メモリを増設した、BIOSを更新した、新しく買ったゲーミングPCに初めて電源を入れた。そのあと、ファンは回っているのに画面が真っ黒なまま1分、2分と過ぎていく。壊したのではないか、初期不良ではないかと不安になって、電源ボタンを長押ししてやり直したくなる場面です。普段の起動でも、Ryzen 7000/9000シリーズのAM5機に乗り換えたら前のPCより起動が遅くなった、という声はよく聞きます。

結論から言うと、メーカーロゴが出る前の黒画面が長いなら、多くはDDR5メモリの「トレーニング」という正常な処理です。メモリやBIOS設定を変えた直後は特に長くなり、メモリメーカーのCrucialは最大15分ほどかかった例があると案内しています。一方、ロゴが出たあとWindowsのサインイン画面やデスクトップまでが遅いなら、原因はメモリではなくWindows側にあります。同じ「起動が遅い」でも、どこで時間がかかっているかで見るべき場所がまったく違います。

この記事では、起動を「ロゴ前」「ロゴからサインインまで」「サインイン後」の3つに分け、それぞれを数字で確かめる方法から説明します。タスクマネージャーに表示される「直前の BIOS 所要時間」の読み方、Memory Context Restoreで短くする場合の注意点、そして新品のBTOパソコンで初回起動が長いときにどこまで待ち、どこから販売店に相談すべきかまで、手元のAM5機での確認結果と各メーカーの公式情報をもとにまとめています。

まず起動のどこで時間がかかっているかを分ける

電源ボタンを押してから、ゲームを起動できる状態になるまでには、大きく3つの段階があります。体感で「遅い」と感じていても、実際にどこで止まっているかを見ると、原因の候補はかなり絞れます。

1. 電源投入からメーカーロゴまで(POST)
マザーボードのファームウェア(BIOS/UEFI)が、CPU・メモリ・グラフィックボード・ストレージを初期化して自己診断をしている段階です。DDR5のメモリトレーニングはここで行われます。画面は黒いままか、マザーボードやBTOメーカーのロゴが表示されます
2. ロゴからWindowsのサインイン画面まで
Windowsの読み込みが始まり、ドライバーやサービスが起動する段階です。ロゴの下でくるくる回る読み込み表示が出ているなら、すでにWindows側に処理が移っています
3. サインインからデスクトップが使えるまで
スタートアップアプリやバックグラウンドの処理が動く段階です。デスクトップは表示されているのに、しばらくマウスやアプリの反応が鈍い場合はここが長くなっています

1が長い場合はハードウェアとBIOSの話、2と3が長い場合はWindowsの話です。スマートフォンのストップウォッチで「電源ボタンを押してからロゴが消えるまで」と「そこからデスクトップが使えるまで」を一度測っておくと、このあとの確認がしやすくなります。

タスクマネージャーの「直前の BIOS 所要時間」で前半を測る

1の段階は、Windowsのタスクマネージャーでも確認できます。Ctrl+Shift+Escでタスクマネージャーを開き、「スタートアップ アプリ」のページを表示すると、右上に「直前の BIOS 所要時間: ○○ 秒」と表示されます。表示がない場合は、マザーボードのファームウェアがこの情報をWindowsへ渡していません。

Microsoftの開発者向け資料では、この区間を「プラットフォームのファームウェアがハードウェアを識別・初期化し、POSTを実行する時間」と説明しています。同じ資料は、時間がかかる典型的な要因として、起動順序に光学ドライブやUSB、ほかのドライブが含まれていることや、ネットワークから起動するPXE Bootが有効になっていることを挙げています(Microsoft Learn(BIOS Initialization Duration、英語))。

手元のAM5機(Ryzen 7 7800X3D、MSIのB650マザーボード、DDR5 32GB×2枚を定格のDDR5-4800で運用)で、タスクマネージャーがこの表示に使っている値を確認したところ、約33秒でした。ここでBIOSの設定内容は確かめていないため、この数字だけでは毎回トレーニングが走っているのかどうかまでは判断できず、1台だけの数字なので一般化もできません。ASCII.jpのレビューでは、ASRockのX670E機を定格設定で起動した場合、2回目以降の起動は13秒程度だったとしています。毎回30秒を超えるなら、MCR(後述)が無効で毎回調整が走っている可能性があります。前に使っていたDDR4のPCが数秒でロゴを抜けていたなら、乗り換え後に「遅くなった」と感じるのは自然です。

