Radeon RX 6000シリーズは2020〜2022年に発売された世代です。いまも新作の推奨スペックにRX 6700 XTやRX 6800の名前が並ぶ一方で、アップスケーリングはFSR 3.1止まりでした。画質の粗さが気になって「そろそろ買い替えか」と考えていた方も多いと思います。
その前提が、2026年10月20日のドライバー更新で変わりました。RX 6000でもAIを使うFSR 4.1の超解像が使えるようになり、AMDが予告していた2027年初めより早い提供です。結論から書くと、VRAM 16GBのRX 6800・6800 XTは買い替えを先延ばしできます。12GBのRX 6700 XTも、1080p〜WQHDなら先延ばしできます。一方で8GBのRX 6600系は、画質は良くなっても先にVRAMが足りなくなるので、買い替えを考える時期です。
この記事では、ドイツのPCGHが公開したRX 6000の3枚×3タイトル、FSR 3.1と4.1の全モードの計測データを読み直し、FSR 3.1のクオリティと4.1のパフォーマンスでfpsがどう入れ替わるかを並べました。買い替える場合の差額も、10月25日時点の価格.comの実売と、パソコン工房の買取上限で計算しています。
先に結論、手持ちのRX 6000ごとの判定
先に判定だけ並べます。根拠は後半で1つずつ説明します。
- RX 6800 / 6800 XT / 6900 XT / 6950 XT(16GB)— 先延ばしできます
- Valor Mortisやエースコンバット8の推奨GPUはRX 6800で、まだ推奨を満たしています。いま新品で買えるRX 9060 XT 16GBとはほぼ同じ性能なので、替えるならRX 9070 XT(129,800円〜)以上になります。FSR 4.1が加わったことで、WQHDでも画質を落とさずにfpsを確保しやすくなりました。
- RX 6700 XT / 6750 XT(12GB)— 1080p〜WQHDなら先延ばしできます
- 紅の砂漠・CONTROL Resonant・Beast of Reincarnationなど、2026年の新作の推奨GPUにちょうど名前が挙がる位置です。推奨ラインぎりぎりなので、FSR 4.1のパフォーマンスで画質を保ちながらfpsを稼ぐ使い方が一番効きます。RX 9060 XT 16GBへの買い替えは約1.3倍止まりで、割に合いにくい差です。
- RX 6600 / 6600 XT / 6650 XT(8GB)— 買い替えを考える時期です
- FSR 4.1で画質は上がりますが、フルHDでもVRAMを8GB以上使う新作が増えています。アップスケーリングでは描画解像度は下がっても、テクスチャの容量は減りません。CoD MW4のように軽めのタイトル中心なら、まだ使えます。
- RX 6500 XT / RX 6400(4GB)— 買い替えをおすすめします
- FSR 4.1の対象には入っていますが、この2機種での第三者の計測は見つかりませんでした。FSR 4.1の恩恵より先に、VRAM 4GBが足を引っ張ります。
10月20日のドライバー更新で何が変わったか
AMDは2026年10月20日(米国時間)に「AMD Software: Adrenalin Edition 26.10.1」を公開し、リリースノートの新機能欄に「FSR Upscaling 4.1のRadeon RX 6000シリーズ対応」を載せました。同時にRyzen AI Max 300/400シリーズとRyzen AI 9 300/400シリーズの内蔵GPUも対象になっています。
携帯ゲーム機向けのRyzen Z2 A/Ryzen Z2 Extreme/Ryzen AI Z2 Extremeも、AMDの対応タイトル一覧のページで対象に挙がっています。ただしPCGHによると、携帯機の一部はメーカーが配布するドライバーの更新を待つ必要があります。Xbox Series X|Sについては、AMDは「近日対応」とだけ発表していて、時期は示されていません。
AMDはComputex 2026の時点で、RX 6000への対応を2027年初めとしていました(PCGH)。予定より数か月早い提供です。AMDのJack Huynh氏は発表動画で、6900シリーズから6400シリーズまでの全体に向けてモデルを調整したと説明しています(Club386)。
