都市が大きくなるとゲーム内の時間がゆっくりにしか進まない。終盤になるとAIのターンを長く待たされる。工場を広げたら、画面はなめらかなのにゲーム全体がスローモーションになった。シミュレーションゲームやストラテジーゲームで「重い」と感じるのは、たいていこういう場面です。
この重さは、グラフィックボードを上げてもほとんど解消しません。多くの場合、決めているのはCPUです。ただし「CPUならX3D(大容量キャッシュ版のRyzen)を買えば解決」とも言い切れません。公開されている検証データを並べると、キャッシュが大きく効く作品、クロックの高さが効く作品、CPUよりGPUが先に上限になる作品にはっきり分かれます。
この記事では、Factorio、Stellaris、シヴィライゼーション VII、Cities: Skylines II、Anno 117について、fpsではなく「ゲームがどれだけ速く進むか」を測った海外の検証結果を作品ごとに整理しました。動作環境はSteam公式APIで2026年10月11日に取得したもので、BTOの価格は同日にドスパラ公式の製品ページで確認しています。同じ約37万円でX3DとRTX 5070のどちらを取るか、という比較も載せました。対象は都市経営・4X・工場系の作品で、フライトシム・レースシム・国内の歴史シミュレーション(信長の野望など)は扱いません。
先に結論(遊ぶ作品別のおすすめ)
価格はすべて2026年10月11日にドスパラ公式の製品ページで確認したものです。THIRDWAVEは同じ型番でも白(01W)が黒(01B)より5,000円安いため、色を併記しています。
- Civ VII・Paradox作品が中心/約22万3,880円
- Ryzen 7 7700 + RTX 5060(THIRDWAVE AD-R7A56A-01W 白、20万8,880円)のメモリを8GB×2に変更(+1万5,000円)。どちらもGPUはほとんど使わず、クロックの高いCPUが効く作品です。7700は最大5.3GHzで、この価格帯では有利です。黒(01B)は5,000円高くなります
- Factorioなど工場づくりが中心/約37万4,980円
- Ryzen 7 7700X3D + RTX 5060 + 32GB(16GB×2) + 1TB(GALLERIA XDR7A-R56-GD)。Factorioのようにキャッシュが効く作品では、X3Dかどうかで処理速度が大きく変わります
- Cities: Skylines IIを高画質で遊ぶなら/約36万9,980円
- Ryzen 7 7700 + RTX 5070 + 32GB(16GB×2) + 1TB(GALLERIA XPR7A-R57-GD 31万3,880円にメモリ32GB化+5万6,100円)。公式推奨GPUがRTX 3080と重いため、GPUを優先します
- 全部を妥協なく/約44万4,980円
- Ryzen 7 9800X3D + RTX 5070 + 32GB + 1TB(GALLERIA XDR7A-R57-GD)。キャッシュもクロックも高いCPUです。Factorio・Stellaris・Anno 117の検証では最上位クラスです(Civ VIIとCities: Skylines IIは9800X3Dでの検証がありません)
シミュレーションゲームの「重い」はfpsの話ではありません
アクションゲームの重さはfps、つまり1秒間に何枚の絵を描けるかで測ります。シミュレーションゲームでは、もうひとつの速さがあります。ゲームの世界を1秒間に何回計算して進められるか、です。
いちばん分かりやすいのがFactorioです。公式Wikiは、画面の描画回数(FPS)と、世界の状態を進める計算の回数(UPS)を分けて説明しています。ゲームはどちらも60を目標にしていて、FPSが落ちても画面がカクつくだけでゲームは通常の速さで進みますが、UPSが落ちるとゲームがスローモーションになると書かれています。またFPSはUPSより高くはなりません。

他の作品でも中身は同じです。StellarisやEuropa Universalis VのようなParadox作品は、日付が進む速さを段階的に上げられますが、最高速にしたときに実際どれだけ速く日付が進むかはCPUで決まります。シヴィライゼーションではAIのターン処理を待つ時間、Cities: Skylines IIではゲーム内の時間の進み方として現れます。
この違いを押さえると、ベンチマークの読み方も変わります。fpsのグラフだけを見て「どのCPUでも60fps出ているから大丈夫」と判断すると、終盤のターン待ちやスローモーションは見落とします。この記事では、できるだけゲームの進行速度を直接測った結果を選んでいます。
効くCPUの性質は、作品ごとに3つに分かれます