なお、Windowsの「高速スタートアップ」はこの区間を短くしません。高速スタートアップはシャットダウン時にWindowsのカーネルの状態をファイルへ保存し、次回はそれを読み込むことで2の段階を短くする仕組みで(Microsoft Learn(英語))、電源が一度切れる以上、マザーボードのPOSTは毎回実行されます。

ロゴ前が長い原因 DDR5のメモリトレーニング

DDR5メモリは、DDR4より高い周波数で動きます。そのため、マザーボードとCPUのメモリコントローラーは、挿さっているメモリに合わせて信号のタイミングや電圧を調整してから使い始めます。この調整がメモリトレーニングです。

Crucialは公式のサポート記事で、一部のDDR5システムでは新しく取り付けたメモリの「トレーニング」が必要で、その間はファームウェアがメモリに合わせて自身を構成していると説明しています。画面の症状としては、黒い画面のまま、またはメーカーのロゴで止まったように見えるとしています(Crucial(DDR5 systems may require training、英語))。

長いトレーニングが起きるタイミング

同じ記事によると、トレーニングが終われば次回以降の起動ではこの待ち時間は発生しません。ただし、ハードウェアを変えたときや、BIOS/UEFIの設定を変えたときには、もう一度長い起動が起きることがあります。具体的には次のような場面です。

メモリを増設・交換した直後
モジュールが変われば、調整をやり直す必要があります。2枚から4枚に増やした場合は特に長くなります
BIOSを更新した直後
BIOSを更新すると、保存されていた設定や調整結果が初期化されることが多く、次の起動で調整をやり直します
CMOSクリアをした直後
BIOSの設定を工場出荷時の状態へ戻す操作なので、メモリの調整結果も消えます
EXPO/XMPを有効にした・切り替えたとき
メモリの動作速度やタイミングが変わるため、新しい設定で調整し直します
CPUを交換したとき
メモリコントローラーはCPUの中にあるため、CPUが変わればメモリ側の調整もやり直しになります

どれくらい待つものか

所要時間はマザーボード、BIOSのバージョン、メモリの枚数と容量で大きく変わり、「何秒で終わる」と言い切れる数字はありません。メーカー側が出している目安として、次の3つを挙げておきます。

Crucial(メモリメーカー)
トレーニングが起きている場合は電源を入れたままにしておくよう案内し、最大15分ほどかかった例があるとしています。終わったあとに再起動が必要になる場合もあると書かれています
ASRock X670Eマザーボード(2022年の発売時)
発売前に出回った写真では、メモリスロットのシールに、初回起動やCMOSクリア後のトレーニング時間の目安が書かれていました(下のグラフ)。発売後のASCII.jpのX670E Steel Legendのレビューでも、シールに「16GB×2枚で1分40秒」とあったと紹介されています。同じレビューの実測では、定格のDDR5-4800のまま起動した初回でも長くて40秒程度、2回目以降は13秒程度でした
ツクモ(PCショップ)
2024年9月のX(旧Twitter)の投稿で、発売直後のCPUと対応したばかりのファームウェア、特定のメモリの組み合わせでは20〜30分かかる場合もあると紹介していました(PC Watchの記事による)

ASRockのシールに書かれていた目安を、構成ごとに並べると次のとおりです。枚数や容量が増えるほど時間が延びる傾向がよく分かります。

ASRockのX670Eマザーボードのシールに記載されたトレーニング時間の目安

2022年の発売前に出回ったASRockのX670Eマザーボードの写真に写っていたシールの数字(PC Games Hardwareの報道による。16GB×2枚の100秒はASCII.jpのX670E Steel Legendのレビューとも一致)。現在のBIOSにそのまま当てはまる数字ではありません。

