「ゲーミングPCを買ったのに、思ったほどfpsが伸びない。買い替える前にWindows側の設定でどうにかならないか」。そう考えて検索している方は多いと思います。

結論から言うと、Windowsの設定には変えると数値がはっきり動くものと、正直ほとんど変わらないものが混ざっています。「これで劇的にfpsが上がる」とうたう記事はよく見かけますが、実際に検証データを追っていくと、効果の大きさには10倍以上の差があります。電源プランのように放置すると性能が半分近くまで落ちる項目がある一方、スタートアップアプリの整理や視覚効果の軽量化は、環境によっては体感できるほどの差になりません。

この記事ではWindows 11の常時オンになっている設定だけを扱います。ゲーム内の画質設定は画質設定はどれを下げるべきか、Windows Update後の不具合はWindows Updateでfpsが下がった原因と直し方、画面のティアリングやカクつきはゲームのカクつき・画面のズレを直す設定にまとめているので、そちらをご覧ください。ここで扱うのは、それらとは別の「常にオンになっているOS側の設定」です。なお、ここで挙げる設定は基本的にセッションを通じて一定の効果です。起動直後は快適なのに遊び続けるうちにfpsがじわじわ落ちていく場合は、設定ではなくサーマルスロットリングやメモリリークなど時間とともに進行する原因を疑う必要があるので、長時間プレイでfpsがじわじわ下がる原因の切り分けを確認してください。また、fpsではなく音声が「プツプツ」と途切れる場合は、USBセレクティブサスペンドやPCIeの電源管理設定が原因のことがあり、PCの音がゲーム中にプツプツ途切れる・ノイズが乗る原因と直し方で扱っています。

効果がはっきりしている設定

電源プランを省電力寄りのままにしない

いちばん効果がはっきりしているのがこれです。

Windows 11には、ノートPCやモダンスタンバイ対応機で見られる「電源モード」のスライダー(トップクラスの電力効率/バランス/最適なパフォーマンス)と、従来からある「電源プラン」(省電力/バランス/高パフォーマンス/究極のパフォーマンス)の2系統があります。中身はどちらもCPUの動作クロックをどこまで上げてよいかを制御する仕組みで、省電力寄りに設定されているとCPUのターボブースト(瞬間的な高クロック動作)がほぼ制限されます。

日経クロステックがCINEBENCH 2024で行った検証では、省電力優先の設定にすると、最もパフォーマンス優先の設定に対してマルチコア性能が6割弱まで落ち込んだと報告されています(日経クロステック)。ゲームはGPUだけでなくCPUの処理も使うため、この差はfpsにもそのまま影響します。

デスクトップとノートで表示が違います
電源モードのスライダーは主にバッテリー駆動やモダンスタンバイに対応した機種向けの表示で、多くのデスクトップBTO機では設定アプリに出てきません。その場合は従来の「電源プラン」で操作します
設定アプリでの変更(表示される機種の場合)
設定 → システム → 電源(ノートなら「電源とバッテリー」)→ 電源モードから「最適なパフォーマンス」を選びます
コントロールパネルでの変更(デスクトップの多くはこちら)
Windowsキー+Rで「control powercfg.cpl」と入力して電源オプションを開きます。「バランス」しか出ていない場合は「追加プランの表示」を開くと「高パフォーマンス」が現れます
究極のパフォーマンスを追加する
標準では一覧に出てきません。管理者権限のコマンドプロンプトでpowercfg -duplicatescheme e9a42b02-d5df-448d-aa00-03f14749eb61を実行すると追加されます。搭載していないPCでは反応しないこともあります

パフォーマンス優先にすると、ファンの音や消費電力は上がります。常時この設定にする必要はなく、ゲームを遊ぶときだけ切り替えるという使い方でも構いません。音や発熱が気になる場合はゲーミングPCがうるさい・熱いときの対処、電気代の実際の増分はゲーミングPCの電気代で確認できます。ノートPCの場合、電源モードの切り替えに加えてTGPや冷却設計そのものが発熱を左右するため、切り分け方はゲーミングノートPCが熱くなる原因と対策で別にまとめています。