検証データを作品ごとに並べると、CPUのどの性質が効くかが分かれます。
- キャッシュ型 — Factorio
- 大量の機械のデータを毎回読み直すタイプです。L3キャッシュが大きいX3Dが、同じ世代の通常版を大きく引き離します
- クロック型 — Stellaris、シヴィライゼーション VII
- 計算が少数のスレッドに集中するタイプです。X3Dの効果はあるものの小さく、クロックが高く世代の新しいCPUが速くなります
- GPUが先に上限になる型 — Cities: Skylines II、Anno 117
- CPUだけを比べるベンチマークではX3Dが伸びますが、実際の解像度で遊ぶと描画のGPUが先に上限になるタイプです。ComputerBaseはどちらの作品でも、CPU性能は決定的ではないと結論しています。CPUだけに予算を寄せると、画面側が足りなくなります
この分け方は、検証した側の見方とも一致します。Gamers Nexusは2026年2月のRyzen 7 9850X3Dのレビューで、Stellarisでは1世代目のX3DであるRyzen 7 5800X3DがIPCとクロックの高い新しいCPUに順位を落とす一方、よりキャッシュに依存する作品なら上位に残ると書いています。
以下、作品ごとにデータを見ていきます。
Factorio — キャッシュの差がそのまま処理速度に出ます
Factorioは、CPUのキャッシュがどれだけ効くかを示す例としてよく使われます。開発元のWube Softwareは2017年の開発ブログFriday Facts #204で、理由をこう説明しています。動いている機械はすべて1回の更新ごとに読み込まれるため、大きな工場ではデータがキャッシュに収まりきらない。メモリの待ち時間(レイテンシ)の影響が大きく、一部の処理はメモリの帯域にも左右される、という内容です。
キャッシュに収まりきらないなら、キャッシュを大きくすれば効く、ということになります。実際のデータは次のとおりです。
Factorio「flame_sla 10k」マップのUPS(多いほど速い)
Factorioのベンチマーク投稿サイトに登録された計測値の75パーセンタイル。Factorio 2.0(2024年10月)より前のデータ。Tom's Hardware(2023年10月14日)がComputerBaseの報道として掲載した値。7800X3Dは登録が2件あり、低いほうの404.7を表示(もう一方は450.1)
出典はTom’s Hardwareの記事で、元のデータはユーザーが計測結果を投稿するデータベースです。キャッシュ以外の構成はそろっていないため、細かい順位より大きな傾向として読んでください。
それでも傾向ははっきりしています。Ryzen 7 7800X3Dと、キャッシュとクロック以外はほぼ同じRyzen 7 7700Xを比べると、UPSは1.6〜1.8倍です。1世代前のRyzen 7 5800X3Dでも、発売直前だったCore i9-14900Kを23%上回っています。
新しい世代でも同じです。PC Gamerは2024年11月のRyzen 7 9800X3Dのレビューで、Factorioの更新にかかる時間がRyzen 7 9700XやRyzen 9 9900Xの半分以下になったと書いています。処理速度に直すと2倍以上です。
Factorioは、この記事で取り上げた作品のなかでX3Dの効果がいちばん大きい作品です。大規模な工場(いわゆるメガベース)を目指すなら、GPUを1段下げてでもX3Dを選ぶ価値があります。逆に、ゲームの推奨GPUはGTX 1050 Tiと非常に軽いので、グラフィックボードにお金をかける必要はほとんどありません。
Stellaris — X3Dより、クロックと世代が効きます
Paradox作品のStellarisは、米Gamers NexusがCPUレビューで毎回計測しているタイトルです。セーブデータからゲームを一定期間進め、かかった秒数を測るもので、fpsではなくシミュレーションの速さそのものを見ています。
Stellarisのシミュレーション時間(短いほど速い)
Gamers Nexus『RIP Intel: AMD Ryzen 7 9800X3D CPU Review』(2024年11月)の計測値。単位は秒。バーが短いほど速いことに注意
出典はGamers Nexusのレビューです。
Factorioとの違いは、X3Dでない新しい世代のRyzen 7 9700X(30.3秒)が、1世代前のX3DであるRyzen 7 7800X3D(31.3秒)より速い点です。同じ世代のX3Dと通常版の差も、9800X3Dと9700Xで15%、5800X3Dと5800Xで13%ほどです。X3Dは効いていますが、Factorioの「2倍」とは規模が違います。