RX 6000にはRX 9000のようなAI処理用の専用ユニットがありません。ComputerBaseによると、RX 6000にはRX 7000用のINT8版モデルを、さらに演算量に合わせて少し削ったものが使われています。FP8で動くRX 9000の本来のFSR 4.1とは別物で、ComputerBaseが比べたRX 9000・RX 7000・RX 6000向けの3種類の中では、RX 6000版の画質がいちばん低い、というのが同誌の評価です。それでもFSR 3.1よりははるかに良い、という点はあとで数字と一緒に見ます。
- 使えるもの、FSR 4.1の超解像
- AIで低い解像度の映像を引き伸ばす機能です。RX 6000で新しく使えるようになったのはここだけです。
- 使えないもの、MLフレーム生成とレイ再生成
- PCGHによると、AIを使うFSRのフレーム生成とレイ再生成はRX 9000専用のままです。RX 6000とRX 7000は、従来型のFSR 3.1のフレーム生成なら引き続き使えます。
- DirectX 12のゲームだけ
- FSR 4.1は現時点でDirectX 12専用です。PCGHによるとVulkan対応は次のFSR SDK 2.4からの予定で、時期は示されていません。Vulkanで動く『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』『DOOM: The Dark Ages』『Enshrouded』などでは使えません。
- ドライバーは26.10.1以降が必要
- 対応はドライバー側で有効になります。古いドライバーのままではFSR 4.1は選べません。
- AMD|AMD Software: Adrenalin Edition 26.10.1 Release Notes
- AMD Newsroom|AMD FSR Upscaling 4.1 Boosts Frames and Image Quality on More Devices
- 4Gamer.net|AMD Software 26.10.1の新機能(日本語)
- Club386|AMD officially announces FSR 4.1 for Radeon RX 6000 GPUs
どのゲームで使えるか、ドライバーで引き上げる条件
AMDの対応タイトル一覧には、10月25日時点で428本が載っています。ただしこれは「FSR Redstoneの技術を1つ以上使えるタイトル」の一覧です。RX 6000で使えるのはこのうち超解像だけなので、428本すべてでFSR 4.1の超解像が使えるとは限りません。AMDが発表で使っている「400本超」も、ComputerBaseによれば超解像・フレーム生成などのいずれかに対応した本数で、すべての機能が使えるという意味ではありません。
428本のうち156本は、ゲーム側にはFSR 3.1しか入っていないタイトルです。こうしたタイトルでは、ドライバーのアップグレード機能でFSR 4.1へ引き上げます。AMDが一覧ページに書いている条件は次のとおりです。
- ゲームがFSR 3.1以降を組み込んでいる
- FSR 2.x以前しか入っていないタイトルは引き上げられません。
- DirectX 12で動いている
- Vulkan・DirectX 11のタイトルは対象外です。
- AMDのSDK資料どおりの標準的な組み込み
- 同じFSR 3.1対応でも、独自の組み込み方をしているタイトルは対象から外れます。一覧に載っているかどうかで確認するのが確実です。
使い方は、AMD Softwareの「AMD FSR アップスケーリング」をオンにしたうえで、ゲーム内でFSRを選びます。4Gamerによると、この項目には「対応ゲームで最新のMLベースのFSRにアップグレード」という説明が付いています。ゲーム側がFSR 4に最初から対応しているタイトルでも、ドライバーの機能で最新版に更新されます。
AMDの一覧では、ゲーム側にFSR 3.1しか入っていないタイトルに「*」が付いていて、ドライバーのアップグレード機能でMLベースのFSRに切り替わると説明されています。このため、ゲームの設定画面ではFSR 3.1と表示されたままでも、実際にはFSR 4.1で処理されることがあります。
当サイトで推奨スペックを扱ったタイトルが一覧でどう扱われているかを、10月25日時点で確認しました。
- ゲーム側がFSR 4に対応(ネイティブ)
- モンハンワイルズ、CoD MW4、Valor Mortis、エースコンバット8、CONTROL Resonant、Beast of Reincarnation、紅の砂漠(一覧の表記はCrimson Desert Enhanced)、Gears of War: E-Day、バトルフィールド6、バイオハザード レクイエム
