同じRTX 5060 Tiでも、8GB版と16GB版があります。BTOでの価格差は1〜1.5万円ほど。この差をどう考えるかは、多くの方が迷うところだと思います。
判断材料になるのは、遊ぶタイトルが実際にどれだけVRAMを使うかです。当サイトのタイトル別記事を横断して整理しました。なお本体のメインメモリは別の話で、そちらはメモリ32GBが必要なゲーム一覧にまとめています。
結論から言うと、「フルHDなら8GBで十分」という通説はすでに崩れています。
フルHDでも8GBが足りないタイトルがあります
まず、いちばん深刻なケースからです。解像度を下げても解決しないタイプです。
- ボーダーランズ4 — 1080pの最高設定で約11GB
- アニメ調の見た目に反してUnreal Engine 5をフルに使うタイトルです。「Badass」設定では8GBのGPUでは足りません
- FF16 — 1080p・Ultra設定で約8〜9GB
- 8GBのGPUではすでにギリギリの状態です。余裕がまったくありません
- アサシンクリード ブラックフラッグ Resynced — フルHDで約9GB
- VRAM消費が非常に大きいタイトルです。レイトレーシングが常時有効で切れないという仕様も重なります
- デルタフォース — フルHDでも8GB近く
- 使い切るわけではありませんが、余裕はありません
かつては「WQHDや4Kにしなければ8GBで足りる」と言えました。いまはフルHDの時点で超えるタイトルが出てきています。
レイトレやWQHD以上で足りなくなるタイトル
こちらは条件付きで足りなくなるケースです。設定を下げれば回避できます。
- エルデンリング — レイトレONで10GB以上
- レイトレをオフにすれば8GBでも問題ありません。ただしオンにすると失速します
- 黒神話:悟空 — レイトレONで10GB超
- レイトレや4Kを楽しむなら16GBが安心です
- サイバーパンク2077 — 段階的に増えます
- フルHDのラスタライズなら8GB、レイトレは12GB、パストレーシングや4Kでは16GBが目安になります
- Marvel Rivals — WQHDで8〜9GB
- フルHDなら8GBでも遊べますが、WQHDの高画質では余裕がなくなります
- モンスターハンターワイルズ
- 16GBが効くタイトルです。設定を調整してVRAM使用量を約7.5GBに抑えると、最大2割ほどfpsが改善するという結果もあります
- ドラゴンソード:アウェイクニング
- フルHD・高設定での安定動作を狙うなら、RTX 5060 Ti 16GB以上が目安です
VRAM不足の症状は、fps低下ではありません
ここが誤解されやすいところです。
VRAMが足りないと平均fpsが少し下がる、と思われがちですが、実際に起きるのは別の症状です。
- スタッター(引っかかり)
- テクスチャの読み込みが間に合わず、動きが断続的に止まります。平均fpsは出ているのに快適ではない、という状態になります
- システムメモリへのスワップ
- VRAMに収まらないデータがメインメモリに追い出されます。Subnautica 2では、これによって激しいスタッタリングからクラッシュに至ることがあると報告されています
- テクスチャの読み込み遅延
- 近づいたときに急に解像度が上がる、という見え方になります
つまり平均fpsを見ているだけでは気づけません。引っかかりが出ているのに数字は悪くない、という場合はVRAMを疑ってください。逆にモンスターハンターワイルズのように、VRAMに収まる設定へ落とすとfpsまで改善することがあります。
症状の切り分けはゲームのカクつき・画面のズレを直す設定にまとめました。
8GBでも困らないタイトルもあります
一方に振れすぎないよう、逆の例も挙げておきます。
- FF14
- VRAM消費が控えめなため、RTX 5060 Tiは8GB版でも16GB版とほぼ同じfpsが出ます。VRAM不足による失速が起きにくいタイトルです
- ARC Raiders
- こちらもVRAM消費が控えめで、容量差がほとんど結果に出ていません
遊ぶタイトルがこうした軽めの作品中心なら、1〜1.5万円を上位GPUやモニターに回したほうが体感は良くなります。VRAMは多ければ多いほど良い、という話ではありません。
同じGPUなのに順位が逆転します
VRAMの影響がいちばん分かりやすいのが、この現象です。
エルデンリングでレイトレを有効にすると、RTX 5060 Tiの8GB版が16GB版より下に沈みます。GPUのコアはまったく同じで、違うのはVRAMの容量だけです。それでも順位が入れ替わります。