Gamers Nexusは9800X3Dのレビューで、このテストは8コアを超えるとコア数の効果が小さく、IPCとクロックが効くようだと書いています。2026年2月のRyzen 7 9850X3Dのレビューでは、さらに「非常にクロック周波数に左右される」と書いています。9850X3Dは9800X3Dの最大クロックを上げたモデルで、シミュレーション時間は9800X3Dより3.9%短くなりました。一方、メモリをDDR5-4800に落としても29.3秒が29.8秒になっただけです。なお、この2本の記事はテスト条件が違うため、秒数どうしを比べることはできません。

同じParadoxの新作、2025年11月発売の『Europa Universalis V』は、公式の推奨CPUにCore i7-14700KとRyzen 7 7800X3D、推奨メモリに32GBを挙げています。推奨スペックにX3Dが名指しで載っていて、メモリ32GBの推奨はこの記事で取り上げた作品の中でいちばん重い水準です。一方、Hearts of Iron IVやVictoria 3については、CPUごとの進行速度を条件をそろえて比べた検証は見つけられませんでした。同じ開発元でもエンジンや作品の作りは違うため、Stellarisの結果をそのまま当てはめるのは控えます。
シヴィライゼーション VII — 新旧CPUでもターン時間の差は2割弱です
「Civ7のターンが遅い」という悩みは多いのですが、データを見るとCPUを替えて解決できる幅は大きくありません。
PC Gamerは発売直前の2025年2月に、ゲームに内蔵されたAIベンチマークで、携帯ゲーミングPCからデスクトップまで複数のPCを比べました(PC Gamerの性能分析)。部隊と対戦相手がたくさんいるマップで10ターンを進め、1ターンあたりの平均処理時間を出すテストです。数値は記事に埋め込まれたグラフから読み取りました。
シヴィライゼーション VII AIベンチマークの1ターン平均処理時間(短いほど速い)
PC Gamer(2025年2月3日)。1080p・低設定、3回の平均。Core i7-9700Kは65W設定、Ryzen 7 7735HSはAcerのゲーミングノート、ROG Ally Xは携帯ゲーミングPC。バーが短いほど速い
PC Gamerの分析は次のようにまとめられています。
- 新旧CPUの差は2割弱
- 約6年前の8コア8スレッドCore i7-9700K(65W設定)が20.8秒、12コア24スレッドのRyzen 9 9900Xが17.0秒で、差は3.8秒(約18%)でした。記事は「終盤では、ほとんどのPCが同じような速さで処理を進めることになる」としています
- 処理は4〜6スレッドに集中
- 多くのスレッドを作るものの、負荷の大部分は4〜6スレッドに割り振られていたとしています。コア数を増やしても速くなりにくい作りです
- キャッシュはあまり効かない
- X3DのRyzen 7 5700X3Dは18.9秒で、同じ世代でキャッシュの少ないRyzen 5 5600X(19.1秒)とほとんど変わりません。記事も、本作は特にキャッシュに依存しておらず、命令あたりの処理能力(IPC)とクロックで決まるとしています
- クロックが上がると速くなる
- ROG Ally Xは17Wモードで27.6秒、30Wモードで21.4秒でした。記事はこれを22%速いとしています。CPUは同じで、高いクロックを維持できるかどうかの差です

この検証は発売前のビルドで、その後のアップデートで処理が速くなっている可能性はあります。それでも、本作でX3Dに大きな上乗せは期待しにくい、という傾向は押さえておく価値があります。Civ VIIが目当てなら、X3Dに数万円を足すより、クロックの高い普通のRyzen 7で十分です。
Cities: Skylines II — 描画が重く、CPUのデータは割れています
「シティーズスカイライン2 重い」と検索する人が多いのは、この作品が他と違って描画も重いからです。Steamの推奨GPUはRTX 3080(10GB)で、当サイトの目安ではRTX 5060 Ti 16GB相当、現行のRTX 5060より一段上です。
ドイツのComputerBaseが発売時に行ったGPU検証では、フルHD・高プリセット(ボリュメトリックや照明品質などを下げた設定)でRTX 3060が22.5fpsにとどまり、30fpsに届いたのはRTX 3070やRadeon RX 6700 XTのクラスからでした。発売直後の計測なので、その後のアップデートで軽くなっている可能性はあります。
CPUについては、情報源によって言っていることが違います。
- 開発元の説明 — マルチコアをすべて使う