Xbox Game Barの背景録画をオフにする

Xbox Game Bar(Win+Gで開くオーバーレイ)そのものは、開いていない限り負荷は軽いものです。ただし「キャプチャ」設定にある「バックグラウンドで録画する」がオンになっていると話が変わります。この機能は録画ボタンを押していない状態でも、GPU内蔵のエンコーダーを常時待機させ、VRAM上にバッファ用の領域を確保し続けます。ハイライトを後から保存できる便利機能ですが、使っていないなら効果はなくコストだけが乗っている状態です。

背景録画を止める
設定 → ゲーム → キャプチャで「バックグラウンドで録画する」をオフにします
そもそも使わないなら無効化してよい
スクリーンショットやfpsカウンター表示だけ使いたい場合は、背景録画だけ切ってGame Bar自体は残しても問題ありません

効果は環境次第の設定

ハードウェアアクセラレータによるGPUスケジューリング(HAGS)

HAGSは、GPUへの処理の割り振り(スケジューリング)を、CPU側の優先スレッドではなくGPU内蔵のハードウェアに任せる機能です。理屈のうえではCPU側の負担が減るので有利に思えますが、実際の効果は検証によって割れています。

BabelTechReviewsが26本のゲームでHAGSのオン・オフを比較したテストでは、変化を3%以上の差として見た場合、大半のタイトルで有意な差は出ませんでした。個別に見るとGhostwire: TokyoやMetro Exodus PC Enhanced Edition、Wolfenstein: Youngbloodではフレームタイムの安定性が改善した一方、LEGO Builder’s JourneyやQuake 2 RTXでは逆に不安定になったという報告もあります(2022年、RTX 3080・Windows 11 21H2時点の検証で、これ以降の大規模な追試は見当たりません。BabelTechReviews)。

つまり「オンにすれば伸びる」と言い切れる設定ではありません。それでも標準ではオンになっていることが多く、無効化して得をする理由も薄いため、基本はオンのままで構いません。なおDLSS Frame Generationを使うにはHAGSが有効である必要があるため、対応タイトルを遊ぶならオフにする積極的な理由はさらに少なくなります。

確認・変更する場所
設定 → システム → ディスプレイ → グラフィック → 「既定のグラフィックス設定を変更する」の中にあります
試す価値はあります
無料で切り替えられて再起動だけで反映されるので、よく遊ぶタイトルでオン・オフを比較しても損はありません。ただし劇的な変化を期待しないでください

ゲームモード

ゲームモードは「動いているゲームにCPU・GPUの優先度を回し、バックグラウンドのタスクを抑える」機能です。ここで誤解されやすいのが、平均fpsそのものが底上げされると思われている点です。実際にはそうではありません。

MakeUseOfが1か月かけて行った検証(Core i7-13700H・RTX 4060 Laptop GPU環境)では、Cyberpunk 2077やShadow of the Tomb Raiderのような重いタイトルで平均fpsはオン・オフでほぼ同じでした。差が出たのは「処理の谷」にあたる1% Lowのほうです。特にDiscordやブラウザのタブを開いたまま遊んだForza Horizon 5では、1% Lowがオフの48.2fpsからオンの71.5fpsまで伸びています(MakeUseOf)。

ゲームモードON時の1% Low fps(OFF時を100とした場合)

MakeUseOfの検証実測値をもとに算出。平均fpsはほぼ変わらず、動くのは処理の谷(1% Low)です

CS2(背景アプリなし・CPU負荷型)109%
Forza Horizon 5(Discord・ブラウザ併用時)148%

つまりゲームモードは「常に何%上がる」機能ではなく、「裏で他のアプリが動いているときに、fpsの落ち込みを抑える」機能だと考えるのが実態に近いです。裏で何も動かさずゲーム単体で遊んでいる人にとっては、体感できないことも十分あり得ます。

設定場所
設定 → ゲーム → ゲームモードでオン・オフを切り替えます
背景でアプリを併用する人ほど恩恵がある
配信ソフトやDiscord、ブラウザを開いたまま遊ぶ人ほど1% Lowの改善を体感しやすい傾向です
更新の割り込みを抑える効果もある
プレイ中にWindows Updateやドライバの自動更新が割り込むのを抑える働きもあります。ただし完全に止まる保証ではありません

