Ryzen 5 5600やRyzen 7 5700XのAM4機を使っていて、そろそろCPUを新しくしたいと考えたとき、最初にぶつかるのがソケットの壁です。AM5のCPUはAM4のマザーボードに挿さらないので、CPUだけでなくマザーボードとメモリもまとめて替えることになります。そうなると「それならBTOで1台買い直したほうが早いのでは」という疑問が出てきます。
結論から書くと、グラフィックボード・電源・ケース・SSDを流用できるなら、AM5への移行(乗り換え)は約10万3,000円から組めます。同じCPU・同じGPUのBTO完成品と比べると、少なくとも9万円ほど安くなります。ただしグラフィックボードも一緒に替えるなら、その差はほぼ消えます。RTX 5070クラスまで上げる場合は、BTOのほうが安くなりました。
この記事では、2026年10月12日に確認した価格.comの最安値と、ドスパラ・パソコン工房の製品ページの価格だけを使い、同じ日の数字どうしで総額を比べています。部品ごとの内訳と、旧PCから何を流用できるか、交換の手順、OSをそのまま使えるかまで一つの記事にまとめました。同じソケットのままCPUだけ替える手順はCPUの交換・アップグレード手順で扱っているので、ここではソケットをまたぐ移行の費用と段取りに絞ります。
先に結論 移行が向く人、BTOが向く人
- AM5へ移行する(GPUを流用)
- RTX 4060〜4070クラス以上のグラフィックボードを使っていて、CPUだけが足を引っ張っている人。移行の総額は10万3,280円〜14万741円で、同じGPUのBTO完成品より大幅に安く済みます。自分でマザーボードを組み替えられることが前提です。
- AM4のまま延命する
- とにかく安く体感を上げたい人。Ryzen 7 5800X3D 10th Anniversary Editionなら6万980円で、マザーボードとメモリはそのままです。ただし価格はAM5のRyzen 7 9800X3Dより高く、次の載せ替え先はありません。
- BTOに買い替える
- グラフィックボードも古く、一緒に替えるつもりの人。RTX 5070クラスまで上げるならBTOのほうが安く、Windowsと保証も付きます。組み替えの作業に自信がない人もこちらです。
移行と延命のどちらで迷っているかの大きな方向性は、ゲーミングPCはアップグレードで延命すべきか、買い替えるべきかで整理しました。この記事は、AM5へ移ると決めかけている人が「実際いくらかかって、何をすればいいのか」を確かめるためのものです。
AM4からAM5で替える部品、流用できる部品
ソケットが変わると、CPUとマザーボードは必ず替わります。そのうえで問題になるのがメモリです。AM5はDDR5専用で、AM4で使っていたDDR4メモリは挿さりません。この3点が移行で必ず買うものです。
- 必ず買う CPU
- AM5対応のRyzen 7000 / 8000 / 9000シリーズから選びます。
- 必ず買う マザーボード
- AM5のA620 / B650 / B850 / X670 / X870シリーズ。AMDは公式のチップセット紹介ページで、600シリーズと800シリーズのAM5マザーボードはすべてのAM5 CPUに対応すると説明しています。ただし600シリーズのマザーボードでRyzen 8000・9000シリーズを使う場合は、BIOS更新が必要なことがあるとも書かれています。AMD公式 AM5チップセット
- 必ず買う DDR5メモリ
- AM5はDDR5のみ対応です。DDR4は形状も切り欠きの位置も違うため、物理的に挿さりません。
- 取り付けは流用できることが多い CPUクーラー
- AMDはAM5の発表時に、既存のAM4用冷却ソリューションを引き続きサポートすると説明しています。AMD標準のバックプレートにネジ留めするタイプなら、そのまま付きます。独自のバックプレートに交換して取り付けるタイプは付かないことがあるので、クーラーメーカーの対応表を確認してください。ただし付くことと冷やせることは別です。Ryzen 5 5600などに付属していたWraith StealthはTDP 65WのCPUに同梱される小型クーラーで、TDP 120Wの9800X3Dには力不足です。AMD公式 Socket AM5の解説
- 流用できる グラフィックボード・電源・ケース・SSD