- Colossal Orderは発売前の2023年に公開した開発日記(Dev Diary #2「交通AI」)で、経路探索やシミュレーションの計算は「マルチコアCPUの処理能力をすべて活用する」と説明しています。なお、現在のSteamの開発元表記はIceflake StudiosとColossal Orderの連名です
- ComputerBaseの計測 — コアを増やしても伸びない
- 人口約12万5,000人の都市を720pで測ると、6コアのRyzen 5 7600X(70.7fps)は8コアのRyzen 7 7700X(74.8fps)より5%遅いだけでした。一方、7700Xとほぼ同じ設計のRyzen 7 7800X3Dは90.6fpsで、キャッシュの差は21%ありました
- ゲーム速度を上げると — 速いCPUほど差が消える
- ComputerBaseは、ゲーム内速度を上げると速いCPUどうしの差がなくなり、似た結果に並んだと書いています。CPUではなくエンジン側に上限がある可能性を指摘しています
- ComputerBaseの結論 — CPU性能は決定的ではない
- CPUとGPUの釣り合いが取れていて、実際に遊ぶ解像度なら、上限になるのはGPUだけだとしています。4コアのCore i3-13100(54.2fps)でも遊べる結果でした
開発元の説明はColossal Orderの開発日記、計測はComputerBaseのCPU検証です。
割れる理由は、測っているものが違うからです。ComputerBaseが測ったのは通常速度での描画fpsで、都市のシミュレーションがどれだけ速く進むかではありません。開発元が言っているのはシミュレーションの計算のほうです。シミュレーションの進む速さを、条件をそろえてCPUごとに比べた公開データは見つけられませんでした。ここから言えるのは、fpsではキャッシュが効き、コア数はあまり効かないこと、そしてゲーム速度を上げた状態では速いCPUどうしの結果が横並びになり、CPUを上げても伸びない場合があることです。
人口が数十万人を超える大都市を作る人は、CPUにも余裕を持たせたうえで、GPUはRTX 5060 Ti 16GB以上を目安にしてください。
Anno 117 — X3Dが最も伸びるのに、実用上はCPUを選びません
2025年11月発売のAnno 117: Pax Romanaは、CPUの検証が注目された作品です。ComputerBaseによると、前作Anno 1800では、ある程度遊び進めるとハイエンドCPUでもほぼ必ずCPUが上限になっていました。ComputerBaseは、約40時間遊んだ住民4万2,000人ほどのセーブデータを、いちばん引いた視点・ゲーム速度3段階目で測っています(RTX 5090、720p)。
Anno 117のCPU別平均fps(40時間のセーブデータ、720p)
ComputerBase『Anno 117: Pax Romana: CPU-Benchmarks』(2025年11月13日)。CPUの差が出やすい条件での計測で、実際の解像度ではGPUが先に上限になります
出典はComputerBaseのCPU検証です。
CPUのベンチマークとして見れば、X3Dの圧勝です。Ryzen 7 9800X3Dは同じ世代のRyzen 7 9700Xより34%速く、Intelの最速だったCore i9-14900Kにも27%差をつけています。
ただし、3D V-Cacheを積めば必ず速いわけではありません。Zen 3世代のRyzen 7 5800X3D(73.4fps)はRyzen 7 5800Xより23%速いものの、Zen 4のRyzen 5 7600X(73.8fps)と同じ水準で、ComputerBaseは「Zen 3のX3Dはついていけない」としています。
ところが、ComputerBase自身の結論は「CPU性能はあまり必要ない」でした。推奨CPUのRyzen 5 3600でも47fps、Ryzen 7 5800Xで約60fps出ており、CPUとGPUのバランスが取れたPCなら、このセーブデータでも描画のGPUが先に上限になるという評価です。

X3Dがいちばん伸びる作品なのに、遊ぶうえではCPUを選ばない、というのは一見矛盾して見えます。違いは、どれだけ大きな街を、どれだけ速いゲーム速度で遊ぶかです。今後DLCで規模が広がれば話が変わる可能性はありますが、2025年11月時点の検証では、Anno 117のためにX3Dを買う必要はないという結論になります。
主要タイトルの公式推奨スペック
Steam公式APIで2026年10月11日に取得した推奨スペックです。プラネット ズー 2は10月13日発売の新作で、「高設定で30fps」という想定はSteamではなく公式サイトの動作環境ページの記載です。
