遊んでいる最中に、ゲームが突然強制終了してデスクトップに戻る。エラーメッセージは出ない。PCは普通に動いていて、Discordの通話もつながったまま。もう一度起動すれば遊べるのに、しばらくするとまた落ちる。検索すると「ドライバーを入れ直す」「メモリが怪しい」「電源が弱い」とバラバラの答えが出てきて、どれから手をつければいいのか分からなくなります。
実は、ゲームが落ちた瞬間の記録はWindowsに残っています。イベントビューアーの「イベントID 1000」には、どのプログラムの中で落ちたか(障害が発生しているモジュール名)と、どんな種類の異常だったか(例外コード)が書かれていて、ここを見れば疑う順番をかなり絞れます。
ただし、この記録には読み方のクセがあります。いちばん多い勘違いは、表示されたDLLをそのまま犯人だと思い込むことです。この記事では、Microsoftの技術資料や各社のサポート情報で確認できた範囲に限って、モジュール名と例外コードの意味を整理し、対処を「お金がかからず元に戻せる順」に並べます。確認できなかった対応関係は書いていません。
まず、この記事の対象かどうかを確認する
「ゲームが落ちる」と一口に言っても、中身は何種類かに分かれます。症状が違えば見るべき記録も対処も変わるので、最初に振り分けておきます。
- ゲームがタスクバーに残っていて、クリックすると元に戻れる
- 落ちたのではなく、通知や常駐ソフトに前面を奪われて最小化された状態です。ゲームのプロセスは動き続けているので、イベントID 1000は記録されません。表示モードをボーダーレスウィンドウにする、通知を止めるなどで改善することがあります
- PCごと電源が落ちる・再起動する
- ゲームではなくPC全体が止まっています。記録はシステムログのKernel-Power(イベントID 41)で、原因は温度・メモリ設定・電源ユニットが中心です。ゲーム中にPCの電源が落ちる・再起動する原因で扱っています
- 停止コードが出て再起動する
- ブルースクリーンです。最近のWindows 11では画面が青くないこともあります。ゲーム中にブルースクリーンが出る原因を確認してください
- 画面が一瞬暗くなって数秒で戻る
- 「ディスプレイドライバーが応答を停止し、正常に回復しました」と通知が出るのもこのパターンです。GPUドライバーのリセット(TDR)で、TDRの原因と直し方で切り分けを説明しています。TDRのあとにゲームだけ落ちる場合は、この記事と両方を見てください
- 画面が真っ暗でファンが全開、音は鳴り続ける
- 映像だけが止まっている状態です。ゲーム中に黒画面になりグラボのファンが全開になる原因で扱っています
- そもそも起動しない・起動直後に必ず落ちる
- 動作条件(Secure Boot、TPM、レイトレーシング対応GPU、Windows 11など)を満たしていない可能性を先に確認します。性能は足りているのに遊べないゲームにまとめています
- ゲームだけが消えてデスクトップに戻る
- これがこの記事の対象です。Windowsから見ると「アプリケーションのクラッシュ」(強制終了)で、PC本体は動き続けています
固まってから閉じた場合はイベントID 1002
落ちる前に画面が固まり、タイトルバーに「応答なし」と出てから閉じた場合は、クラッシュではなくハング(応答停止)として記録されます。ソースは「Application Hang」、イベントIDは1002で、Windowsの定義上は「プログラムがWindowsとのやり取りを止めたため閉じられた」というイベントです。
ハングは、プログラムが例外で異常終了したのではなく、処理が返ってこなくなった状態です。ゲームではシェーダーのコンパイルやストレージの読み込み待ちで止まっているケースがあり、例外コードのような手がかりは残りません。ゲーム中にPC全体まで固まる場合は、ストレージ側の詰まりも疑ってください。確認方法はSSDの使用率が100%でPCが固まる原因にまとめています。
落ちた記録はどこに残るのか
記録を見る方法は2つあります。まず全体像をつかむなら信頼性モニター、細かい値を確認するならイベントビューアーです。
信頼性モニターで「いつ、何回」を見る