- PCIe規格とATX規格は共通です。NVMe SSDもそのまま新しいマザーボードのM.2スロットに挿せます。電源は少し注意が要ります。Ryzen 5 5600(TDP 65W、AMDの標準設定でのソケット電力上限は88W)から9800X3D(TDP 120W、同162W)に替えると、CPUの最大消費電力は75W前後増えます。いまの電源がGPUメーカーの推奨容量ぎりぎりなら、容量を確認してください。
- 場合によって買う Windowsライセンス
- BTOやメーカー製PCに最初から入っていたWindowsは、マザーボード交換後に認証が通らない場合があります。パッケージ版のWindows 11 Homeは10月12日の価格.com最安値で1万4,754円です。

部品代を削りたくて中古のCPUやマザーボードを考える人もいると思いますが、当サイトとしてはおすすめしません。とくに自分でマザーボードを替えるのが初めてなら、なおさらです。移行後に画面が映らないとき、原因の候補はCPU、マザーボード、メモリの挿し方、BIOSのバージョン、電源ケーブルと複数あります。全部が新品なら初期不良として店に持ち込めますが、中古が混ざると「どれが壊れているのか」を自分で切り分けるしかなくなります。
総額はいくら? 部品別の価格(10月12日)
ここからは、2026年10月12日に価格.comの製品ページで確認した最安値で積み上げます。メモリは、AM4機の多くが16GBであることと、いまのゲームの要求を考えて、DDR5の16GB×2枚(合計32GB)で計算しました。部品を別々の店で買うと、店ごとに送料がかかる場合がありますが、その分は含めていません。
CPU
- Ryzen 5 7500F BOX — 2万4,500円
- 6コア12スレッド。内蔵GPUはありません。国内のBOX版は2025年12月発売で、AMD純正クーラーが付属します。トレイ版にはクーラーが付かないので、買うときは「BOX」を確認してください。価格.comで見る
- Ryzen 5 9600X BOX — 3万4,880円
- 6コアのZen 5世代。クーラーは付属しません。価格.comで見る
- Ryzen 7 9700X BOX — 4万1,792円
- 8コアのZen 5世代。クーラーは付属しません。価格.comで見る
- Ryzen 7 7700 BOX — 5万3,788円
- 8コアのZen 4世代でクーラー付属。ただし10月12日時点では9700Xより1万2,000円ほど高く、7800X3Dよりも高い逆転が起きています。価格.comで見る
- Ryzen 7 7800X3D BOX — 5万3,252円
- 3D V-Cache搭載。クーラーは付属しません。価格.comで見る
- Ryzen 7 9800X3D BOX — 5万9,140円
- 現行のゲーム向け定番。7800X3Dとの差は5,888円です。クーラーは付属しません。価格.comで見る
2026年7月に国内発売されたRyzen 7 7700X3Dは5万1,500円で、7800X3Dとの差が1,752円しかありません。ゲーム目的でX3Dを選ぶなら、7800X3Dからは5,888円、7700X3Dからでも7,640円の上乗せで9800X3Dに届くので、間を取る理由はあまりありません。
クーラーが付属しない9600X・9700X・7800X3D・9800X3Dを選び、手元のAM4クーラーが付属品の小型モデルなら、市販のサイドフロー空冷を足してください。DeepCool AK400は10月12日の価格.com最安値で2,821円でした(価格.comで見る)。この記事の総額では、クーラー非付属のCPUにはこの2,821円を足しています。
マザーボード
- A620 — MSI PRO A620M-E 1万1,800円
- 最も安いチップセット。PCIe 5.0には非対応で、CPUのオーバークロックもできません。7500Fと組み合わせるなら実用上は困りません。価格.comで見る
- B650 — ASRock B650M Pro X3D WiFi 1万5,980円
- Wi-Fi付きのMicroATX。B650で確認した最安はColorfulのBATTLE-AX B650M-T V14(1万4,500円)でした。価格.comで見る
- B850 — ASRock B850M Rock WiFi 1万5,980円
- B650M Pro X3D WiFiと同額です。800シリーズはRyzen 9000の発売後に登場したチップセットなので、Ryzen 9000をBIOS更新なしで動かせる前提で選べます。価格.comで見る
