です。いちばん手軽で確実な方法です。
- HWiNFOで確認する
- 同じく無料のシステム情報ツールです。GPUの詳細情報からResizable BARの状態を確認できます。
- BIOSで設定を見る
- 起動時にDeleteキーやF2キーでBIOSに入り、「Resizable BAR」と「Above 4G Decoding」の項目を確認します。両方が有効になっている必要があります。
BTOで購入した場合、多くは出荷時に有効化されています。自分で組んだPCや、マザーボードのBIOSを更新した後は確認する価値があります。
初期不良のチェックは最初の1週間で
初期不良の交換には期限があります。ショップによって異なりますが、1週間から2週間が一般的です。届いてすぐに確認しておくのが確実です。
- 全ポートに挿してみる
- USB端子、映像出力、オーディオ端子を一通り試します。使う予定がない端子でも、初期不良期間中に確認しておくと後で困りません。
- 負荷をかけて落ちないか見る
- 重めのゲームを1時間ほど動かします。強制終了や再起動が起きる場合は電源やメモリを疑います。負荷時の温度と音が気になる場合は音と発熱の記事を参考にしてください。
- ストレージの容量と枚数を確認する
- 注文どおりの容量が認識されているかを、エクスプローラーと「ディスクの管理」で確認します。増設分が未フォーマットで見えていないケースがあります。
- 異音がないか聞く
- 起動時にカラカラ、ジーという音が続く場合はファンや簡易水冷のポンプを疑います。判断材料はポンプ故障の見分け方にまとめました。
よくある失敗
設定を変えたけれど、効いたか確認していない
この記事の主題です。初期設定の失敗はエラーを出しません。変更したあと必ず確認まで行うという習慣が、そのまま性能差になります。
古い記事の手順どおりに進めようとする
2026年5月のNVIDIAコントロールパネル廃止は、まだ多くの解説記事に反映されていません。手順が見つからなくて詰まったら、その記事が古い可能性を疑ってください。NVIDIA Appでの場所は、この記事の対応表を使ってください。
性能を上げようとして設定を触りすぎる
「fps向上」をうたう設定変更をまとめて適用すると、不具合が出たときに原因が分からなくなります。まずはこの記事の基本を押さえるだけで十分で、それでも性能が足りないと感じてから細かい調整に進むのが安全です。
よくある質問
Q.NVIDIAコントロールパネルが見当たりません
A.2026年5月26日のGame Ready Driver 610.47をもって廃止されました。設定はすべてNVIDIA Appに移っています。3D設定は「グラフィックス」タブ、解像度やG-SYNCは「システム」タブにあります。Microsoft Storeから旧パネルを入れることもできますが、今後の修正は提供されません。
Q.モニターをどこに挿せばいいですか?
A.デスクトップなら必ずグラフィックボード側です。背面の下部で、横向きに端子が並んでいるほうです。マザーボード側に挿すとCPU内蔵グラフィックスが使われ、性能が大幅に落ちます。ゲーム中にタスクマネージャーの「パフォーマンス」タブを見て、GeForce RTX側の使用率が上がっていれば正しく挿さっています。
Q.リフレッシュレートは自動で最大になりませんか?
A.なりません。Windowsの初期状態では60Hzのままであることが多いので、手動で変更が必要です。「設定」→「システム」→「ディスプレイ」→「ディスプレイの詳細設定」から選べます。目的の数値が出てこない場合はケーブルの規格を確認してください。
Q.DLSS Frame Generationが効きません
A.Windowsの「ハードウェア アクセラレータによる GPU スケジューリング」(HAGS)が無効になっている可能性があります。この設定が有効でないと、ゲーム内でオンにしてもFrame Generationは動きません。「設定」→「システム」→「ディスプレイ」→「グラフィック」→「既定のグラフィックス設定」で確認してください。
Q.Resizable BARが有効か確認したいです
A.従来はNVIDIAコントロールパネルのシステム情報から見ましたが、その画面はなくなりました。現在はGPU-ZやHWiNFOといった無料ツールで確認するのが手軽です。GPU-Zなら「Resizable BAR」の項目が「Enabled」になっていれば有効です。
Q.ドライバは常に最新にすべきですか?
A.新しいゲームを遊ぶなら最新が有利ですが、安定して動いているなら急いで上げる必要はありません。更新はNVIDIA Appの「ドライバー」タブから行い、不具合の切り分けをしたいときはクリーンインストールを選ぶと確実です。
まとめ・次に読みたい記事
ゲーミングPCの初期設定は、やったかどうかではなく効いたかどうかで判断してください。挿し間違いも、60Hzのままの設定も、エラーを出さずに性能だけを削ります。
そして2026年8月時点で押さえておくべき変更が2つあります。NVIDIAコントロールパネルは5月26日に廃止され、窓口はNVIDIA Appに一本化されました。それに伴い、Resizable BARの確認方法も変わっています。
最低限やることをまとめると、次の4つです。
モニターをグラフィックボード側に挿す。リフレッシュレートを手動で上げる。NVIDIA Appでドライバを更新する。HAGSの状態を確認する。
そのうえで、初期不良のチェックだけは最初の1週間で済ませておいてください。