信頼性モニターは、アプリのクラッシュ、Windows Updateの失敗、予期しないシャットダウンを日付ごとのグラフで並べてくれるWindows標準の機能です。キーボードでWindowsキー+Rを押し、perfmon /rel と入力するとすぐに開きます。スタートメニューで「信頼性」と検索し、「信頼性の履歴の表示」を選んでも同じ画面です。
ゲームが落ちた日には、赤い×印の「重大なイベント」としてゲームの名前と「動作を停止しました」が並びます。項目を開くと「問題イベント名」がAPPCRASHになっていて、その下に「障害モジュールの名前」と「例外コード」が出ています。信頼性モニターでは例外コードが c0000005 のように先頭の0xを省いた形で表示されますが、意味は同じです。
ここで見ておきたいのは回数と日付です。落ち始めた日の直前に、ドライバーの更新やWindows Updateの記録が並んでいれば、それが最有力の候補になります。
イベントビューアーでイベントID 1000を開く
細かい値はイベントビューアーで確認します。
- 1. イベントビューアーを開く
- スタートメニューで「イベント ビューアー」と検索して開きます
- 2. アプリケーションのログを選ぶ
- 左側の「Windows ログ」を開き、「アプリケーション」を選びます。PCごと落ちたときに見る「システム」とは別のログです
- 3. 1000に絞り込む
- 右側の「現在のログをフィルター」を開き、イベントIDの欄に「1000,1001,1002」と入力します。カンマで区切ると複数を同時に表示できます
- 4. 落ちた時刻のエラーを開く
- ソースが「Application Error」、レベルが「エラー」の行が、ゲームの異常終了の記録です。直後に「Windows Error Reporting」のイベントID 1001が続くのが一般的な並びです
イベントID 1000の「全般」タブには、次のような項目が並んでいます。表示がすべて英語になっている環境もあり、その場合は「Faulting module name」「Exception code」のように書かれています。表示名はWindowsのバージョンによって多少異なることがあります。
- 障害が発生しているアプリケーション名
- 落ちたプログラムです。ゲーム本体のexeになっているか、まず確認します。ランチャーやアンチチートのプログラムが落ちている場合もあります
- 障害が発生しているモジュール名
- 異常を検出したときに実行されていたプログラムの部品(DLLなど)です。この記事でいちばん使う項目ですが、後述のとおり「犯人の名前」とは限りません
- 例外コード
- どんな種類の異常だったかを示す値です。0xc0000005などの形で記録されます
- 障害オフセット
- モジュールの中のどの位置で異常が起きたかを示す値です。毎回同じかどうかを比べるときに使います
Microsoftの資料でも、アプリケーションのログにイベントID 1000と1001が繰り返し記録されている状態を、アプリケーションがクラッシュしている兆候として説明しています(Microsoft Learn)。
イベントID 1000が見つからない場合
ゲームが落ちたのにイベントID 1000が見当たらないこともあります。ゲーム側が独自のクラッシュ報告ツールを持っていて、異常をWindowsに渡す前に自分で処理して終了している場合などです。
その場合は、落ちた瞬間に出たクラッシュ報告のウィンドウや、ゲームが書き出すログが手がかりになります。Unreal Engine製のゲームの多くは、ユーザーフォルダー内の AppData\Local\(プロジェクト名)\Saved\ の下にLogsやCrashesといったフォルダーを作ります。プロジェクト名は製品名と違うことがあるので、更新日時の新しいフォルダーを探してください。Unity製のゲームなら、Unityの公式マニュアルにあるとおり、%USERPROFILE%\AppData\LocalLow\(会社名)\(製品名)\Player.log が実行時のログです。
表示されたDLLが犯人とは限らない
モジュール名を見る前に、これだけは押さえておいてください。日本マイクロソフトの開発者サポートチームは、イベントID 1000の解説で次のように書いています。
障害が発生しているモジュール名に記載されているモジュールは、必ずしもアプリケーション エラーの直接の原因であるとは限らない
(日本マイクロソフト Japan Developer Support Core チームのブログ)