- ドライバー経由でFSR 4.1に切り替わる(*付き)
- 黒神話:悟空、サイバーパンク2077、ボーダーランズ4、FF16。ゲーム内ではFSR 3.1と表示されることがあります
- 一覧に載っていない(FSR 4.1は使えない)
- パルワールド、Enshrouded、DOOM: The Dark Ages、インディ・ジョーンズ/大いなる円環、エルデンリング。Vulkanで動くタイトルや、FSR 3.1を組み込んでいないタイトルです
- AMD|AMD Gaming Technologies Supported Games
- ComputerBase|AMD FSR 4.1 jetzt offiziell für RDNA 2 & RDNA 3.5(ドイツ語)
FSR 3.1のクオリティと4.1のパフォーマンスを数字で比べる
ここがこの記事の本題です。RX 6000でFSR 4.1を使う意味があるかは、「重くなるぶんを、モードを下げて取り返せるか」で決まります。
同じモードのままだと、FSR 4.1は重い
まず、同じモードどうしの比較です。ComputerBaseはRX 6950 XTで13タイトルを計測し、平均を出しています。レイトレーシングはオフ、ほかの画質設定は最高です。
同じモードでの平均fps(RX 6950 XT・13タイトル平均)
出典はComputerBase(Adrenalin 26.10.1、レイトレーシングオフ)。WQHDはクオリティ、4Kはパフォーマンスで計測
同じモードのままFSR 4.1に切り替えると、WQHDで約10%、4Kで約19%fpsが下がります。いちばん落ちたのはCoD MW4の4Kで、86.1fpsから63.8fpsへ26%下がりました。ちなみに同じ条件のRX 7900 GREはもう少し落ちていて、ComputerBaseは「RX 6000向けに削ったモデルのほうがRX 7000版より軽い」と書いています。
PCGHの計測でも傾向は同じで、内部解像度が低いモードほど負担が大きくなります。ネイティブ解像度で使う場合の低下は1〜2%台ですが、ウルトラパフォーマンスでは最大15.2%下がりました(RX 6950 XT・4K・CoD MW4)。例外はRX 6600のForza Horizon 6で、全モードでFSR 4.1のほうがわずかに速くなりました。
2段下げると逆転します
ではモードを下げたらどうなるか。PCGHはRX 6600(フルHD)、RX 6800 XT(WQHD)、RX 6950 XT(4K)の3枚で、CoD MW4・Forza Horizon 6・007 First Lightの3タイトルを、FSR 3.1と4.1の全モードで計測しています。記事本文には低下率の表しか載っていませんが、ページ内のグラフにはfpsの実数があります。それを並べ直しました。
RX 6800 XT・WQHD・CoD MW4の平均fps
出典はPCGHの計測データ(最高画質・レイトレーシングなし、Adrenalin 26.10.1)
同じクオリティでは4.1のほうが5.6%遅くなります。1段下のバランスで4.2%上回り、2段下のパフォーマンスでは16.3%上回りました。残りの8通りでも、FSR 3.1のクオリティより4.1のパフォーマンスのほうが速いという結果は変わりません。
FSR 4.1パフォーマンスはFSR 3.1クオリティより何%速いか
PCGHの計測データから当サイトで計算(平均fpsの比)。RX 6600はフルHD、RX 6800 XTはWQHD、RX 6950 XT(約2.7GHzにOC)は4K。CoD MW4・Forza Horizon 6はレイトレーシングなし、007 First Lightはソフトウェアレイトレーシング最高設定
1段下のバランスだと、9通りのうち8通りでFSR 3.1のクオリティと同じか少し速い程度でした(+0.3〜+5.8%)。例外はRX 6950 XTのForza Horizon 6で、3.3%遅くなっています。fpsをはっきり上げたいならパフォーマンス、いまと同じfpsで画質だけ上げたいならバランス、というのが数字から見た使い分けです。
画質はどうか。ComputerBaseは、RX 6000でも「FSR 4.1のパフォーマンスは、ほぼ常にFSR 3.1のネイティブより見た目が良い」としています。PCGHも、比べたすべての場面でFSR 4がFSR 3より細部が多く、ざらつきが少なく、動いたときに安定していたと書いています。両誌とも結論は同じで、FSR 3.1のクオリティで遊んでいた人は4.1のパフォーマンスに切り替えてよい、という助言です。