価格だけ見ると、B650とB850が同じ1万5,980円で並んでいます。いま買うならB850を選んで損はありません。前述のとおり、600シリーズのマザーボードでRyzen 9000を使う場合はBIOS更新が必要になることがあります。店頭在庫のBIOSが古いと、CPUを載せても画面が映らない状態から始まる可能性があります。800シリーズならその心配をほぼしなくて済みます。チップセットの細かな違いはマザーボードの選び方にまとめています。
DDR5メモリ
- 16GB×2枚(合計32GB) — Apacer FL.32GAC.PKRK2 6万2,800円
- DDR5-5600。10月12日時点で、価格.comで複数の店(7店舗)から買える16GB×2枚組の最安です。この記事の総額はこの価格で計算しています。価格.comで見る
- 16GB×2枚(合計32GB) — KOWIN KWEU560032 5万5,980円
- DDR5-5600で、価格.com上の最安です。ただし10月12日時点の取扱いは1店舗だけで、在庫がなくなれば次の店の価格に変わります。XMP 3.0のプロファイルを持つ製品です。価格.comで見る
- 8GB×2枚(合計16GB) — ADATA AX5U5600C468G-DTLABRBK 3万2,980円
- とりあえず16GBで始める場合。最近のゲームには余裕のない容量です。価格.comで見る
- 32GB×2枚(合計64GB) — KOWIN KWEU560064 9万7,980円
- 配信や動画編集も重ねる人向け。こちらも取扱いは1店舗です。ゲームだけなら32GBで足ります。価格.comで見る
定番メーカーの16GB×2枚組でも、ADATA AD5U480016G-DT-I(DDR5-4800)が6万3,580円、CFD W5U4800CS-16G(DDR5-4800)が6万5,800円、CFD W5U5600CS-16G(DDR5-5600)は6万9,480円でした。どれを選んでも6万円台です。
移行の総額でいちばん重いのはCPUではなくメモリです。7500Fで組む場合、CPUが2万4,500円なのに対してメモリは6万2,800円で、総額の6割を占めます。16GB×1枚ではなく2枚にする理由はメモリは32GB×1枚と16GB×2枚どちらがいいかで解説しています。
3つの組み合わせの総額
- 最小限の移行 — 10万3,280円
- Ryzen 5 7500F(2万4,500円)+B850M Rock WiFi(1万5,980円)+DDR5 16GB×2(Apacer、6万2,800円)。クーラーは付属品を使います。メモリを1店舗だけのKOWINにすれば9万6,460円、さらにマザーボードをA620M-E、メモリを8GB×2にすれば6万9,280円まで下がりますが、16GBでは長く使えません。
- バランス型 — 12万3,393円
- Ryzen 7 9700X(4万1,792円)+B850M Rock WiFi+DDR5 16GB×2+AK400(2,821円)。8コアにしたい人向け。
- ゲーム最優先 — 14万741円
- Ryzen 7 9800X3D(5万9,140円)+B850M Rock WiFi+DDR5 16GB×2+AK400。最小限の移行との差は3万7,461円です。
- Windowsを買い直す場合 — 各+1万4,754円
- BTO付属のWindowsで認証が通らなかった場合です。最小限の移行なら11万8,034円になります。
BTO買い替えと比べるとどちらが得か
比べ方は2通りあります。ひとつは「GPUを流用して移行」した場合と、「同じCPU・同じクラスのGPUを積んだBTO完成品」の比較です。BTOはドスパラのTHIRDWAVE(白モデル、黒は5,000円高)とGALLERIAの10月12日の製品ページ価格に送料3,300円を足し、パソコン工房はセール価格(会員は送料無料)をそのまま使っています。
GPUを流用する移行と、同等構成のBTO完成品の総額
2026年10月12日時点。移行は価格.com最安値の合計(CPU+B850M Rock WiFi+DDR5 16GB×2 Apacer、クーラー非付属CPUはAK400込み)でWindowsは含まず。5800X3D記念版もAK400込み。THIRDWAVEはAD-R5A56A-01W/AD-R5A57A-01W(DDR5-4800 16GB×1・SSD 500GB・A620A)+送料3,300円。パソコン工房はLEVEL-M8AM-LCR98D-TKXB(16GB・1TB・240mm水冷、セールは10月26日10:59まで)。GALLERIAはXDR7A-R57-GD(32GB・DRAMキャッシュ付き1TB SSD・240mm水冷)+送料3,300円