たとえば、ゲームが壊れたデータをGPUドライバーに渡し、ドライバーがそれを処理しようとして異常終了すると、記録上のモジュール名はドライバーになります。本当の原因はゲーム側にあっても、です。逆に、メモリが不安定で読み書きしたデータが化けている場合は、どのモジュールの中で落ちてもおかしくありません。
そこで役立つのが、複数回分の記録を並べて比べることです。
- 毎回同じモジュール・同じオフセット
- 同じ場所で再現している状態です。ゲームかドライバーの特定の処理に不具合がある可能性が高く、ゲームのパッチやドライバーの版を変えることで変化が出やすいパターンです
- モジュールも例外コードも毎回バラバラ
- 特定のソフトの不具合では説明しにくい状態です。メモリのXMP/EXPOやCPU・GPUのオーバークロック、発熱など、ハードウェア側の不安定を優先して疑います
- 別のゲームでも落ちている
- 信頼性モニターで、複数のゲームやブラウザーまで落ちていないかを見ます。ゲームをまたいで落ちているなら、個々のゲームではなくPC側の問題を疑う理由になります。ハードウェアの確認に加えて、Windowsのシステムファイルの検査(sfc /scannow)も候補になります。MicrosoftはDISMコマンドで修復用のファイルを用意してから実行する手順を案内していますMicrosoftサポート(システムファイルの修復)
ただし、これは切り分けの目安です。毎回同じドライバーの中で落ちていても、GPUのオーバークロックやメモリの不安定が原因だったということもあります。
1回分の記録だけで結論を出さず、2〜3回分を並べてから判断するのが、遠回りに見えていちばん早い方法です。
障害モジュール名から当たりをつける
ここからは、ゲームのクラッシュでよく目にするモジュール名を、何の部品なのかと合わせて整理します。GPUドライバーのファイル名は、筆者のPCに入っているNVIDIA 610.74ドライバーと、AMDの内蔵GPU用ドライバーの実ファイルで、ファイルのプロパティに記載された説明を確認しています。
- NVIDIA(GeForce)のGPUドライバー
- nvwgf2umx.dll(ファイルの説明は「NVIDIA D3D10 Driver」)、nvd3dumx.dll(「NVIDIA WDDM D3D Driver」)などは、DirectX用のNVIDIAドライバーの部品です。ゲームの描画命令を処理する場所なので、NVIDIAの公式フォーラムにもこのファイル名で落ちるという報告が数多く投稿されています。ドライバーの不具合、ゲーム側の不正な命令、GPUのオーバークロックによる不安定のいずれでも同じ表示になります
- AMD(Radeon)のGPUドライバー
- amdxx64.dll(「AMD DX10/DX11 UMD」)はDirectX 11まで、amdxc64.dll(「AMD DX12 UMD」)はDirectX 12用のAMDドライバーの部品です。古い情報でよく名前が挙がるatidxx64.dllは、筆者のPCのドライバーでは説明が「AMD DX11 STUB」になっていて、中継役のファイルです
- IntelのGPUドライバー
- Intel Arcや内蔵GPUの場合、igdから始まる名前のファイル(igd10iumd64.dll、igd12umd64.dllなど)がIntelのグラフィックドライバーの部品として記録されることがあります
- ntdll.dll・KERNELBASE.dll
- Windowsの基本機能を担うファイルです。Microsoftは、これらは多くのプログラムの処理が通過する場所なので、別の場所で起きた破損の「被害者」として記録されやすいと説明しています。ここが表示されても、Windowsが壊れているとは限りません。例外コードと組み合わせて読みます
- ゲーム本体のexe
- ゲーム自身のプログラムの中で落ちています。発売直後のタイトルや大型アップデートの直後なら、まずゲーム側の不具合を疑います。どのゲームでも落ちるならハードウェア側を疑います
- オーバーレイ・録画ソフトの部品
- オーバーレイは、ゲームの描画に別のソフトが割り込んで画面に重ねる仕組みです。たとえばSteamオーバーレイの部品はGameOverlayRenderer64.dllで、こうした他社ソフトのファイル名が出ていれば、そのソフトを止めて再現するかを確かめます