Cities: Skylines II
推奨(Windows 10/11、空き容量60GB)
- GPU
- RTX 3080 / RX 6800 XT
- CPU
- Core i5-12600K / Ryzen 7 5800X
- メモリ
- 16GB
シヴィライゼーション VII
推奨(空き容量20GB)
- GPU
- RTX 2060 / RX 6600 / Arc A750
- CPU
- Core i5-10400 / Ryzen 5 3600X
- メモリ
- 16GB
Factorio
推奨(4GHz以上の4コア、2020年以降のCPU)
- GPU
- GTX 1050 Ti / RX 570(VRAM 4GB)
- CPU
- 4コア・4GHz以上
- メモリ
- 16GB
Stellaris
推奨(空き容量10GB)
- GPU
- GTX 560 Ti / R7 370
- CPU
- Core i5-3570K / Ryzen 5 2400G
- メモリ
- 4GB
Europa Universalis V
推奨(Windows 11)
- GPU
- RTX 3060 Ti / RX 6700 XT
- CPU
- Core i7-14700K / Ryzen 7 7800X3D
- メモリ
- 32GB
Anno 117: Pax Romana
推奨(Windows 11、SSD必須、AVX2必須、117GB)
- GPU
- RTX 2070 / RX 6600 XT
- CPU
- Core i5-9600K / Ryzen 5 3600
- メモリ
- 16GB
フロストパンク2
推奨(SSD必須、空き容量30GB)
- GPU
- RTX 2060 SUPER / RX 5700
- CPU
- Core i7-10700 / Ryzen 7 3700X
- メモリ
- 16GB
プラネット ズー 2
推奨(公式サイトでは高設定30fpsの想定)
- GPU
- RTX 3070 / RX 6700 XT
- CPU
- Core i7-10700K / Ryzen 7 5800X
- メモリ
- 16GB
ここで注意したいのは、推奨スペックはあくまで「遊べる」水準だという点です。Stellarisの推奨メモリは4GBですが、これは終盤のゲーム内速度まで保証する数字ではありません。同じParadoxでも、2025年発売のEuropa Universalis Vは32GBとX3Dを推奨していて、作品ごとの差がとても大きくなっています。推奨スペックだけでなく、上で紹介した検証データで判断してください。
メモリは容量より、まず2枚組にします
メモリの容量では、32GBを公式に推奨しているのはこの中ではEuropa Universalis Vだけです。他は16GBの推奨なので、容量を盛るより先に気にしたいのが、メモリが1枚挿しか2枚組か、です。
BTOの価格を抑えたモデルは、16GB(16GB×1)の1枚挿しが多くなっています。1枚挿しはメモリの帯域が2枚組の半分です。Factorioの開発元は、メモリの待ち時間が大きく効き、帯域に左右される処理もあると説明しています。Stellarisではメモリを遅くしてもほとんど変わらなかったので、作品によって影響の大きさは違いますが、ドスパラなら16GBのまま8GB×2に変えて1万5,000円です(Ryzen 7 7700搭載機、2026年10月11日時点)。
32GBが欲しいのは、Europa Universalis Vを遊ぶ人、MODを大量に入れる人、ゲームを遊びながら配信や録画をする人です。他にどのタイトルが32GBを求めるかはメモリ32GBが必要なゲーム一覧に、2枚組の考え方はゲーミングPCのメモリの選び方にまとめています。
BTOで選ぶなら、X3Dの差額はRTX 5070機で4万〜7万円台です
2026年10月11日にドスパラ公式で確認した価格です。X3D搭載のGALLERIAは、メモリ32GB(16GB×2)・1TB SSD・240mm水冷クーラーが標準で付く構成になっています。そこで、同じGALLERIAのRyzen 7 7700機をメモリ32GBにそろえて比べました。
GPUをRTX 5070にそろえたときの価格(32GB・1TB)
2026年10月11日 ドスパラ公式。7700機はXPR7A-R57-GD(31万3,880円)にメモリ32GB化(+5万6,100円)を加えた価格。X3D機は水冷クーラーとDRAMキャッシュ付きSSDが標準
CPUをX3Dにすると、7700X3Dで6万円、9800X3Dで7万5,000円高くなります。差額にはCPUのほか、水冷クーラーとDRAMキャッシュ付きSSDの分も含まれます。7700機のCPUクーラーをX3D機と同じMSI MAG CORELIQUID E240(+1万6,000円)に変えると38万5,980円になり、差は7700X3Dで4万4,000円、9800X3Dで5万9,000円まで縮まります。