同じことは他の重量級タイトルでも起こります。カタログ上は同じ「RTX 5060 Ti」でも、遊ぶタイトル次第で別物になるということです。型番だけで判断できない理由がここにあります。型番の読み方はゲーミングPCのスペック表の見方で扱いました。
1〜1.5万円をどう考えるか
- 重量級タイトルを遊ぶなら16GB
- ボーダーランズ4、FF16、モンハンワイルズ、アサシンクリードなど。フルHDでも足りない作品があるため、解像度で逃げられません
- レイトレを使うなら16GB
- エルデンリング、黒神話:悟空、サイバーパンク2077。オフにするなら8GBでも構いません
- 軽めのタイトル中心なら8GBでも可
- FF14やARC Raidersのように差が出ない作品もあります。浮いた予算はモニターや他のパーツへ
- 長く使うつもりなら16GB
- 要求は年々上がります。フルHDで11GBを使うタイトルが既に出ている以上、8GBの寿命は短くなります
なお、公式の推奨スペックでもVRAMの扱いはばらつきます。エースコンバット8では、NVIDIA側の推奨がRTX 3070(8GB)なのに対し、AMD側の推奨はRX 6800(16GB)です。同じ「推奨」なのにVRAM容量が倍違います。公式値の読み方は公式推奨スペックが当てにならない理由にまとめました。
GPUの選び方全般はグラフィックボードの選び方、避けるべき構成は買ってはいけないゲーミングPCの特徴をご覧ください。
よくある質問
Q.VRAM 8GBはもう足りませんか?
A.タイトルによります。ボーダーランズ4はフルHDの最高設定で約11GB、FF16は1080p Ultraで8〜9GBを消費するため足りません。一方でFF14やARC RaidersはVRAM消費が控えめで、8GB版と16GB版でほぼ差が出ません。遊ぶタイトルで決めてください。
Q.フルHDなら8GBで十分ではないですか?
A.以前はそう言えましたが、いまは崩れています。ボーダーランズ4は1080pの最高設定で約11GB、アサシンクリード ブラックフラッグ ResyncedもフルHDで約9GBを使います。解像度を下げても解決しないケースが出てきました。
Q.VRAMが足りないとどうなりますか?
A.平均fpsが下がるのではなく、スタッター(引っかかり)が出ます。テクスチャの読み込みが間に合わないためです。さらに不足するとシステムメモリへのスワップが発生し、Subnautica 2では激しいスタッタリングからクラッシュに至ることがあると報告されています。
Q.同じRTX 5060 Tiで8GB版と16GB版はどれくらい違いますか?
A.タイトル次第で順位が逆転します。エルデンリングでレイトレを有効にすると、8GB版が16GB版より下に沈みます。GPUのコアは同じで、違うのはVRAM容量だけです。一方でFF14ではほぼ同じfpsが出ます。
Q.16GB版に1〜1.5万円出す価値はありますか?
A.重量級タイトルやレイトレを使うなら価値があります。ボーダーランズ4やFF16のようにフルHDでも足りない作品があるためです。逆に軽めのタイトル中心なら、その予算をモニターや他のパーツに回したほうが体感は良くなります。
Q.VRAM不足はテクスチャ品質を下げれば解決しますか?
A.有効な対処です。テクスチャ品質はVRAMを最も消費する設定で、fpsへの直接的な影響は小さいためです。モンスターハンターワイルズでは、VRAM使用量を約7.5GBに抑えると最大2割ほどfpsが改善するという結果もあります。
まとめ・次に読みたい記事
VRAM 8GBで足りるかどうかは、遊ぶタイトルで決まります。
深刻なのは、フルHDでも足りない作品が出てきたことです。ボーダーランズ4は1080pの最高設定で約11GB、FF16は8〜9GB、アサシンクリード ブラックフラッグ Resyncedも約9GB。解像度を下げて逃げる、という手が使えません。
レイトレを使う場合は、エルデンリングと黒神話:悟空が10GB超、サイバーパンク2077はパストレーシングで16GBが目安です。こちらはレイトレをオフにすれば回避できます。
そして症状の出方が独特です。平均fpsが下がるのではなく、スタッターやクラッシュとして現れます。数字を見ているだけでは気づけません。
一方でFF14やARC Raidersのように、8GBでも16GBとほぼ差が出ないタイトルもあります。多ければ良いという話ではないので、遊ぶ作品から逆算してください。