スタートアップアプリの整理

パソコンの起動と同時に立ち上がる常駐アプリの数だけ、CPUとメモリは常に食われ続けます。ただしこれがfpsにどれだけ効くかは、何が常駐しているか次第です。

重めの常駐アプリの例
Discord、クラウドストレージの同期クライアント、RGBライティング制御ソフト、常駐型のシステム監視ツールなどはCPUとメモリを継続的に使います。これらが複数立ち上がっている環境ほど整理の効果を感じやすくなります
軽い常駐アプリなら効果は小さい
アイコンだけ常駐して待機しているようなアプリは、そもそも負荷が小さいため、止めても体感できるほどの変化にはなりません
整理する場所
タスクマネージャー(Ctrl+Shift+Esc)の「スタートアップ アプリ」タブから、使用頻度の低いアプリを無効化します
完全に止めたくない場合は効率モード
同じくタスクマネージャーで対象プロセスを右クリックし「効率モード」を選ぶと、アプリを終了させずに優先度だけ下げられます。裏で動かし続けたいけれど重さは抑えたい、というときに使えます
止めてはいけないもの
セキュリティソフトや、GPUメーカーが提供する常駐サービス(NVIDIA ContainerやAMD Softwareの関連プロセスなど)は、ドライバの機能そのものに関わるため無効化しないでください

誤解されがちで、実際の効果は薄い設定

視覚効果を「パフォーマンスを優先」にする

コントロールパネルの「システムのプロパティ」から視覚効果を「パフォーマンスを優先」にすると、ウィンドウの影や透明効果、アニメーションが消えて画面がすっきりします。PC高速化系の記事で必ずと言っていいほど紹介される設定ですが、ゲームのfpsに対する効果は限定的です。

理由は単純で、フルスクリーンやボーダーレスで動くゲームは、デスクトップの描画処理そのものを経由せず直接GPUに描画するため、Windows側の視覚効果はゲーム中の描画にほとんど関与しません。デスクトップの見た目が軽くなる体感はありますが、ゲーム画面のfpsとは別の話です。メモリが厳しい古いPCで多少の余裕が生まれることはあっても、fps対策として優先度高く扱う設定ではありません。

バックグラウンドアプリの個別許可設定

設定 → アプリ → インストール済みアプリから、各アプリの「バックグラウンドでの実行」を個別に許可・禁止できる設定があります。名前から「これを全部オフにすればfpsが伸びそう」と思われがちですが、実際に制御できる対象はMicrosoft Store経由のUWPアプリが中心です。DiscordやSteam、RGB制御ソフトのような従来型のデスクトップアプリ(Win32アプリ)には、この項目自体が表示されないか、表示されても実際の動作に反映されないことがあります。

こうした一般的なデスクトップアプリの負荷を抑えたい場合は、この個別許可設定ではなく、前述のスタートアップアプリの整理か効率モードのほうが実効性があります。

得体の知れない「fps爆上げ」系のレジストリ調整ツール

検索すると、レジストリを一括で書き換えて「fpsが劇的に上がる」とうたうツールや手順がいくつも見つかります。効果を定量的に検証できる公開データがほとんどなく、システムの安定性を崩すリスクのほうが上回ります。ここまで紹介した設定はすべてWindows標準の画面から戻せる範囲のものです。出どころの分からないレジストリ変更には手を出さないことをおすすめします。

それでも足りないと感じたら

ここまでの設定を一通り試しても体感できない、あるいは焼け石に水と感じる場合、原因はOS側ではなくハードウェアの性能そのものにある可能性が高いです。

まずGPUとCPUどちらが上限か調べる
設定を変える前に、何がボトルネックになっているかを計測すると判断がぶれません。手順はゲーミングPCの性能を測る方法にまとめています
CPUが上限になりやすいゲームもあります
MMOの街や大人数対戦など、処理する物量が多い場面ではCPU側が上限になりがちです。該当タイトルはCPU律速タイトル一覧で確認できます
画質設定を見直す余地がまだあるなら
レイトレーシングやグローバルイルミネーションなど、ゲーム内の重い設定を下げるほうがOS側の設定より効果は大きいです。画質設定はどれを下げるべきかを先に確認してください
GPUの買い替えを検討する
グラフィックボードの選び方で、いまの用途に見合ったクラスを確認できます
CPUとのバランスも確認する
GPUだけ強くてもCPUが追いつかないと性能を発揮しきれません。CPU性能比較を参考にしてください
予算内で組み直すなら
予算別のおすすめゲーミングPCと240〜500fpsを狙う構成の組み方を参考にしてください