7700X3Dと9800X3Dの差は1万5,000円しかありません。どちらも8コア・L3キャッシュ96MBですが、最大クロックは7700X3Dが4.5GHz、9800X3Dが5.2GHzです。Tom’s Hardwareの7700X3Dと7800X3Dの比較では、16ゲームの平均fpsの差は4.3%で、平均クロックの差(4.9%)とほぼ一致していました。Factorioのようなキャッシュ型なら7700X3Dでも効果は大きいはずです。一方、StellarisやCiv VIIのようなクロック型では、最大5.3GHzの通常のRyzen 7 7700とのクロック差(約15%)が、Stellarisで見られたキャッシュの上乗せ(13〜15%)とほぼ同じ大きさなので、通常の7700と大差ない可能性があります。7700X3Dでこれらの作品を測った検証はまだないため、ここは推定です。両方のタイプを遊ぶなら、1万5,000円を足して9800X3Dにするのが無難です。
同じ約37万円なら、X3DかRTX 5070か
同じGALLERIAの、ほぼ同じ価格の2台です。
- CPUを取る/37万4,980円
- Ryzen 7 7700X3D + RTX 5060 + 32GB + 1TB(XDR7A-R56-GD)。電源は650W BRONZEです。Factorioのようなキャッシュが効く工場系に向きます
- GPUを取る/36万9,980円
- Ryzen 7 7700 + RTX 5070 + 32GB + 1TB(XPR7A-R57-GD+メモリ32GB化)。電源は750W GOLDです。Cities: Skylines IIや、シミュレーション以外の重いゲームも遊ぶ人に向きます
アクションゲームも遊ぶなら、迷わずGPUを取る側です。シミュレーションゲームしか遊ばず、Factorioが中心なら、RTX 5060でもGPUが足を引っ張ることはほとんどありません。CPUを取る側を選ぶ意味がはっきりあります。ただしCities: Skylines IIは推奨GPUがRTX 3080なので、RTX 5060では画質を下げる前提になります。
一方、Civ VIIやParadox作品が中心なら、どちらの37万円台も必要ありません。最初に挙げたRyzen 7 7700+RTX 5060の白(01W)、20万8,880円に、メモリ8GB×2(+1万5,000円)で十分です。THIRDWAVEの7700+RTX 5060機をメモリ32GB(+5万6,100円)・SSD 1TB(+1万9,000円)にしても28万3,980円(白)で、同じRTX 5060のX3D機(XDR7A-R56-GD)より9万1,000円安く収まります。予算帯ごとの選び方は30万円台のおすすめゲーミングPCと40万円台のおすすめゲーミングPCで整理しています。
避けたい構成
BTOの最安価格帯によく使われるRyzen 5 4500は、L3キャッシュが8MBしかありません。X3Dの12分の1で、キャッシュ型の作品とはいちばん相性の悪いCPUです。詳しくはRyzen 5 4500のゲーミングPCは買いかをご覧ください。
中古のゲーミングPCもおすすめしません。終盤に重くなったとき、それがゲームの仕様なのか、前の持ち主の使い方で傷んだパーツ(熱でクロックが下がるCPUクーラーなど)なのかを切り分けられないからです。クロックが効くタイプの作品では、冷却の劣化がそのまま処理速度に響きます。理由は中古ゲーミングPCを勧めない理由にまとめました。
自分のPCで、何が足を引っ張っているか確かめる
いまのPCで遊んでいて重いなら、買い替える前に、原因がCPUかGPUかを確認してください。
- 画質や解像度を下げてみる
- fpsやゲーム内速度が変わらなければCPUが上限です。変われば、GPUを上げる意味があります
- FactorioはUPSを表示する
- FPSが60でもUPSが60を割っていれば、ゲーム自体が遅くなっています。この状態はCPUとメモリの問題で、グラフィックボードを替えても直りません
- CPUのクロックと温度を見る
- クロック型の作品では、熱でクロックが下がるとそのまま遅くなります。確認方法はGPU/CPU温度とクロックの正常値の見方にまとめています
アクションゲームやMMOで同じ現象が起きるタイトルはGPUを上げても速くならないゲーム一覧に、CPUごとの序列はCPU性能比較にまとめています。計測の手順はゲーミングPCの性能を測る方法をご覧ください。
よくある質問
Q.シミュレーションゲームに必要なPCスペックは?