16GB×2枚100秒
32GB×2枚200秒
32GB×4枚400秒

32GB×4枚の400秒は、7分近くに当たります。ただし、いずれもAM5が登場した直後の古いBIOSでの話です(ASCII.jp、PC Games Hardware(ドイツ語))。ツクモの事例も、発売直後のCPUを組み合わせたときの話です(PC Watch)。普段の起動でここまで待つことはありませんが、メモリやBIOSを変えた直後なら、黒い画面のまま数分かかっても故障とは限りません。

トレーニング中に見える症状

トレーニング中は、次のような状態になります。どれもこの段階では正常な範囲です。

ファンとLEDは動いているのに画面が真っ黒
モニターに「信号なし」と表示されることもあります。映像を出す前の段階なので、ケーブルやモニターの故障とは限りません
マザーボードのDRAMランプが点いたまま
ASUSのQ-LEDやMSIのEZ Debug LEDなど、CPU・DRAM・VGA・BOOTのランプを持つマザーボードでは、メモリを調整している間はDRAMのランプで止まって見えます。ASUSはこのランプを「メモリー未検出またはエラー」の表示と説明していますが(ASUS公式)、点いた直後に故障と判断せず、まず時間を置いてください。なお、Crucialはこの間LEDが点くかどうかは機種によると書いています
途中で勝手に再起動する
調整が終わると一度再起動してから起動を続けるマザーボードがあります。再起動が1〜2回入っても、そのまま待ってください

DRAMランプが点いたまま十数分以上まったく変化しない場合は、トレーニングではなく、メモリの挿し込み不足や相性の問題を疑う段階です。その切り分けはゲーミングPCの電源が入らない・画面が映らない原因と対処法のデバッグLEDの節で扱っています。

Memory Context Restoreで毎回のトレーニングを省く

AM5のマザーボードには、Memory Context Restore(MCR)という設定項目があります。一度成功したメモリの調整結果を保存しておき、次回の起動ではそれを使って調整を省く機能です。MCRが無効だと、設定を変えていなくても毎回ある程度の調整が走るため、AM5機の普段の起動が遅く感じる原因の一つになっています。

MSIは2023年4月、X670/B650マザーボード向けのBIOS更新でこの機能を案内し、Ryzen 7 7800X3DとMAG X670E TOMAHAWK WIFI、DDR5-6000の16GB×2枚(EXPO有効)の構成で、電源投入からWindowsが起動するまでの時間が43秒から22秒に縮んだという自社の計測結果を公表しました(TweakTown(英語))。

項目の場所はメーカーやBIOSのバージョンで違い、オーバークロック関連のメモリ設定の中にある場合と、AMD CBSのメモリ関連の項目の中にある場合があります。既定値が有効か無効かも、製品とBIOSのバージョンによって異なります。

短くなる代わりに不安定になる報告もある

MCRは、保存した調整結果がその日の状態にも合っている前提で調整を省きます。ユーザーフォーラムでは、MCRを有効にしたあとにブルースクリーンやアプリの強制終了が増えた、という報告が見られます。個々の報告で原因がMCRだと切り分けられているわけではありませんが、有効にしたあとに不安定になったら、まずこの設定を疑って元に戻すのが筋です。

ネット上では「MCRを有効にするならPower Down Enableも一緒に有効にしないと不安定になる」という情報もよく見かけます。ただ、この関係をAMDやマザーボードメーカーが公式に説明した資料は、今回の調査では見つけられませんでした。この記事では、両者の関係について断定はしません。

BTOパソコンを買ったままの状態で使っているなら、起動が30秒前後かかるだけのためにMCRを触る必要はないと考えています。設定を変えて不安定になった場合、それが設定のせいなのかハードの不良なのかを切り分けるのは初心者には難しく、BTOメーカーへ相談するときにも「BIOSを変更した」という前提が加わります。試すなら、ゲーム中のブルースクリーンや強制終了が出ないかしばらく様子を見て、出たら元に戻してください。ブルースクリーンが出たときの読み方はゲーム中にブルースクリーンが出る原因にまとめています。

Intel機でも同じことは起きるか

メモリトレーニング自体はDDR5全般の仕組みで、AMD専用の話ではありません。Crucialの説明も、CPUメーカーを限定せず「一部のDDR5システム」としています。Intelのマザーボードでも、メモリを増設したりBIOSを更新したりした直後の起動が長くなることはあります。ASUSのIntel向けマザーボードなどには、MCRに相当する「MRC Fast Boot」という項目があります。ただ、AM5ほど普段の起動の遅さが話題になることは少なく、この記事ではAM5を中心に扱っています。