弱点も書いておきます。ComputerBaseによると、RX 6000版は細かい草木の再現が苦手で、CoD MW4ではRX 9000版より草木がぼやけ、残像も出やすくなっています。ただRX 7000版との差は小さく、遊んでいて気づく差ではないとしています。また、すでにFSR 3.1のパフォーマンスで遊んでいた人が4.1のパフォーマンスに替えると、fpsは最大12.5%下がります(PCGH)。
- ComputerBase|FSR Upscaling 4.1 auf Radeon RX 6000 im Test(ドイツ語)
- PCGH|FSR 4.1.2 für Radeon RX 6000 im Test(ドイツ語)
- The FPS Review|Weekender: FSR 4.1 Lands on the RX 6000 Series
機種ごとに、買い替えを先延ばしできるか
FSR 4.1で取り返せるのは「アップスケーリングの画質」と「モードを下げたぶんのfps」です。GPUの素の性能とVRAMの容量は変わりません。そこで機種ごとに、最近の新作の要求と照らし合わせます。性能の比較には、当サイトのGPU性能比較の目安スコアを使います。
RX 6800・6800 XT(16GB)は先延ばしで問題ありません
Valor Mortisとエースコンバット8は、AMD側の推奨GPUがRX 6800です。どちらもNVIDIA側の推奨はRTX 3070(8GB)で、VRAMが倍違います。16GBあるRX 6800系は、VRAMの面ではまだ余裕のある側にいます。
PCGHの計測では、RX 6800 XTはWQHD・最高画質でFSR 4.1パフォーマンスを使うと、CoD MW4で72.8fps、007 First Lightで93.6fpsでした。WQHDで60fpsを狙うならまだ十分戦えます。
買い替えの選択肢が少ないことも、先延ばしを勧める理由です。当サイトの目安スコアではRX 6800 XTが4310、新品のRX 9060 XTが4210でほぼ同じです。意味のある差が出るのはRX 9070 XT(6470、約1.5倍)からで、10月25日時点の最安は129,800円です。次世代のRDNA5は発売時期の見通しが2027年半ば〜2028年まで割れています(RDNA5はいつ出るか)。それまでFSR 4.1で持たせるのは十分現実的です。
弱点はレイトレーシング性能と、MLフレーム生成が使えないことです。レイトレーシング前提の重いタイトルを最高画質で遊びたいなら、ここは割り切りが必要です。
RX 6700 XT(12GB)は1080p〜WQHDなら先延ばしできます
RX 6700 XTは、2026年の新作の推奨GPUによく出てくる型番です。紅の砂漠、CONTROL Resonant、Beast of Reincarnationは、いずれもAMD側の推奨がRX 6700 XTです。3本ともAMDのFSR 4.1対応タイトル一覧に載っています(紅の砂漠は「Crimson Desert Enhanced」の表記)。つまり推奨ラインちょうどの位置にいて、余裕はありません。
だからこそFSR 4.1が一番効く機種です。推奨ちょうどのGPUは、多くのタイトルでアップスケーリングを使うことが前提になっています。これまではFSR 3.1の粗さを我慢するか、XeSSに逃げるしかありませんでした。今後は、画質を落とさずにパフォーマンスモードまで下げられます。
RX 6700 XTそのものはPCGHもComputerBaseも計測していません。ただ、上の比較ではRX 6600(フルHD)でもRX 6800 XT(WQHD)でも同じ傾向が出ているので、間に入るRX 6700 XTだけ違う結果になるとは考えにくいところです。
12GBは8GBの壁を越えています。VRAM 8GBで足りないゲームで挙げた、フルHDで8GBを超えるタイトルでも、12GBあれば収まります(ボーダーランズ4の約11GBが目安です)。WQHDの最高設定では12GBも余裕がなくなるので、テクスチャ設定は1段下げる前提で考えてください。買い替え先のRX 9060 XT 16GBは目安スコアで約1.3倍にとどまるので、いま替えるのは割に合いにくいと考えます。替えるならRX 9070 XTクラスまで待つほうが、差額に対して伸びが大きくなります。
RX 6600・6600 XT(8GB)は買い替えを考える時期です