RTX 5060クラスのGPUを使っているなら、移行(10万3,280円)とBTO(19万3,280円)の差は9万円です。RTX 5070クラスなら13万8,900円の差になります。9800X3D同士では、パソコン工房のセール機と比べて23万4,059円、GALLERIAと比べて30万7,539円です。GALLERIAは240mm水冷とDRAMキャッシュ付きSSDを積んだ上位構成なので、この差には構成の違いも含まれます。
数字だけ見れば移行の圧勝ですが、この差額のほとんどは、手元にあるGPU・電源・ケース・SSDとWindowsの値段です。手元のGPUにそれだけの価値があるかどうかが、移行を選ぶ意味そのものだと言えます。
なおTHIRDWAVEの7500F機は、メモリがDDR5-4800の16GB×1枚、SSDが500GB、マザーボードがA620Aと、移行プランより一段下の構成です。メモリを32GB(16GB×2)にするには、ドスパラの構成画面で+5万6,100円かかります(AD-R5A56A-01Wで確認)。そろえると、RTX 5060クラスでも差は14万6,100円に広がります。
GPUも買い替えるなら差はほぼ消える
もうひとつの比べ方は、GPUも新しくする場合です。いまのGPUがRTX 20シリーズやGTX世代で、どのみち替えるつもりなら、こちらが本当の比較になります。単体のGPUは10月12日の価格.com最安値で、RTX 5060がColorful RTX 5060 Gaming DUO 8GB-Vの6万7,800円、RTX 5070がMSI RTX 5070 12G VENTUS 2X OCの14万9,475円でした。
GPUも新しくする場合の総額
2026年10月12日時点。移行はRyzen 5 7500F+B850M Rock WiFi+DDR5 16GB×2(Apacer)+新品GPU(価格.com最安値)で、Windowsは含まず。BTOはドスパラTHIRDWAVE白モデル+送料3,300円
RTX 5060なら移行のほうが2万2,200円安いものの、Windowsを買い直すことになれば差は7,446円まで縮みます。RTX 5070では移行のほうが1万575円高く、Windows込みなら2万5,329円の差でBTOが安くなります。BTOは電源・ケース・SSDも新品で、保証も1台まとめて付きます。GPUまで替えるなら、もう移行にこだわる理由はほとんど残りません。
旧パーツの売却も計算に入れる
移行した場合は、外したAM4のCPU・マザーボード・DDR4メモリが手元に残ります。DDR4は新品の16GB×2枚組でもCFD W4U3200CS-16Gが3万5,979円(10月12日)と安くないので、まとめて売れば移行費用の一部を取り戻せます。BTOに買い替えた場合は旧PCを丸ごと売れます。完成品のまま売るほうが高値が付きやすい傾向と、GPU別の買取相場はゲーミングPCの買取価格にまとめていますが、そちらは2026年8月時点の数字なので、売る直前に査定を取り直してください。
AM4のまま延命する選択肢
AM5へ移らず、AM4のマザーボードとDDR4メモリを使い続ける道もあります。2026年6月にはAM4の10周年記念として、Ryzen 7 5800X3D 10th Anniversary Editionが発売されました。10月12日の価格.com最安値は6万980円です。TDPは105Wでクーラーは付属しないため、手元が付属の小型クーラーならAK400などを足して6万3,801円になります。

ここで比べたいのが性能の伸び方です。当サイトのCPU性能比較で使っているゲーミング性能の目安スコアでは、Ryzen 5 5600が6100、5800X3Dが7800、9800X3Dが9650です。体感が変わる目安を1,500程度とすると、5600からなら5800X3Dでも9800X3Dでも違いは出ます。なおこのスコアはフルHDでCPUの差が出やすい条件を想定したもので、WQHD以上ではGPUが先に限界を迎えるため、CPUによる差は小さくなります。
- 5800X3D記念版(AM4のまま) — 6万3,801円
- 5600からスコア+1,700。マザーボードもメモリもそのままで、作業はCPUとクーラーの交換だけです。ただしCPU単体の値段は9800X3Dより高く、この先AM4に新しいCPUが出る保証はありません。使っているマザーボードのCPUサポートリストで、対応BIOSも確認してください。