ロゴ前が長いほかの原因

メモリトレーニング以外にも、ロゴ前の時間を延ばす要因があります。BIOSの設定を触る前に、まず物理的に外せるものから確認してください。

USB機器がたくさん挿さっている
POSTではUSB機器も1つずつ初期化します。USBハブ、外付けHDD、カードリーダー、充電中のスマートフォンなどを外して起動時間が変わるか試してみてください
起動順序に使っていないドライブやネットワーク起動が入っている
Microsoftの資料が挙げている典型的な要因です。BIOSの起動順序(Boot Priority)で、Windowsが入ったドライブが1番目になっているか確認します
BIOSのFast Bootが無効
BIOSのFast Bootは、POSTで一部の機器の初期化を省いて起動を速くする設定です。Windowsの高速スタートアップとは別物です。ただし有効にすると、起動時にキーを押してもBIOS画面に入れなくなる製品があります。その場合は、Windowsの「設定」→「システム」→「回復」→「PCの起動をカスタマイズする」から、トラブルシューティングの詳細オプションにある「UEFI ファームウェアの設定」でBIOSに入れます
CSMやRAIDなど、使っていない機能が有効
古いOSや機器との互換用のCSM、使っていないRAIDコントローラーなどが有効だと、そのぶん初期化に時間がかかります。最近のBTOパソコンは出荷時点で整理されていることが多く、自分で変えていなければ触る必要は薄い項目です

ロゴ後が長いならWindows側を疑う

ロゴが消えてWindowsの読み込みが始まってから遅い場合、メモリトレーニングは関係ありません。確認する順番は次のとおりです。

保留中のWindows Update
シャットダウン時や起動時に更新を適用していると、その回だけ起動が大幅に遅くなります。設定の「Windows Update」で、再起動待ちの更新が残っていないか確認してください。更新後に起動しなくなった場合はWindowsが起動しない・自動修復ループから戻らない原因と対処へ進んでください
スタートアップアプリが多い
サインイン後が重い場合の代表的な原因です。タスクマネージャーの「スタートアップ アプリ」で「スタートアップへの負荷」が「高」のものから、普段起動直後に使わないアプリを無効にします。Windowsの「設定」→「アプリ」→「スタートアップ」でも同じ操作ができます
高速スタートアップが無効になっている
コントロールパネルの「電源オプション」→「電源ボタンの動作を選択する」に「高速スタートアップを有効にする (推奨)」があります。有効なら、シャットダウンからの起動ではWindowsの読み込みが短くなります。なお「再起動」はこの仕組みを使わずにすべてを読み込み直すため、シャットダウンからの起動より時間がかかることがあります
ストレージの使用率が100%に張り付いている
起動直後にタスクマネージャーでディスクの使用率が100%のまま下がらない場合、SSDやHDD側の問題が疑われます。Windowsを古いHDDに入れているならSSDへの移行を、SSDならエラーや温度を確認してください。詳しくはSSDの使用率が100%でPCが固まる原因で扱っています

イベントビューアーで起動時間の記録を見る

Windowsは、起動にかかった時間をイベントログに残していることがあります。イベントビューアーを開き、「アプリケーションとサービス ログ」→「Microsoft」→「Windows」→「Diagnostics-Performance」→「Operational」を表示し、イベントID 100を探します。詳細の中にある MainPathBootTime は、一般にWindowsの読み込み開始からサインイン画面(またはデスクトップ)までの時間、BootTime はサインイン後に落ち着くまでを含めた時間と説明されています(Microsoftの公式な項目説明は見つけられませんでした)。どちらもミリ秒単位です。同じログのIDが101〜110番の記録には、起動を遅くしたアプリやドライバーの名前が出ることがあります。

このログは管理者権限がないと読めません。手元のPCでも、通常の権限では「アクセスが拒否された」扱いになりました。また、環境によってはこのログに何も記録されていないこともあります。その場合は、先に挙げたストップウォッチでの計測とタスクマネージャーの表示で十分に切り分けられます。