OS側の設定は、うまくいっても数パーセントから、背景アプリが多い環境での1% Low改善のように十数パーセント程度の底上げにとどまります。GPUやCPUの世代が古くて足りていない場合、この記事の設定をすべて試しても埋まらない差のほうが大きいというのが実際のところです。

よくある失敗

電力効率優先の設定に気づかず使い続けている
ノートPCをバッテリー節約のために電力効率優先にしたまま、外出先でゲームを起動してしまうケースです。電源プランだけは気づかないまま性能を大きく損なうので、真っ先に確認してください
一度に全部変えて、何が効いたか分からなくなる
この記事の設定を一気に変更すると、不具合が出たときにどれが原因か切り分けられません。ひとつずつ変えて確認する方が、結果的に近道です
「パフォーマンス優先」を常時オンにして発熱・騒音に悩む
ゲーム中だけ切り替える運用でも十分に恩恵はあります。常時オンにする必要はありません
出どころの不明なツールでレジストリを書き換える
この記事で紹介した範囲はすべて標準機能で元に戻せます。非公式ツールでの一括変更はトラブル時の切り分けを難しくします

よくある質問

Q.Windowsの設定だけでfpsはどれくらい上がりますか?

A.設定や環境によって差がありますが、多くのケースで数パーセントから十数パーセント程度の底上げにとどまります。電源プランが省電力寄りになっている場合はもっと大きく変わりますが、すでに適切な設定であれば、残りの設定で劇的な変化は期待しないほうが安全です。

Q.電源プランはゲーム中だけ変えれば十分ですか?

A.はい。パフォーマンス優先の設定は消費電力とファンの音が増えるため、常時オンにする必要はありません。ゲームを起動する前に切り替える運用で十分効果が得られます。

Q.HAGSはオンとオフどちらがいいですか?

A.基本はオンのままで構いません。26本のゲームで比較した海外の検証では大半のタイトルで有意な差が出ませんでしたが、悪化する例も限定的でした。DLSS Frame Generationを使う場合はオンが必須です。気になる場合はよく遊ぶタイトルで自分の環境で比較してみてください。

Q.ゲームモードは平均fpsを上げてくれますか?

A.平均fpsへの影響はほとんどありません。効果が出るのは、Discordやブラウザなど背景アプリを動かしながら遊ぶときの処理の谷(1% Low)です。裏で何も動かさずに遊んでいる場合は、体感できないことも珍しくありません。

Q.視覚効果をオフにすればfpsは上がりますか?

A.ほとんど上がりません。フルスクリーンで動くゲームはWindowsのデスクトップ描画処理を経由しないため、視覚効果の設定はゲーム画面にほぼ関与しません。デスクトップの動作を軽くしたい場合には意味がありますが、fps対策としては優先度の低い設定です。

Q.設定を全部試しても変わりませんでした。次はどうすればいいですか?

A.OS側の設定で埋まる差には限界があります。まずゲーミングPCの性能を測る方法でGPUとCPUどちらが上限か確認し、ハードウェア側の見直しを検討してください。

まとめ・次に読みたい記事

Windows側の設定は、電源プランのようにはっきり効くものと、HAGSやゲームモードのように環境次第で体感が変わるもの、視覚効果のように期待したほどは効かないものが混在しています。「これを全部やれば劇的に速くなる」という触れ込みは実態と違います。

優先順位をつけるなら、まず電源プランとXbox Game Barの背景録画を確認し、次にHAGSとゲームモードを自分の環境で試し、それでも足りなければスタートアップアプリの整理へ進む、という順番が効率的です。そのうえで変化を感じられなければ、原因はOS側ではなくハードウェアの世代にある可能性が高いので、無理に設定をいじり続けるより次の一手に進んでください。