- 9800X3DでAM5へ移行 — 14万741円
- 5600からスコア+3,550。5800X3D記念版との差額は7万6,940円です。DDR5とPCIe 5.0対応の土台に移り、AMDが2029年までのサポートを表明しているAM5で、次の世代のCPUにも載せ替えられる見込みです。
- 7500FでAM5へ移行 — 10万3,280円
- 7500Fは当サイトのスコア表に載っていないため、ここは推定です。同じZen 4・6コアのRyzen 5 7600X(7500)より最大クロックが低いので、7,200〜7,300程度と見ています。5600からの伸びは+1,100〜1,200で、体感の目安の1,500にはやや届かない計算です。性能の伸びより、土台を新しくするための出費という性格が強くなります。
つまり、Ryzen 5 5600や5700Xから移行するなら、7500Fより9800X3Dのほうが「払った分だけ変わる」移行になりやすいと考えています。一方、Ryzen 5 3600やRyzen 5 4500のような世代からなら、7500Fでも伸びははっきり出ます。4500機を使っている人は、PCIe 3.0の制約も含めてRyzen 5 4500搭載ゲーミングPCは買いかも参考にしてください。
AM5のサポート期間について補足します。AMDは2026年5月31日の公式ブログで、7700X3Dの発表と合わせて「Socket AM5のサポートを2029年まで延長する」と表明しました(AMD公式ブログ)。次のZen 6世代がいつ出るかはまだ発表されていません。見通しはAMD「Zen 6」(Olympic Ridge)はいつ出る?待つべきかで整理しています。
マザーボード交換の手順
作業は大きく「旧PCでの準備」「組み替え」「初回起動とBIOS」「Windows」の4段階です。いちばん大事なのは、旧PCが動いているうちに済ませておく準備です。
旧PCが動いているうちにやること
- 1. Windowsのライセンスを確認する
- 「設定」→「システム」→「ライセンス認証」で状態を確認し、デジタルライセンスがMicrosoftアカウントにリンクされているかを見ます。Microsoftは、マザーボード交換のような大きな変更の後は、リンク済みのアカウントからトラブルシューティングで再認証する手順を案内しています。Microsoft公式 ハードウェア変更後の再認証
- 2. BitLockerの回復キーを控える
- まず「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「デバイスの暗号化」(ProではBitLocker)で、ドライブが暗号化されているかを確認します。TPMはCPUとマザーボードに依存するため、交換するとTPMが別物になり、暗号化されたドライブは起動時に回復キーを求められます。Microsoftアカウントでサインインしているなら、アカウントの回復キーのページで確認できます。ローカルアカウントの場合は、BitLockerの管理画面の「回復キーのバックアップ」から印刷するかUSBメモリに保存しておきます。
- 3. データをバックアップする
- OSをクリーンインストールするかどうかにかかわらず、作業前に外付けドライブかクラウドへ退避します。
- 4. ドライバーをUSBメモリに入れておく
- 新しいマザーボードのLANやWi-Fiは、Windowsの標準ドライバーで動かないことがあります。マザーボードメーカーのサイトからLAN・Wi-FiドライバーとAMDのチップセットドライバーを先にダウンロードしておくと、ネットにつながらず手詰まりになる事態を避けられます。
- 5. OSをそのまま使うなら、古いユーティリティを外す
- 旧マザーボードのメーカー製ユーティリティ(LED制御やファン制御など)とAMDのチップセットソフトウェアは、交換前にアンインストールしておきます。
組み替え
- 6. ケースの外で最小構成を組む
- 新しいマザーボードを箱の上に置き、CPU・メモリ・CPUクーラー・グラフィックボードだけを付けて電源をつなぎます。いきなりケースに組み込むより、起動しなかったときの切り分けが楽です。
- 7. CPUはソケットに真上から置く
- AM5はピンがマザーボード側にあるLGA方式です。CPUの三角マークとソケットの印を合わせて静かに置き、ソケットカバーはCPUを載せる直前まで外さないでください。
- 8. メモリはマニュアルの推奨スロットへ
- 2枚挿しの場合、多くのマザーボードはCPUから数えて2番目と4番目のA2・B2を推奨しています。必ず手元のマニュアルで確認します。