新品BTOパソコンの初回起動が長いときは

新しく届いたBTOパソコンの初回起動では、ロゴ後の「Windowsの初期設定」が長いのが普通です。地域やキーボード、ネットワーク、アカウントの設定を進めたあと、「準備しています」といった画面がしばらく続きます。初期設定のあとも、バックグラウンドでWindows Updateやドライバーの更新が進むため、最初の数時間は動作が重く感じることがあります。ここは待てば済む部分です。初期設定のあとにやることはゲーミングPCを買ったらやることにまとめています。

では、ロゴ前の黒い画面が長い場合はどうか。ツクモは同じ投稿で、自社のBTOパソコンは出荷時にチェックしているため、ユーザーの手元では基本的にここまでの待ち時間は発生しないが、メモリの増設などをすると再びトレーニングが起きる場合がある、と説明しています(PC Watchの記事による)。ほかのBTOメーカーも出荷前に動作確認をしているので、同じ考え方が当てはまると考えられます。つまり、メモリにもBIOSにも手を加えていない新品のBTOパソコンで、ロゴ前の黒画面が何分も続くのは、トレーニングだけでは説明しにくい状態です。慌てて電源を切る前に、次の順番で確認してください。

なお冬場に届いた直後なら、電源を入れる前に室温になじませてください(冬のゲーミングPCの静電気・結露対策)。

1. モニターのケーブルがグラフィックボード側に挿さっているか
BTOパソコンの背面には、マザーボードの映像出力と、グラフィックボードの映像出力の両方が並んでいることがあります。グラフィックボードを積んだPCでは、ケース下側の横向きに並んだグラフィックボードの端子にモニターをつなぐのが基本です。Ryzen 5 7500Fのように内蔵グラフィックスを持たないCPUでは、マザーボード側の端子からは何も映りません
2. モニターの入力切り替えが合っているか
HDMIとDisplayPortの両方を持つモニターでは、入力を自動で探さない設定になっていることがあります
3. そのまま10〜15分待つ
Crucialが挙げている最大15分ほどを目安に、電源を入れたまま待ってみます。途中で再起動が入っても触らずに待ちます
4. それでも映らなければ販売店のサポートへ
15分待っても変化がない、デバッグLEDが同じ場所で止まったまま、という場合は、自分でBIOSやパーツを触る前に購入した販売店に連絡してください。輸送中の振動でメモリやグラフィックボードが浮いていることもあります

初期不良として交換してもらえる期間は、販売店によっては到着後1週間と短いことがあります。初回起動で不安なことがあれば、様子見で期限を過ごさず、早めに問い合わせてください。各社の期間と、届いてすぐに済ませたい動作確認は新品ゲーミングPCの初期不良チェック手順に、お客様都合の返品との違いはBTOパソコンの返品ポリシー比較にまとめています。

当サイトは、中古のゲーミングPCを、特に初めての1台としてはおすすめしていません。この記事の症状で言えば、新品なら「出荷時の設定のまま」という前提から切り分けを始められますが、中古では前の持ち主がメモリやBIOSに何をしたかが分からず、起動が遅い原因がトレーニングなのか、設定なのか、パーツの劣化なのかを切り分けにくいためです。考え方は中古ゲーミングPCは買っても大丈夫?で説明しています。

やってはいけないこと

トレーニング中に電源ボタンの長押しを繰り返す
強制的に電源を切ると、調整が途中で中断され、次の起動でまた最初からやり直しになることがあります。何度も繰り返すと、マザーボードが失敗と判断して設定を安全側に戻し、起動時に警告を出すこともあります。待つと決めたら、10〜15分は触らないでください。発売直後のCPUへ交換した場合は、ツクモが20〜30分の例を挙げているため、デバッグLEDに変化があるうちは待ってください
起動が遅いだけでCMOSクリアをする
CMOSクリアをすると調整結果も消えるため、次の起動はかえって長くなります。CMOSクリアは、設定変更のあとに起動しなくなったときの手段です
原因が分からないままBIOSの設定をまとめて変える
MCR、Fast Boot、EXPO/XMP、電圧などを一度に変えると、どれが効いたのか、どれが不安定の原因なのかが分からなくなります。変えるなら1項目ずつにして、変えた内容を写真で残しておきます
メモリやBIOSをいじった直後に「故障した」と判断する
増設や更新の直後の初回起動が長いのは、ここまで説明したとおり想定された動作です。数分待ってから判断してください

メモリ増設の手順と、増設後にEXPO/XMPを有効にする流れはメモリ・SSD増設の正しいやり方で、CPU交換やBIOS更新を伴う作業はCPU交換の手順で扱っています。どちらの作業でも、終わったあとの初回起動は長くなる前提で臨んでください。

よくある質問

Q.メモリを増設したら画面が映りません。壊れたのでしょうか?