- アンチチートの部品
- EasyAntiCheatやBattlEye(BEClient_x64.dllなど)といった名前が含まれる場合は、アンチチート側を疑います。整合性チェックでゲームに同梱されたアンチチートのファイルを取り直し、セキュリティソフトがブロックしていないかを確認します
- Visual C++ ランタイム
- VCRUNTIME140.dllやMSVCP140.dllは、MicrosoftのVisual C++で作られたプログラムが使う共通部品です。これらが表示され、特に例外コードが0xe06d7363の場合に限り、Microsoft配布の最新のVisual C++ 再頒布可能パッケージ(x64版)を入れ直すのが候補になります。ただしMicrosoft自身は、アプリの不具合をランタイムの更新で直したい場合はアプリの提供元の案内に従うよう書いています。ucrtbase.dllはWindows 10以降ではWindows本体の部品なので、このパッケージでは置き換わりませんMicrosoft Learn(Visual C++ 再頒布可能パッケージ)
NVIDIAやAMDのドライバーの部品が出た場合、「ドライバーが悪い」と決めつけてドライバーの版を何度も入れ替えるより、先にオーバーレイと整合性チェックを済ませるほうが無駄がありません。理由は後半の対処の順番で説明します。
なお、NVIDIAのドライバーでよく話題になるnvlddmkmは、カーネルモード(Windowsの中核側)で動くドライバー本体です。ゲームのクラッシュを記録するイベントID 1000ではなく、TDR(システムログのソース「Display」、イベントID 4101)やブルースクリーンの記録に出てくる名前なので、見つけた場合はTDRの記事の手順で確認してください。
例外コードから当たりをつける
例外コードは、異常の種類を表します。ゲームのクラッシュで目にすることが多いものを、Microsoftの定義に沿って並べます。
- 0xc0000005
- STATUS_ACCESS_VIOLATION(アクセス違反)です。アクセスできないメモリへの読み書きや実行を、OSが検出したときに記録されます。ソフトの不具合でも、XMP/EXPOやオーバーレイ、MODによる割り込み、メモリ自体の不安定でも起きる、もっとも幅の広いコードです。モジュール名とセットで読みます
- 0xc0000409
- 名前はSTATUS_STACK_BUFFER_OVERRUNですが、実際には「状態が壊れているので即座に終了する」という高速終了(fail fast)の要求全般にも使われるコードです。名前どおりのバッファオーバーランとは限りません。直後のイベントID 1001に記録されるP9の値に、理由を示すサブコードが入ります
- 0xc0000374
- STATUS_HEAP_CORRUPTION(ヒープ破損)です。プログラムが使うメモリ領域の管理情報が壊れたことを検出したもので、検出役のntdll.dllがモジュール名になりやすいコードです。原因はntdll.dllではなく、それより前に誤った書き込みをしたどこかにあります
- 0xe06d7363
- C++のプログラムが投げた例外が、最後まで処理されずに終わったことを示すコードです。例外を発行する仕組みの都合で、モジュール名はKERNELBASE.dllになることがよくあります。ゲームやライブラリの不具合のほか、メモリが確保できなかった場合にもこのコードで終わることがあります
- 0xc000001d
- STATUS_ILLEGAL_INSTRUCTION(不正な命令)です。CPUが実行できない命令に当たったことを示します。公式の動作環境より古いCPUで起動直後に落ちる場合、CPUが必要な命令に対応していない可能性の手がかりになります
0xc0000409の扱いは、Microsoftの__fastfailの技術資料に、ユーザーモードの高速終了は例外コード0xC0000409として現れると書かれています。0xe06d7363の由来は、MicrosoftのRaymond Chen氏がThe Old New Thingで解説しています。
ゲームの画面に出るエラーは別の種類
イベントID 1000の例外コードとは別に、ゲーム自身がエラー画面に出すコードもあります。代表的なのがDirectXのエラーです。