- 9. CPUクーラーを付ける
- AM4のクーラーを流用する場合は、古いグリスを拭き取って塗り直します。手順はCPUグリスの塗り直し方にまとめました。
初回起動とBIOS
- 10. 初回の黒画面は数分待つ
- DDR5の初回起動では、メモリトレーニングのためにロゴが出るまで時間がかかります。ここで電源を切ると、トレーニングがやり直しになります。どれくらい待つかの目安はゲーミングPCの起動が遅い原因で整理しています。
- 11. BIOSのバージョンを確認する
- 画面が出たら、BIOSを最新に更新しておきます。CPUを載せても画面が映らない場合は、BIOSがCPUに対応していない可能性があります。CPUなしで更新できるBIOS Flashbackの使い方も確認してください。
- 12. メモリのプロファイルを確認する
- EXPOやXMPのプロファイルを持つメモリなら、BIOSで有効にします。この記事で総額の計算に使ったApacerのような定格品のDDR5-5600は、そのままの設定で使えます。プロファイルを有効にした直後の起動では、もう一度トレーニングが走ります。
- 13. ケースに組み込む
- 起動が確認できたら電源を切り、ケースに組み込みます。CPUファンのケーブルはCPU_FANへ。起動時にファンのエラーで止まる場合はCPU FAN ERRORの対処を見てください。
電源ボタンを押しても何も起きない、ファンは回るが画面が出ないといった場合は、ゲーミングPCの電源が入らない・画面が映らない原因の順番で切り分けてください。
OSはそのまま使える? クリーンインストールすべき?
当サイトに届く検索でも多いのがこの疑問です。答えは「そのまま起動することは多いが、当サイトはクリーンインストールを勧める」です。
AM4からAM5はどちらもAMDのプラットフォームで、NVMe SSDもWindows標準のドライバーで読めるため、旧PCのSSDをそのまま挿しても起動するケースは珍しくありません。ただしRAIDを組んでいる場合や、旧PCがレガシーBIOS(MBR)で起動している場合は、そのままでは起動しません。また、チップセットが2世代分変わるうえ、古いマザーボード用のドライバーやユーティリティが残ります。後からスリープ復帰やUSBの不調が出たときに、原因がドライバーの残りなのかハードウェアなのかを切り分けにくくなります。
ライセンスについては、Microsoftの手順では「このデバイス上のハードウェアを最近変更しました」を選んで再認証します。条件は、デジタルライセンスがMicrosoftアカウントにリンクされていることと、HomeかProかのエディションが交換の前後で同じことです。BTOに付属していたOEM版はライセンスの扱いが異なり、再認証できない場合があります。どのケースで再インストールが必要か、OEM版とリテール版の違いはCPU・グラボ・マザーボード交換後にWindowsの再インストールは必要かで詳しく扱っています。
Windowsが立ち上がったら、AMDのチップセットドライバーを入れ、高負荷をかけて温度とエラーを確認します。確認のやり方は初期不良チェックのやり方と同じ手順が使えます。
よくある失敗
- DDR4メモリを流用するつもりで予算を組む
- AM5はDDR5専用です。32GBで6万円前後かかり、移行費用でいちばん大きな部品になります。
- 最も安い7500Fで移行して、伸びの小ささにがっかりする
- Ryzen 5 5600や5700Xからだと、ゲームの体感はあまり変わらない可能性があります。性能を上げたいなら、9800X3D構成との差額3万7,461円を検討してください。
- 付属の小型クーラーをそのまま9800X3Dに付ける
- 取り付けはできても冷却が追いつきません。3,000円前後のサイドフロー空冷で十分なので、総額に入れておきます。
- BTO付属のWindowsがそのまま使えると思い込む
- OEM版は再認証できないことがあり、その場合は1万4,754円の追加です。最初から予算に入れておくと慌てません。
- 古いBIOSの600シリーズ板にRyzen 9000を載せる
- 画面が映らない状態から始まることがあります。同額のB850なら心配はほぼ要りません。
- GPUも替えるのに移行を選ぶ
- RTX 5070クラスなら、移行よりBTOのほうが安くなりました。GPUまで替えるなら、まずBTOの見積もりと並べてください。
よくある質問
Q.AM4からAM5に移行するといくらかかりますか?