A.増設直後の初回起動では、DDR5のメモリトレーニングで画面が黒いまま数分続くことがあります。Crucialは最大15分ほどかかった例があるとしています。電源を入れたまま10〜15分待ち、それでもマザーボードのDRAMランプが点いたまま変化しない場合に、メモリの挿し込みやスロットの位置を確認してください。

Q.AM5のPCは毎回の起動が遅いのですか?

A.マザーボードの設定によっては、毎回ある程度のメモリ調整が走るため、ロゴが出るまでに30秒前後かかることがあります。手元のRyzen 7 7800X3D搭載機では、タスクマネージャーの「直前の BIOS 所要時間」に当たる値が約33秒でした。Memory Context Restoreを有効にすると短くなりますが、不安定化の報告もあるため、困っていなければ既定のままで問題ありません。

Q.Memory Context Restoreは有効にしたほうがいいですか?

A.起動時間を短くしたい人には選択肢になります。MSIは、有効にすると電源投入からWindows起動までが43秒から22秒になったという自社の計測を公表しています。一方で、有効にしたあとにブルースクリーンやアプリの強制終了が増えたという報告もあります。試すなら変更はこの1項目だけにして、不安定になったら元に戻してください。

Q.新品のBTOパソコンの初回起動はどれくらいかかりますか?

A.ロゴ後のWindowsの初期設定には、ある程度の時間がかかるのが普通です。一方、ロゴ前の黒い画面については、BTOメーカーのツクモは、自社製品について出荷時にチェックしているため基本的に長い待ち時間は発生しないと説明しています。新品でロゴ前の黒画面が何分も続く場合は、モニターのケーブルがグラフィックボード側に挿さっているかを確認し、15分ほど待っても変わらなければ販売店に相談してください。

Q.高速スタートアップを有効にすればロゴ前も速くなりますか?

A.なりません。高速スタートアップはWindowsの読み込みを短くする機能で、電源投入直後のマザーボードの自己診断やメモリトレーニングは毎回実行されます。ロゴ前を短くしたい場合は、USB機器を減らす、起動順序を整理する、BIOSのFast BootやMemory Context Restoreを検討する、といった方向になります。

Q.BIOSを更新したら起動に時間がかかるようになりました

A.BIOSの更新で設定とメモリの調整結果が初期化されることが多いためです。最初の1回が長いだけなら、更新で調整結果が消えてトレーニングをやり直したと考えられます。2回目以降もずっと遅いなら、更新でMemory Context Restoreなどの設定が既定値に戻った可能性があります。EXPO/XMPも無効に戻っていることが多いので、BIOSで確認してください。設定し直した直後の起動も、もう一度長くなります。

まとめ・次に読みたい記事

ゲーミングPCの起動が遅いときは、最初にメーカーロゴの前で時間がかかっているのか、後でかかっているのかを見分けてください。ロゴ前ならタスクマネージャーの「直前の BIOS 所要時間」で数字として確認できます。

ロゴ前の長い黒画面は、DDR5のメモリトレーニングであることが多く、メモリ増設、BIOS更新、CMOSクリア、EXPO/XMPの変更の直後は数分かかることもあります。その間は電源を切らずに待つのが正解です。Memory Context Restoreで普段の起動を短くできますが、安定性とのトレードオフがあります。ロゴ後が遅いなら、Windows Update、スタートアップアプリ、ストレージを順に確認します。

新品のBTOパソコンで、何も変えていないのにロゴ前の黒画面が長く続く場合は、ケーブルの挿し先を確認したうえで、初期不良の期間内に販売店へ相談してください。