- 0x887A0006
- DXGI_ERROR_DEVICE_HUNGです。Microsoftの定義では、ゲームが送った描画命令の組み合わせが不正で、グラフィックドライバーが応答しなくなったことを示します
- 0x887A0005
- DXGI_ERROR_DEVICE_REMOVEDです。GPUが取り外された、電源が切れた、ドライバーが更新された、といった理由でGPUが使えなくなったことを示します。GPUが応答しなくなってリセットされた(TDR)あとにもこの状態になります
- Out of video memory
- Unreal Engine製のゲームで出る「ビデオメモリが足りない」という意味の表示です。多くはVRAM不足ですが、それだけとは限りません(下で説明します)
DXGIのエラーについて、Microsoftの開発者向け資料は、繰り返し起きる場合はアプリ側のコードの問題を示すことがある一方で、ハードウェアの故障やグラフィックドライバーの不具合を示すこともあると書いています(Microsoft Learn)。つまり、このエラー名だけでは原因の側を決められません。同じ時刻にTDRの記録(システムログのソース「Display」、イベントID 4101)が残っていれば、GPU側の切り分けを優先します。
「Out of video memory」は、設定に対してVRAMが足りないときにまず疑う表示です。VRAM 8GBのGPUで重い設定を選んでいるなら、VRAM 8GBで足りないゲーム一覧で該当タイトルを確認してください。
ただし、同じ表示がCPUの不安定でも出ることがあります。ゲーム向けの圧縮技術を提供するRAD Game Toolsは、Intel第13・14世代のCoreプロセッサーの不安定について、CPUが原因なのに「out of video memory」のような見せかけのGPUエラーとして現れることがあると公式ページで案内しています。該当するCPUを使っていて、VRAMに余裕があるのに出る場合は、ブルースクリーンの記事の「Intelの第13・14世代を使っている場合」の節を確認してください。
対処は「お金がかからず元に戻せる順」に試す
ここからが対処です。どのモジュール名が出ていても、基本の順番は同じです。費用がかからず、試したあとで元に戻せるものから進めます。
- 1. 公式の告知を確認する
- 発売直後や大型アップデートの直後なら、まずゲームの公式サイトやSteamのニュース欄を見ます。既知の不具合なら、PC側をいじっても直りません
- 2. ゲームファイルの整合性を確認する
- Steamならライブラリでゲームを右クリックし、「プロパティ」→「インストール済みファイル」→「ゲームファイルの整合性を確認」です。壊れたファイルを取り直します
- 3. オーバーレイと常駐ソフトを止める
- Steam・Discord・NVIDIA App・録画ソフト・ハードウェア監視ソフト・ライティング制御ソフトなど、ゲームに割り込むソフトを止めて再現するか見ます
- 4. GPUドライバーを見直す
- ゲームが推奨するドライバーの版に合わせます。それでも落ちるなら、古いドライバーを完全に消してから入れ直すクリーンインストールを試します
- 5. 仮想メモリとSSDの空きを確認する
- 仮想メモリ(ページファイル)を切っていないか、Windowsが入っているドライブとゲームを入れたSSDの両方に十分な空きがあるかを見ます
- 6. オーバークロックとXMP/EXPOを一旦切る
- CPU・GPUのオーバークロックやアンダーボルトを既定に戻し、BIOSでメモリのXMP/EXPOを無効にして再現するか確かめます
- 7. メモリと温度を検査する
- メモリ検査ツールで不良がないかを確認し、プレイ中の温度をログに残して異常がないかを見ます
- 8. Windows Updateの既知の問題を確認する
- 落ち始めた時期が更新の直後なら、Microsoftの既知の問題に該当しないかを確認します
順番の理由を簡単に書いておきます。1〜3は数分で終わり、何も壊しません。4はやや手間がかかりますが、元の版に戻せます。6はBIOSに入る必要があるものの、設定1つで元に戻せます。7は時間がかかるので後ろに置いています。
オーバーレイと常駐ソフト