RX 6600系は、軽めのタイトルならまだ使えます。CoD MW4の推奨はRX 6600 XTで、マルチプレイを高設定90fpsという目標です。エースコンバット8も最低要件がRX 6600 XTです。
ただ、最高画質で新作を動かすと厳しくなります。PCGHの計測では、RX 6600はフルHD・最高画質でFSR 4.1パフォーマンスを使っても、CoD MW4で49.7fps、Forza Horizon 6で42.3fpsでした。FSR 4.1で約1割上積みできても、60fpsには届きません。
アップスケーリングをさらに強くしても伸びません。FSR 3.1のウルトラパフォーマンスまで下げても、Forza Horizon 6は41.2fps、CoD MW4は54.0fpsで、パフォーマンス(40.6fps・53.5fps)とほとんど変わりませんでした。描画解像度以外のところで頭打ちになっているということです。原因がVRAMなのかGPUのほかの部分なのかは、この計測だけでは切り分けられません。
もう一つの問題がVRAMです。描画解像度を下げるとVRAMの使用量も多少は減りますが、テクスチャが使うVRAMはFSR 4.1を使っても減りません。ボーダーランズ4はフルHDの最高設定で約11GB、FF16は8〜9GBを使います。VRAM不足はfpsの数字ではなく、カクつきやクラッシュとして出ます。FSR 4.1は画質の問題を解決してくれますが、VRAMの問題は解決してくれません。
遊ぶのがeスポーツ系や数年前のタイトル中心なら、FSR 4.1を入れて様子を見る選択もあります。新作の重いタイトルを遊ぶ予定があるなら、後半の「買い替えるなら」の章を参考にしてください。
Steamでは、RX 6000はまだRX 9000と同じくらい使われています
この話がどれだけの人に関係するのか、Steamハードウェア調査の2026年9月分で確認しました。
Steamハードウェア調査のGPUシェア(2026年9月)
出典はValve。個別に表示されている機種だけを抜き出した。RX 6800・RX 6900 XT・RX 6950 XTなどは単独で表示されない水準のため含まない
表示されているRX 6000の7機種を足すと2.33%で、RX 9000の3機種の合計2.39%とほぼ同じです。表示されない機種もあるので、RX 6000全体のシェアはこれより多くなります。今回のFSR 4.1対応は、RX 9000を買った人と同じくらいの人数に関係する更新です。
7機種のうち、RX 6600・6600 XT・6650 XTの8GB勢だけで1.23%と半分以上を占めます。RX 6000を使っている人の多くが、上で「買い替えを考える時期」とした8GBの機種を使っていることになります。
買い替えるなら、何にいくらかかるか
ここからは買い替える場合の話です。価格はすべて10月25日時点の価格.comの最安です。1店舗しか扱っていない限定品は除き、複数の店で買える製品の最安を採りました。
買い替え候補のグラボ単体の最安(10月25日時点)
価格.comの最安。カッコ内は取扱店舗数。RTX 5060 Ti 16GBはドスパラ限定品なら129,800円、RTX 5060はドスパラ限定品なら77,800円
RX 9060 XT 16GBの最安は84,800円です。SapphireやASUSなどの主要メーカー品だと94,716円からです。RX 9070 XTは129,800円で、RX 9070の最安120,993円(ASUS・2店舗)との差は8,807円です。
手持ちのRX 6000を売った場合の買取額は次のとおりです。パソコン工房が公開している買取上限で、付属品がそろい動作に問題がない場合の金額です。土日祝と5の付く日に申し込むと10%上乗せされる「中古の日」の分は含めていません。
RX 6000の買取上限(パソコン工房・10月25日時点)
中古の日の10%上乗せ前の金額。実際の査定は状態・付属品で下がることがある
宅配で売る場合、パソコン工房は1点あたりの参考買取上限が12,000円以上で、指定の方法で送れば送料を負担してくれます。RX 6600は通常の上限が11,000円なので、この条件に届きません(中古の日に表示される12,100円が対象になるかは確認できていません)。条件は1点ごとに判定されるので、ほかのパーツとまとめて送っても変わりません。送料を負担したくなければ、店頭への持ち込みを検討してください。
新品の価格から買取額を引くと、実質の負担と伸び幅はこうなります。
- RX 6600 → RX 9060 XT 16GB — 差額73,800円・性能は約1.9倍