A.グラフィックボード・電源・ケース・SSDを流用するなら、2026年10月12日の価格.com最安値で、Ryzen 5 7500F構成が10万3,280円、Ryzen 7 9800X3D構成が14万741円です。内訳はCPU、B850マザーボード(1万5,980円)、DDR5 16GB×2(6万2,800円)で、9800X3Dには2,821円の空冷クーラーを含めています。Windowsを買い直す場合は1万4,754円が加わります。
Q.マザーボードを交換してもOSはそのまま使えますか?
A.AM4からAM5の場合、旧PCのSSDを挿したまま起動することは多いです。ただしRAIDやレガシーBIOS(MBR)での起動だとそのままでは起動しません。チップセットが変わり古いドライバーが残るため、当サイトではクリーンインストールを勧めています。BitLockerやデバイスの暗号化が有効な場合は回復キーが必要になるので、交換前に控えておいてください。
Q.マザーボード交換でWindowsのライセンスはどうなりますか?
A.大きなハードウェア変更として扱われ、再認証が必要になります。デジタルライセンスをMicrosoftアカウントにリンクしておけば、ライセンス認証のトラブルシューティングで「このデバイス上のハードウェアを最近変更しました」を選んで再認証できます。エディションが前後で同じであることが条件です。BTO付属のOEM版は再認証できない場合があります。
Q.AM4のCPUクーラーはAM5で使えますか?
A.AMD標準のバックプレートにネジ留めするタイプなら取り付けられます。独自のバックプレートに交換して取り付けるタイプは付かないことがあるため、クーラーメーカーの対応表を確認してください。ただし、Ryzen 5 5600などに付属していた小型のWraith StealthはTDP 65WのCPU向けで、TDP 120WのRyzen 7 9800X3Dには力不足です。その場合は3,000円前後のサイドフロー空冷を用意してください。
Q.DDR4メモリはAM5で使えますか?
A.使えません。AM5はDDR5専用で、DDR4は切り欠きの位置が違うため物理的に挿さりません。移行ではDDR5を新しく買う必要があり、2026年10月12日時点では16GB×2枚組で、複数の店で買えるものが6万2,800円からです(取扱い1店舗のものなら5万5,980円)。
Q.SSDはそのまま使えますか?
A.物理的には、NVMe SSDを新しいマザーボードのM.2スロットにそのまま付けられます。データドライブとして使うなら問題ありません。OSが入ったSSDをそのまま起動する場合は、暗号化されていれば回復キーが必要になるので交換前に控えておいてください。また古いマザーボード用のドライバーが残るため、当サイトではクリーンインストールを勧めています。
Q.A620・B650・B850のどれを選べばいいですか?
A.2026年10月12日時点ではB850を勧めます。ASRock B850M Rock WiFiがB650M Pro X3D WiFiと同じ1万5,980円で、Ryzen 9000をBIOS更新なしで使える前提で選べます。A620は1万1,800円からと安いものの、PCIe 5.0とCPUのオーバークロックに対応しません。
Q.AM4はいつまで使えますか?
A.使い続けること自体はできます。AMDは2026年6月にもAM4向けのRyzen 7 5800X3D 10th Anniversary Editionを出しました。ただし今後新しいCPUが出る保証はなく、AMDがサポート期間を明示しているのは2029年までのAM5のほうです。
Q.移行とBTO買い替え、結局どちらが得ですか?
A.グラフィックボードを流用できるなら移行です。同じCPU・GPUのBTO完成品より約9万〜30.8万円安くなります。GPUも買い替えるなら差はほぼなく、RTX 5070クラスではBTOのほうが安くなります(2026年10月12日)。
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AM4からAM5への移行は、グラフィックボードなどを流用できるなら10万3,280円から組めて、同じCPU・同じGPUのBTO完成品と比べると、少なくとも9万円ほど安くなります。費用の6割はDDR5メモリで、CPUは思ったほど重くありません。
ただし、安さの理由は「手元のGPUや電源をもう一度使うこと」にあります。GPUまで替えるなら移行の得はほぼ消え、RTX 5070クラスではBTOのほうが安くなります。また、Ryzen 5 5600や5700Xから7500Fへ移っても、ゲームの体感はあまり変わらない可能性があります。移行するなら9800X3Dまで上げる、AM4のまま安く伸ばしたいなら5800X3D記念版、GPUも古いならBTO、という分け方がいちばん後悔の少ない選び方です。