オーバーレイを止める手順は、各社のサポートが共通して挙げている対処です。たとえばActivisionは、Call of Dutyのクラッシュ対策として、入力の割り当てを変えるソフト、オーバーレイ、録画ソフトといった他社製アプリは、起動していなくてもゲームの動作や起動を妨げることがあると書き、クラッシュが続く場合はアンインストールも試すよう案内しています(Activisionサポート)。
いきなり全部を消す必要はありません。まずは各ソフトの設定でオーバーレイをオフにし、それでも変わらなければタスクマネージャーのスタートアップから常駐を外して試します。複数を同時に切って直ったら、1つずつ戻して犯人を探すと、次に同じことが起きたときに迷いません。
GPUドライバー
ドライバーは「最新にすれば直る」とは限りません。発売直後のゲームでは、ゲーム側が特定の版を推奨していることがあり、その場合は推奨版に合わせるのが先です。版を合わせても落ちる場合は、DDU(Display Driver Uninstaller)などで古いドライバーを完全に消してから入れ直すクリーンインストールを試します。手順はGPUドライバーの更新ガイドにまとめています。
仮想メモリとSSDの空き
ゲームを軽くする目的で仮想メモリ(ページファイル)を無効にしている人は、ここで元に戻してください。Microsoftの資料によると、Windowsが約束できるメモリの上限(コミットの上限)は、物理メモリとページファイルの合計です。使用量がこの上限に達すると、フリーズやクラッシュなどの不具合が起きることがあると説明されています(Microsoft Learn)。
同じ資料には、システム管理のページファイルは、コミットが上限の90%に達すると自動で拡張されるものの、それは十分なディスクの空きがあることが前提だと書かれています。つまり、仮想メモリが有効でも、ページファイルを置いたドライブ(通常はWindowsが入っているCドライブ)が満杯に近いと拡張できません。
実例として、エースコンバット8の開発チームは、2026年9月29日にSteam版のクラッシュについての告知を出し、暫定的な確認事項として、起動時に表示される推奨版のグラフィックドライバーを使うことと、ゲームを入れたSSDに16GB以上の空きを確保し、Windowsの仮想メモリを有効にすることの2点を挙げました。告知は、ゲームを入れたSSDの空きと仮想メモリの2つを確認するよう求めていますが、16GBという数字の理由は説明していません。設定画面の具体的な場所はエースコンバット8の記事の「プレイ中に落ちる(クラッシュ)場合」に書いています。
現在のメモリの状況は、タスクマネージャーの「パフォーマンス」タブでメモリを選ぶと「コミット済み」として確認できます。プレイ中にここが上限に近づいているなら、メモリかページファイルが足りていません。
オーバークロックとXMP/EXPO
例外コードやモジュール名が毎回バラバラなら、ここを優先して試してください。BTOパソコンでもメモリのXMP/EXPOが有効の状態で出荷されていることがあり、ゲームの重い場面でだけ不安定になる個体もあります。BIOSでXMP/EXPOを無効にすると、メモリは定格の速度で動きます。この状態で、これまで落ちていた頻度より十分長く遊んでも落ちなければ、XMP/EXPOが原因だった可能性が高まります。
GPUのオーバークロックやアンダーボルトをMSI Afterburnerなどで設定している場合も、いったん既定値に戻します。ドライバーのモジュール名で落ちている場合、このあたりの不安定がドライバーの中で表に出ているだけ、ということがあります。
メモリと温度の検査
XMP/EXPOを切っても落ちる場合は、メモリそのものを検査します。Windows標準のメモリ診断は手軽ですが、負荷が軽く、長時間でしか出ない不良を見逃すことがあります。USBから起動するMemTest86を最低1パス、できれば一晩回すほうが確実です。使い方は新品ゲーミングPCの初期不良チェック手順に書いています。
温度は、プレイ中のログを残して落ちる直前の値を確認します。CPUやGPUが上限近くに張り付いたまま落ちているなら、冷却側を疑います。ログの取り方はHWiNFO・MSI Afterburnerの使い方にまとめました。
新作の発売直後は、ゲーム側の不具合をまず疑う
新作の発売直後に落ちるなら、PCより先にゲームを疑うのが筋です。多くの人が同時に同じ症状を報告していれば、それは個々のPCの問題ではありません。