- 84,800円から11,000円を引いた額です。VRAMも8GBから16GBに倍増します。今回の組み合わせの中で、いちばん買い替えの効果が大きいパターンです。
- RX 6600 XT → RX 9060 XT 16GB — 差額71,800円
- RX 6600 XTの買取上限は13,000円です。RX 6600と同じく、性能とVRAMの両方が大きく伸びます。
- RX 6700 XT → RX 9060 XT 16GB — 差額62,800円・性能は約1.3倍
- 6万円台で伸びは3割ほどです。VRAMは12GBから16GBになりますが、急いで替える理由は弱いと考えます。
- RX 6800 XT → RX 9070 XT — 差額100,800円・性能は約1.5倍
- RX 9060 XTではほぼ横ばいなので、意味のある買い替えはRX 9070 XTからです。MLフレーム生成とレイ再生成も使えるようになります。
性能の倍率は当サイトのGPU性能比較の目安スコア(RX 6600が2160、RX 6700 XTが3210、RX 6800 XTが4310、RX 9060 XTが4210、RX 9070 XTが6470)から計算しました。
RTX 5060・5060 Tiはどうか
RTX 5060は77,980円からで、RX 9060 XT 16GBより7,000円ほど安く買えます。ただしVRAMは8GBです。RX 6600からの買い替えだと、性能は上がってもVRAM 8GBの問題がそのまま残ります。RX 6700 XTからだとVRAMが12GBから8GBに減ってしまいます。RX 6000からの買い替え先としてはおすすめしません。
RTX 5060 Ti 16GBは、目安スコアでRX 9060 XT 16GBより5%ほど上です。一方で価格は53,000円高くなります。DLSSのマルチフレーム生成を使いたい、DLSSにしか対応していないタイトルを遊ぶ、という理由がなければ、差額に見合いません。Radeonとの比較はRadeonは買いかでも詳しく扱っています。
接続方式の違いも一つあります。RX 9060 XTはPCIe 5.0 x16接続です(AMD公式仕様)。RTX 5060とRTX 5060 Tiは、MSIの製品仕様書に「PCI Express Gen 5 x16(uses x8)」とあるとおり、端子はx16の形でも実際には8レーンしか使いません。RX 6000を使っている人はB450などPCIe 3.0のマザーボードのままのことも多く、その場合x8のカードは帯域が半分になります。影響が大きく出るのは、VRAMがあふれてメインメモリとのやり取りが増えたときです。VRAMが8GBのRTX 5060やRTX 5060 Ti 8GBは、この状況に陥りやすい組み合わせです。RTX 5060 Ti 16GBはVRAMに余裕があるぶん影響は小さく、同じ扱いにはなりません。古いマザーボードのままVRAM 8GBのカードに差し替えるのは避け、16GBのカードを選んでください。
なお、AMDの仕様ページでは、RX 9060 XTの消費電力の目安は160W、推奨電源は450W以上です。RX 6700 XTやRX 6600 XTを使っていた電源なら、多くの場合そのまま使えます。交換手順はグラボの交換・取り付け方にまとめています。
中古のRX 6800 XTを安く買うのはおすすめしません
FSR 4.1対応で、中古のRX 6800 XTなどが割安に見えるかもしれません。ただ、当サイトは中古のグラボをおすすめしていません。特に初めてパーツを交換する方には勧めません。
理由は保証の有無より、うまく動かなかったときに原因を切り分けられるかどうかです。画面が映らない、ゲーム中に落ちる、といったトラブルが起きたとき、新品なら「カードの初期不良」か「自分の取り付けや設定」かを順に疑えます。中古だとそこに「前の持ち主の使い方による劣化」が加わり、どこが悪いのかを判断する手がかりがほとんどなくなります。RX 6000は2021年のマイニングブームの時期に売られていた世代でもあります。詳しくは中古グラボは買いかを読んでください。
売る側の手順はゲーミングPCの買取価格で扱っています。
- 価格.com|Radeon RX 9060 XT搭載グラフィックボード(安い順)
- パソコン工房|グラフィックボード買取価格表
- AMD|AMD Radeon RX 9060 XT 仕様
- MSI|GeForce RTX 5060 8G VENTUS 2X OC 仕様書(PDF)