A.作品によって大きく違います。Civ VIIやStellarisのように、推奨GPUがRTX 2060以下と軽く、CPUのクロックが効く作品もあれば、Cities: Skylines IIのように推奨GPUがRTX 3080と重い作品もあります。共通しているのは、終盤のターン処理やゲーム内速度を決めるのがCPUだという点です。
Q.X3D(大容量キャッシュのRyzen)は必要ですか?
A.Factorioのようなキャッシュ型の作品では効果が大きく、同じ世代の通常版の1.6〜2倍以上の処理速度が出ています。一方、StellarisではX3Dとの差は13〜15%ほどで、Civ VIIではキャッシュがあまり効かないという検証結果があります。遊ぶ作品で判断してください。
Q.Civ7のターンが遅いのはPCのせいですか?
A.PCの影響もありますが、CPUを替えて縮められる幅は大きくありません。PC Gamerの検証では、約6年前のCore i7-9700K(65W設定)が20.8秒、12コアのRyzen 9 9900Xが17.0秒で、1ターンの処理時間の差は2割弱でした。処理は4〜6スレッドに集中し、クロックの高さが効きます。
Q.シティーズスカイライン2が重いのはなぜですか?
A.描画とシミュレーションの両方が重いからです。Steamの推奨GPUはRTX 3080で、発売時の検証ではフルHD・高プリセットで30fpsを出すのにRTX 3070クラスが必要でした。ComputerBaseはCPU性能は決定的ではないと結論しています。画質を下げても改善しなければ、CPU側が上限です。
Q.メモリは32GB必要ですか?
A.公式に32GBを推奨しているのは、この記事で取り上げた中ではEuropa Universalis Vだけです。他は16GBが推奨なので、まず16GBを2枚組(8GB×2)にするのが先です。MODを大量に入れる場合や、配信を並行する場合は32GBにしてください。
Q.グラフィックボードはどれくらいで足りますか?
A.Factorio、Stellaris、Civ VIIが中心なら、RTX 5060で十分です。Cities: Skylines IIを高画質で遊ぶなら、推奨のRTX 3080に相当するRTX 5060 Ti 16GB以上を目安にしてください。
まとめ・次に読みたい記事
シミュレーションゲームやストラテジーゲームで重さを決めるのは、fpsより終盤のターン処理やゲーム内速度で、それを決めるのはCPUです。ただし、効くCPUの性質は作品で違います。Factorioはキャッシュが効き、X3Dは通常版の2倍前後の処理速度が出ます。StellarisとCiv VIIはクロックと世代が効き、X3Dの上乗せは小さめです。Cities: Skylines IIとAnno 117は、CPUだけのベンチマークではX3Dが伸びる一方、実際に遊ぶ解像度ではGPUが先に上限になります。
BTOでは、RTX 5070機で比べると、X3D機は32GB・1TBにそろえた通常機より6万〜7万5,000円高くなります(水冷クーラーまでそろえると4万4,000〜5万9,000円、2026年10月11日時点のドスパラ価格)。Factorioで巨大な工場を作り込む人はX3Dを、Civ VIIやParadox作品が中心ならRyzen 7 7700機にメモリ2枚組を、Cities: Skylines IIを高画質で遊ぶならGPUを優先してください。新しい検証データが出たら、この記事も更新します。