エースコンバット8では、先行アクセスが始まった9月29日の夜に、開発チームがSteamでクラッシュ不具合についての告知を出しています。10月2日には、PC構成、Windowsのバージョン、エラーコードや再現手順、ゲームと同時に動かしているアプリの一覧を報告するよう求めるスレッドも立てました。2026年10月7日時点で、Steamの公式告知一覧にクラッシュを修正したパッチの告知は見当たりません。
開発元が報告に求めているのは、この記事で確認してきた情報そのものです。イベントID 1000のモジュール名と例外コード、落ちた状況、常駐させているソフトを控えておけば、そのまま報告に使えます。
見極めの手順は次のとおりです。
- 公式の告知とパッチノートを見る
- Steamならストアページのニュース欄、そのほかは公式サイトや公式Xを確認します。「既知の不具合」として挙がっていれば、修正を待つのが基本です
- 同じモジュール名の報告を探す
- Steamのコミュニティなどで、自分と同じモジュール名や例外コードを挙げている人が多ければ、ゲームかドライバー側の問題の可能性が高まります
- ほかのゲームでも落ちるかを見る
- 信頼性モニターで、ほかのゲームが同じ時期に落ちていないかを確認します。そのゲームだけならゲーム側、複数ならPC側を疑います
発売直後のPC版でクラッシュ報告が目立った例としては、ビースト・オブ・リンカネーションもあります。
Windows Updateの直後から落ちるようになった場合
落ち始めた日の直前にWindows Updateの記録があるなら、Microsoftの既知の問題を確認します。2026年10月時点で注意したいのが、AC-3(Dolby Digital)音声の不具合です。
Microsoftの既知の問題のページによると、2026年9月22日公開の更新KB5124010以降を入れると、AC-3音声のデコードをWindowsに任せているアプリが予期せず終了することがあります。起動できない場合もあれば、音楽の再生など特定の機能を使った瞬間に落ちる場合もあり、影響を受けるアプリにはゲームも含まれうるとされています。対象はWindows 11の24H2・25H2・26H2で、10月2日の更新時点で状態は「確認済み」、修正は今後の更新で提供予定です。
AC-3の「AC」はアンチチートではなく、音声形式の名前です。Microsoftは、多くの新しいアプリは自前のデコーダーを持っているため影響を受けにくく、古めのソフトで起きやすいとしています。KB5124010は任意のプレビュー更新だったため、自分で入れておらず、26H2にも上げていなければ、10月の月例更新までは影響を受けていない可能性があります。バージョンごとの扱いはWindows 11 24H2サポート終了の記事に、更新を戻す手順はWindows Updateでfpsが下がった・クラッシュする原因と直し方にまとめています。
それでも直らないとき
ここまで試しても、複数のゲームで落ち続ける場合は、部品の初期不良や故障を疑う段階です。BTOパソコンで保証期間内なら、自分で部品を交換する前にメーカーのサポートに相談してください。設定の変更やBIOSでのXMP/EXPOの切り替えは、内部を分解しない範囲の確認なので、通常は保証の扱いに影響しません。保証の年数や修理の流れはBTOパソコンが故障したときの修理ガイドにまとめています。
相談するときは、次の情報を伝えると話が早く進みます。
- 記録
- イベントID 1000の障害が発生しているモジュール名・例外コード・障害オフセットを2〜3回分
- 範囲
- 特定のゲームだけか、複数のゲームやほかのアプリでも落ちるか
- 試したこと
- 整合性チェック、オーバーレイの停止、ドライバーのクリーンインストール、XMP/EXPOの無効化、メモリ検査の結果
なお、当サイトは中古のゲーミングPCや中古パーツを、特に初めての1台としてはおすすめしていません。保証の有無だけが理由ではありません。この記事のようなクラッシュが起きたとき、新品なら「買った時点では正常だった」という前提から切り分けを始められますが、中古では前の持ち主のオーバークロックや設定変更、劣化の履歴が分からず、どこまでが元からの状態なのかを切り分けられないためです。
よくある質問
Q.ゲームがエラーも出さずに落ちてデスクトップに戻ります。最初に何を見ればいいですか?