- MSI|GeForce RTX 5060 Ti 16G VENTUS 2X OC PLUS 仕様書(PDF)
先延ばしするなら、やっておくこと
買い替えを先延ばしすると決めたら、次の4点を確認してください。
- ドライバーを26.10.1以降に更新する
- FSR 4.1はこのバージョンから使えます。26.10.1では、RX 6000以降でCoD MW4がカクつく不具合も修正されました。更新の手順はグラボのドライバー更新ガイドにまとめています。
- Windows 10ならSAMが有効か確かめる
- 26.10.1の既知の不具合として、Windows 10ではドライバーを入れたあとにSmart Access Memoryが無効になることがある、とリリースノートに書かれています。更新後にAMD Softwareやマザーボードの設定で状態を確認してください。
- FSR 3.1のクオリティで遊んでいたら、4.1はパフォーマンスから試す
- 上の計測どおり、多くの場合はfpsも画質も上がります。fpsは今のままで画質だけ上げたいならバランスを選びます。
- Vulkanのタイトルは対象外と割り切る
- FSR 4.1が使えないタイトルでは、XeSSかFSR 3.1を選びます。非公式ツールでFSR 4を差し込む方法もありますが、オンライン対戦のタイトルではゲームのファイルを書き換える行為がチート対策に引っかかるおそれがあるため、おすすめしません。
アップスケーリングの種類ごとに、どのGPUで何が使えるかはDLSS・FSR・XeSSの対応早見表で整理しています。
よくある質問
Q.RX 6000でFSR 4は使えますか?
A.使えます。2026年10月20日公開のAdrenalin 26.10.1から、RX 6400〜RX 6900系のRX 6000シリーズ全体でFSR 4.1の超解像が使えるようになりました。ただしDirectX 12のタイトルに限られ、MLフレーム生成とレイ再生成はRX 9000専用のままです。
Q.FSR 4.1をオンにするとfpsは上がりますか、下がりますか?
A.同じモードのまま切り替えると下がります。RX 6950 XTの13タイトル平均で、WQHDのクオリティは約10%、4Kのパフォーマンスは約19%下がりました(ComputerBase)。ただしFSR 3.1のクオリティから4.1のパフォーマンスに替えると、PCGHの9通りの計測すべてでfpsが3.9〜19.7%上がっています。画質も4.1のパフォーマンスのほうが上という評価です。
Q.RX 6700 XTはまだ使えますか?
A.1080p〜WQHDなら使えます。紅の砂漠やCONTROL Resonantなど、2026年の新作の推奨GPUにちょうど名前が挙がる位置で、VRAMも12GBあります。FSR 4.1のパフォーマンスで画質を保ちながらfpsを稼ぐ使い方が合っています。
Q.RX 6600は買い替えたほうがいいですか?
A.重い新作を遊ぶなら、買い替えを考える時期です。FSR 4.1で画質は上がりますが、VRAM 8GBの不足は解決しません。RX 9060 XT 16GB(10月25日時点で84,800円から)なら、パソコン工房の買取上限11,000円を引いて差額は約7.4万円で、性能はおよそ1.9倍になります。
Q.RX 6000でFSRのフレーム生成は使えますか?
A.従来型のFSR 3.1のフレーム生成なら使えます。AIを使う新しいFSRのフレーム生成はRX 9000専用です。フレーム生成は元のfpsが低いと操作感が悪くなるので、まず超解像でfpsを確保してから使ってください。
Q.中古のRX 6800 XTを買ってFSR 4.1で使うのはありですか?
A.おすすめしません。トラブルが起きたときに、カードの不良なのか自分の取り付けや設定の問題なのかを切り分けにくいためです。RX 6000は2021年のマイニングブームの時期に売られていた世代でもあります。
まとめ・次に読みたい記事
RX 6000のFSR 4.1対応で、RX 6000が抱えていた「アップスケーリングの画質が粗い」という弱点はほぼ解消しました。同じモードでは重くなりますが、2段下げれば画質もfpsもFSR 3.1を上回ります。
ただし、FSR 4.1でGPUの素の性能とVRAMが増えるわけではありません。16GBのRX 6800系と12GBのRX 6700 XTは先延ばしできます。8GBのRX 6600系は、遊ぶタイトルが重くなってきたら買い替えを考えてください。その場合はRX 9060 XT 16GBが、差額と伸び幅のバランスがいちばん取れた選択肢です。