A.イベントビューアーで「Windows ログ」の「アプリケーション」を開き、ソースが「Application Error」、イベントIDが1000の記録を探してください。落ちた時刻の記録にある「障害が発生しているモジュール名」と「例外コード」が手がかりになります。日付ごとの一覧を見たいなら、Windowsキー+Rでperfmon /relと入力して信頼性モニターを開く方法が手軽です。
Q.障害モジュールがntdll.dllになっています。Windowsが壊れているのでしょうか?
A.そうとは限りません。ntdll.dllやKERNELBASE.dllはWindowsの基本機能を担うファイルで、多くの処理が通過するため、別の場所で起きた問題の報告役として記録されやすいとMicrosoftも説明しています。例外コードと組み合わせて読み、ゲームの整合性チェックやオーバーレイの停止から順に試してください。
Q.nvwgf2umx.dllで落ちています。NVIDIAのドライバーが原因ですか?
A.NVIDIAのDirectX用ドライバーの中で落ちたことは確かですが、原因がドライバーとは限りません。ゲームが不正な描画命令を送った場合や、GPUのオーバークロック、メモリの不安定でも同じ記録になります。ゲームが推奨するドライバーの版に合わせ、クリーンインストールを試し、それでも落ちる場合はオーバークロックとXMP/EXPOを切って確認してください。
Q.例外コード0xc0000005はどういう意味ですか?
A.アクセス違反(STATUS_ACCESS_VIOLATION)で、アクセスできないメモリへの読み書きや実行をOSが検出したことを示します。ソフトの不具合でも、XMP/EXPOなどによるメモリの不安定でも起きるため、このコードだけでは原因を決められません。モジュール名が毎回同じか、バラバラかを比べるのが次の手がかりです。
Q.イベントID 1002は何ですか?1000とどう違いますか?
A.1002はソースが「Application Hang」の記録で、プログラムが応答しなくなって閉じられたことを示します。例外で異常終了した1000とは違い、処理が返ってこなくなった状態です。画面が固まって「応答なし」と表示されてから閉じた場合はこちらが残ります。
Q.仮想メモリを切ったほうがゲームは軽くなりますか?
A.おすすめしません。Windowsが使えるメモリの上限は物理メモリとページファイルの合計で、上限に達するとクラッシュなどの原因になるとMicrosoftは説明しています。エースコンバット8の開発チームも、クラッシュ対策として仮想メモリを有効にするよう案内しています。
Q.Windows Updateのあとから落ちるようになりました。更新を戻すべきですか?
A.まずMicrosoftの既知の問題に該当するかを確認してください。2026年9月22日のKB5124010以降では、AC-3(Dolby Digital)音声をWindowsでデコードするアプリが落ちる問題が確認されています。該当しそうな場合でも、更新を戻すとセキュリティ修正も外れるため、修正の配信状況とあわせて判断してください。
まとめ・次に読みたい記事
ゲームだけが落ちてデスクトップに戻る症状は、PCが壊れたのではなく、ゲームのプロセスが異常終了した状態です。その記録はイベントビューアーのイベントID 1000に残り、「障害が発生しているモジュール名」と「例外コード」で疑う方向を絞れます。
ただし、表示されたモジュールが犯人とは限りません。ntdll.dllやKERNELBASE.dllは報告役であることが多く、GPUドライバーの名前が出ていても、原因がゲーム側やメモリの不安定にあることはよくあります。2〜3回分の記録を並べ、同じ場所で落ちているのか、毎回バラバラなのかを見てから判断してください。
対処は、発売直後なら公式告知の確認から。そのあと整合性チェック、オーバーレイの停止、ドライバーの見直し、仮想メモリとSSDの空き、オーバークロックとXMP/EXPO、メモリと温度の検査の順に進めると、無駄な出費をせずに原因へたどり着けます。



